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IQが高い転生お姫様は穏便に隠居したい  作者: 星船
囚われのお姫様編
99/119

幕間ー蚤の市デート1ー

 

 これはまだ、ユーフェリアとフレイが共に期間限定でオルストフ国王陛下の養子となったばかりの頃のお話。

 後継者選定を理由に同じ王城の外殿宮に住まう流れとなり、これを機に義姉と形式の関係以上に親しくなりたいと切望したフレイ王子は、小飛竜をネタに彼女を視察デートに誘う事に成功。

 


ーーふわりと花吹雪きの舞う、その日。

 

 城下街へ向かわんと仲良く小飛竜の背に騎乗した二人は、双方それぞれ全く別の理由で爛々と浮かれ切っていました。




ーー・ーー・ーー・ーー・ーー




「あ、あの!ユーフェリア姉上、フェリルの乗り心地は如何でしょうか。本当は空を飛んでお連れしたかったのですが、まだあの駐屯地で交わしたお約束を果たす事ができず、申し訳ありません」

「いいえ!人を同乗させての飛翔は満成人を迎えてから、という王国の決まりです。ですからフレイ様、どうぞお気になさらないで下さい。そもそも私、こうして小飛竜に乗せてもらえるだけで、ええ、ええ!もうっ、充分に大感激ですので!」

「それなら良かった。あのっ、僕も姉上とご一緒できまして、夢─」

「はわあぁッ♪」「ッ!?」


 竜だ!ホンモノの生きてる竜さんだ!

 わあっ!ファンタジー世界の王道かつ不動の人気ナンバーワン!

 野生に下った一派の更に末端とはいえ、そんな誰もが憧れる竜種に、まさか実際に乗せてもらえる日が来るなんてっ!!


「ふむふむ!鱗も外皮もごつごつとしっかり固く、また、相当な重量があるようですね!こんなに大きな生き物が空を飛ぶだなんて不思議でなりません!ね!フレイ様!そうは思いませんか!?」

「え、ええ。確かに不思議、ですよね。小飛竜の生体や飛翔の仕組みについては、どの先進国でも未だにはっきりと解明されていないのが現状です。─あの、ところで姉上、もう少し上体をこちらに寄せて下さい。うっかり滑り落ちてはいけません」

「あ、はい!ええと、こうでしょうか?」

「!!」


ーーあら?フレイ君のお顔が、緩んでてスッゴく嬉しそう??

 

 そっかそっか。やっぱり彼も年頃の男の子だもんね。

 堅苦しい王城にいるよりも、こうして小飛竜に騎乗してる方が気晴らしにもなって楽しいのかもしれないね。

 でもちょっとお顔が赤いな?風邪引いてる?


「か、髪から何とも甘い香りが─。ッいえ!ええと、姉上!」

「ん?何でしょう?」

「その、これから向かう視察先の城下街ですが、どこかご覧になりたい場所はございますか?」

「あ!はい!実はですね、この週末ならば、確か、──」




ーー・ーー・ーー・ーー・ーー

 



のみの市、ですか?」

「はい!ずっと私、ここに来てみたいと思っておりまして!」


 

 小飛竜君は護衛騎士の一人に預かってもらい、残りの護衛騎士を引き連れて私とフレイ君は蚤の市に来ました!


 “蚤の市”──それは日本でいうフリーマーケットだ。

 古物商や雑貨商に行商人、勿論一般のエルドラシア国民も抽選にてテナント参加が認められていて、身近な生活用品から掘り出し物の古物アンティークまでと、毎月週末辺りの二日間限定で開催されている歴史あるイベント市である。

 

 因みに開催地はローテーションで毎回変わり、今回は運良くも王城に最も近い中央広場となっていた。


「国の収益と流通を兼ねたこういった市がある事は知っていましたが、とても賑やかで面白そうなイベントですね」

「でしょう!市周辺には集客目当ての屋台も出ますし、家族連れにも人気のイベントだと聞きました。珍しい交易品も多く列びますので、他国の流行や独自の嗜好系統を知る事ができますし、売り手の行商人からは直に様々な情報も得られるようなのです」

「なるほど。蚤の市には物品の売買以外にも、そのような様々なメリットがあるのですね」

「はい。それにうっかり埋没しているお宝を発見できるのでは!?、といった探索的な楽しさもあると思うのです!」


 フリーマーケットって、そういうものだよね。

 誰かにとってはゴミや不要品となったものが、他の誰かには物凄ーく貴重で価値ある物だったりする。うんうん。廃棄ゴミが減ってリサイクルにもなるし、蚤の市って素晴らしいイベントだと思う!


