表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IQが高い転生お姫様は穏便に隠居したい  作者: 星船
幼少期・王宮編
9/119

私とエルドラシア王国の命運

あけましておめでとうございます!

お正月の暇つぶしに是非読んでってね~(^∇^)



ーー例年より暖冬と報じられている今年のエルドラシアの気候。

冬が暖かければウイルスによる感染症の減少と冬野菜の豊作などのメリットはあれど、その代償として農作物の流通価格は高騰し、気温の高さ故に長期保存性の高い干し野菜やドライフルーツなどの乾物類の生産には大きな支障が出る。また、山岳地の雪解け水が減ってしまうので夏には国土全域に渡って水不足に陥りやすくなる傾向がある。できれば冬の今からでも農村部各地へ貯水や備蓄などを呼びかけ、王国挙げてのストックパイリングを進言....うん、そんな環境対策は今は関係ないね。


現実逃避はもうそろそろこの辺で。覚悟を決めて顔を上げた先には、色とりどりのラナンキュラスの花が生けられた花瓶...ではなく、麗しくも金刺繍入りの白のフロックコートを完璧に着こなし、対のカウチソファーに向かい合って座る義弟のフレイ君。

お姫様ぶっていた演技は元より、派閥争いを膠着させるのが目的で仕掛けていた彼への勝負の真意もしっかりとバレていた上に、みっともなくもその後はズルズルと引き込もっていたこの私だ!これ以上の恥は多分もうきっとない(ことを祈る)!いい加減に私も腹をくくってやんよ!嘲笑でも非難でもライバル外通告でもっ!

ーーさあさあっ、ドンと遠慮なく来いやあ~!



「ーーて。だけどフレイ君、気になって仕方がないので一つ聞いていい? 君がこぼした湯たんぽ、あれは何で持ってたの?」


「.....すっかり開き直られましたね、ユーフェリア姉上。どうぞ、これからも僕とこうして二人だけの時は、そのようにお気楽にお話しなさって下さい。」


居室に押し入られた時から、お姫様らしからぬ砕けきった口調で話すものの、逆に嬉しそうな顔をするフレイ君。

俺様王子に育つ前に改心してくれたようで、喜ばしい限りです。


だけど。ここはやっぱりきちんとけじめを!


「ええと。二人だけの機会が、この先そうはないと思うけど...。でもここは有難く、寛大なお心遣いに甘えさせてもらいます。ーーそしてフレイ君、今まで猫被ってた上に、そちら側が私との賭けや勝負事にまんまと乗っかかってくるよう、時にわざと周囲を扇動したりしていました。申し訳ありませんっ!」


「姉上っ、どうかお止め下さい!そのように頭を下げる必要などありません。セヴォワとレストワール、両家の醜い派閥争いを平和的にもゲームで置き換えて和らげさせよう、というユーフェリア姉上のユニークなお考えに、この僕も大いに賛成だったのですから。そもそもの話、互いの公爵家がこうも不仲となったのは、姉上の御母堂と僕の母、お二人の仲の悪さが原因なのです。王家の姫君として矜持高く生まれ育ち、腹違いの姉妹でもあった為に幼き頃より張り合う機会も多かったと聞きます。」


ーーそれは...まあ、そうなんだよね。

オルトロフ国王陛下の姉姫として産まれ、気位高く育てられたあの私の母は、実の娘である私の育児も教育もその采配さえも完全に公爵家の家令任せ。一般的な母親らしい事なんて何一つ、優しい言葉すらもかけられた記憶が私にはない。腹違いの妹姫であり、現在はセヴォワ公爵夫人であるフレイ君の母君と、どうやら王立学園在学中に何らかの理由があって徹底的な仲違いをしてしまい、以来はおもねる格下の貴族家を巻き込んで会う度にいがみ合う最悪の関係。

つまりは、私とフレイ君の次代の後継者争いが起きる前からすでに、両家の間には深い溝とただならぬ因縁があったのだ。


「あの傍若無人なお母サマを何とかできればね...で、フレイ君。 再度聞くけど、何故に湯たんぽを? 」


「...湯たんぽ、ですか。...その、3日以上もユーフェリア姉上のお身体の具合がよろしくないとの事で。実は差し支えなければ問診だけでもと、僕の侍医を先ほど部屋の前まで同伴させていまして。その、女性特有の腹部の障りにはとにかく温めるのが一番効果的ですと、良い笑顔で彼にあの湯たんぽを手渡されたのです...」


「....こ、心より、申し訳ございません!こんなこっぱずかしい説明を男の子なんかにさせて!フレイ君は真面目過ぎるっ!ルーティン勝負だって、勝ったってのに諸手を挙げて喜ぶわけでもなく、こうして勝負を投げ出した私を心配して何度も見舞ってくれたりして!ホント、良い子過ぎるよ!」


思い出せば、俺様王子予備軍だった出会いのあの時も。どう見ても不審人物な私の話を、彼は実に真摯に聞いてくれてたよね.....


「良い子...やはり子供扱い、ですか。けれどそれは違います。僕はユーフェリア姉上が思っていらっしゃるような、人の良い男などでは決してありません。何故なら、ルーティン勝負に勝った折りの勝者のお願いを、すでに問答無用で叶えさせて頂いているのですから。」


「え。...勝者のお願い? も、問答無用で叶えさせてる!? 」


「王立学園初等科の生徒会長を務められているキャメリーナ嬢。その彼女の先ほどのお言葉通り、ユーフェリア姉上には来春の新学期より王立学園へと編入して頂きます。」


ーーは? へ、へん....