「そういうものですか。─あ、姉上!そんなカンジのお宝ならば早速見つけました。この薔薇模様の陶器の茶器セットなどは、最高級品と言われるエリュシナ女王国産のものにとてもよく似て、──」


 彼は何気なく、とあるお店の陳列台の前で立ち止まった。

 年若い雑貨商らしき男性がブースを構えたそこには、アンティークっぽいペアのカップとソーサーのティーセットが、他の茶器と一緒に無造作に積まれていて、──


「いらっしゃい!アハハ!これ、そんなご大層な茶器に似てるのかい?けどイミテーションだよ!購入元は成り上がりの商家だし、そこでは普段使いされてた物だしね!」

「……………」

「……………」

「姉上。あの、大きな声では言えませんが、何となく、僕は本物だと思うのですが……」

「ええ。確かな事は言えませんが、以前拝読した『世界骨董全集Ⅶ』で掲載されていた挿絵のものと、デザインの細部やお色の発色が大変そっくりです……」

「……もし、本物ならば、破格なお値段、ですね……」

「……ひびもないですし、掘り出し物、ですよね……」



 好みのデザインだし、取り敢えず購入した。

 通常ならばちょっと値切ったりするものらしいが、もしも本物だと思うとそれを値切るような図太い神経はなかった。

 

 しかし、これを皮切りに、───



「姉上、ええと。こちら、店主が言うにはヒースクリフ王のサイン入り絵皿、との事ですが……。何でも古民家の屋根裏から埃まみれで出て来たものらしく……」

「ひ、筆跡が、公文書に記載されている彼の肉筆サインに寸分違いませんけど!?在位期間の一番短かった初代のお品なんて、超激レアものですよ!万が一これが本物ならば、価格は軽くこの30倍以上です!」



「姉上、こちらの老婦人が売られいるアンティークの毛皮の帽子が、何となく、とても気になるのですが……」

「その毛皮は!もしかして最高級のアーミン(※冬オコジョ)白毛皮!?」



「姉上、あちらに飾られた古着のオーバーコートですが……」

「使われている素材が!恐らく幻の稀少繊維、キヴィアック(※古代動物のジャコウウシの産毛)では!?」


 

 その他にも続々と、───



「あちらの作者不明の絵画が………」

「真っ黒で何とも怪しげな壷ですが……」

「意味不明な図案の、民芸品のタペストリーが……」

「あ!この紫紺の羽扇子は……(姉上に似合いそう)!」



 羽扇子!?──は、どうでもいいが(何故か?フレイ君が即購入)、次から次へと掘り出し物が見つかる見つかるぅ~~~。



「姉上。蚤の市とは、価値あるお宝がいっぱいなのですね」

「いやいや!有り得る事ですが、こうは有り得ません!フレイ様の目の付け所が特異なのです!よくもまあ、こんなにポンポンと掘り出し物が見つけられますね!」

「いいえ。僕などは、ただのあてずっぽうの直感です。ユーフェリア姉上の膨大な知識量による審美眼・査定眼こそが、こと更に凄くていらっしゃるのです。ええ、さすが姉上です、感服致します」


 いやだから。その直感がとてつもないんだけど……


「あ、そろそろお昼の時刻のようです。せっかくですので、あちらの屋台で何か購入してみませんか?」

「え?屋台で!?よ、宜しいのでしょうか!?」

「はい。問題ありません。ご心配でしたら先に僕が毒味を致します。これでも幼少期より、多少の毒には慣らされていますので」

「いいえ!フレイ様にそんな事はさせられません!一般国民の皆様も普通に口にしているものですし、そのような心配は杞憂でしょう。少なくとも、私は全く気にしませんわ」

「そうですか。では参りましょうか?」

「はい!」


 

ーーやった!屋台でランチを食べられる!!

 



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