「専攻学科は姉上のご希望通りに、魔法師学科にてすでに編入学の手続き済みです。もちろん、優秀な姉上は最低基本教育を学ぶカリキュラムの一学年は飛び級となりますので、僕と同じ2学年からのスタートとなりますね。」


「編入学!?ーーわ、私の希望通りに魔法師学科って、ああっ!先日、ギュンスター伯爵家のご子息に問われた、あの選択肢がまさかっ!?」


「はい。そういえばエルディアスも同じ学科でしたね。そして現在専攻の政治学科を全過程履修済みのこの僕は、来学年より魔法師学科へと専攻を変更する申請書を学園へ提出致しました。偶然にも、姉上と同じ学科で光栄と存じます。そしてその魔法師学科なのですが、来学期の在籍生徒数が大変少ないとの事で、必然的に僕と姉上は同じ学舎で共に学ぶクラスメート、となりますね。ーーこれはこれは。僕は来学期が、今から楽しみでなりません。」



か、勝手に人を入学させるなぁーーーっ!!

今更私が王立学園に編入学!?フレイ君とクラスメート!?

そもそも他にも学科はたくさんあるのに!なのに何で魔法師学科と帝王学科の二択だった!?ーーそれに、何よりもっ!


「ーーフレイ君、私を王立学園にだなんて、一体何を目論んでいるの?」


「何の事でしょうか。純粋に僕がユーフェリア姉上とご一緒に王立学園で学びたい、お傍にいられるお時間を可能な限り増やして姉上との絆を深めたいと、そうお考えになってはくれませんか?」


「今の台詞、とっても白々しい!それによりによって、私とフレイ君が同じ学科で同じクラスメートだなんて一番最悪なんだけど!だってそれは、両家の対立を今以上に煽って助長させてしまい兼ねないもの!どんなやむにやまれぬ必要性と避けられない事情あっての事か、是非納得いくように答えてもらえない? 返答によってはこの私、最終手段を取らせてもらいます!! 」


「最終手段とは穏やかではありませんね? もしや、ご領地の片田舎にでもご隠居、とのお考えでしたらそれは安易な手段と言わざるを得ません。きっと姉上の実家のレストワール公爵家が、それを絶対にお許しにはならないでしょうし。」


「いえ、他国へ亡命します!私には、」


ーーダンッッッ!! 「っひゃあ!?」

と、突然立ち上がってテーブルを叩き付けたフレイ君!!


「それだけは絶対にさせません!そんな暴挙をなされば!我が王国、このエルドラシアの命運は元より!ユーフェリア姉上、貴女のお命が確実に危ないのです...!」


わ、私の命が...? それにエルドラシアの命運って...??


「フレイ君、あ、あの、どういう事!?」


「!!、...驚かせてしまい、申し訳ありません。ですが姉上には何としても早急に、あの王立学園に在籍してもらう必要があるのです。」


私に理由は話せない、という事?

だけど私が最終手段として、国外に亡命すれば王国の命運をだとか、私の命が危ないだとか。全く意味が分からないよ。

というか、フレイ君が正直ちょっと恐い....


いきなり乱暴な行為をされて不信感をあらわにする私。ハッと目を伏せたフレイ君は元通りカウチソファーに収まると、そこで思いもよらぬ提案をしてきた。



「ーーでは。ここは改めて、ユーフェリア姉上に勝負を申し込みましょう。三日前のあのルーティン勝負、姉上の棄権にて僕の勝ちとなりましたが。あれで王立学園に通う羽目となるには、確かに腑に落ちないでしょう。なのでこの際です。今この場で、ルーティン勝負の再戦をなさいませんか? 」


「ーーさ、再戦!? ここで今、私とルーティン勝負を!?」


「ええ。前回のような追加ルールは不要です。けれど、手早く勝負を終わらせたいと思いますので、このルーティン勝負は先に3つペアを成立させた方が勝ち、と致しましょう。」


「先に3つペアを揃えるだけで、それだけで勝ち...!?」


「はい、そうです。そしてユーフェリア姉上。僕はもう、貴女への手加減は一切して差し上げられません。ーー申し訳ありませんが。今日はお遊びではなく、本気で勝負させてもらいます。」







*********





鉛色、とも表現される冬の空色はやがて一日の終わりを告げる茜色へと移り行き、窓からは夕日が差し込もうという時刻。

とある貴族の邸宅に少女が一人、佇んでいた。


髪は珍しいチェリーピンクで、腰までふんわりと煌めき。


顔立ちは頬が健康的で優しい丸みを帯びていて、可憐な唇はぷっくりと可愛らしいピンクの弧を描く。


大きくアーモンドのようなくっきりとした瞳には、可憐なアップルブロッサムの輝きがけぶる睫毛から嬉しそうに覗いている。



「おじ様が私の足長おじさん、なのですか? まさかこうしてお会いできるなんて、本当に嬉しいです! 」


「足長おじさん?...俺は君の保護者なんだが...ああ。俺も会えて嬉しい。ここの生活に何も不自由はなかったか? 世話人には、ようく見てやってほしいと、重々念を押しておいたんだが。」


「はい!とてもよくして頂きましたよ!ありがとうございます!おじ様は私の想像通りの、とっても素敵なダンディおじ様です!こうして天涯孤独の孤児、しかも記憶のない私を引き取って下さいまして。そして春からは王立学園にも通わせてもらえるなんて!」


「......そうか。学園に行くのは楽しみ、か。」


「ええ!すごく楽しみで、今からわくわくしてるんです!だって私、あの王立学園に通う夢を毎日のように見るんですよ。まるでそれはゲームの...いえ!お芝居を見ているような、超リアルでドラマティックな夢なんです!」


「夢を、か。学園の夢とは不思議な事を言う。....そこで君は、素敵な運命の王子様とは出会えたのだろうか。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