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IQが高い転生お姫様は穏便に隠居したい  作者: 星船
幼少期・王宮編
21/119

私という仮の王女の受難1



「ーーーが但し、聞け!俺はこのフレイと同じくもう一人、筆頭王位継承権を与えようと思う者がいる!その者の名は、ユーフェリア・レストワール!」



ーーはああああ!??



やめて!冗談じゃない!慎んでご遠慮申し上げたい!

春定例行事のオルストフ国王陛下ご生誕パーティー。その会場の大広間で、主役の王様がとんでもない宣言しやがったーーー!

その後も才女とか神童とかやたらと盛りすぎな演説が続き。恥ずかしさで死ねるのならば、この私は一体何回死んだことか!


代々王家の血を色濃く受け継ぐ有力貴族、レストワール公爵家のご令嬢として生まれた私。ーーけれど前世では、ちょっとIQが高いだけの平凡な女子大生だったのだ。だからできれば王位争いとか派閥争いだとか、そんなドロドロした命懸けな厄介事なんかに首を突っ込みたくはない。私の将来の展望はそこそこな身分でそこそこ優秀な、けれど口うるさくはないお婿さんを貰って一男一女の跡取りを産み、その後は適当なところを見計らってのんびり隠居生活を送ることで。



なのに、一国の女王様だなんてっっっ!

   ーーそんなの、大・迷・惑っっっ!!!



あっ。同じく筆頭王位継承者に同時指名されたセヴォワ公爵家のフレイ君と、今思いっきり目が合った。


あの子とは軍馬の熱病騒動の時に会って以来だ。

小飛竜に乗れるようになりたい、いつか一緒に乗りましょうと言っていたけど、その後は頑張って訓練を続けているのかな?


ーーん? あれ? ちょっと待ってよ?


もしかするとこの宣言、私とあの子が義理の姉弟になるって事!?

いやいやいや!前世でも今世でも寂しい一人っ子な私。更には政略結婚の両親は、顔を合わせれば屋敷内にブリザードが巻き起こるレベルの冷め切った家族関係。そんな私には貴族家の普通の姉弟関係、特に距離感というものがさっぱり分からない...!


や。まあ、でも。形式上のことだし期間限定なわけだし。

フレイ君にしてみれば私が姉だなんて、うん。きっと迷惑よね...?





*********




ーーけれどフレイ君の順応力(?)は驚くほど高く。宣言通りに国王陛下の養子となって同じ外殿宮で過ごすようになると、先ずは毎朝のお花の挨拶が習慣化した。


「おはようございます、ユーフェリア姉上。庭園で今日咲いたばかりの花梨です。香りが一番良いものを姉上の為に摘んで参りました。」


「まあ。可愛らしいお花を有難うございます。そしてご機嫌よう、フレイ様。その、けれどこう毎日のようにお花を贈って頂いては...フレイ様も色々とお忙しい身ですし、」


「いいえ。朝稽古のついでなのでさほどの手間はありません。そうそう、姉上はご存知でしょうか?その花は秋に実がなるのですが、喉の痛みに良く効くのだとか。」


「あ、ええ。確かそのままでは渋くて食べれませんけれど。地方の村ではハチミツ漬けや果実酒などにして、風邪の時に喉の痛み止めとして昔から使われているそうですね。入浴剤代わりに湯船に入れても、血液の促進や手足のむくみなどにも効果的と聞きますわ。」


「そうなのですか!花の実が薬になるというのはとても興味深いですね。そういえばマリーゴールドという花も、花びらに炎症抑制効果があるのだとか。ちょうど明日くらいにその花が咲きそうなのです。良ければ姉上にお持ちしますね。」


「まあ!自分で薬を煎じてみるのも面白そう!実際どれだけ効能があるか気になりますし。ついでならば、そのっ、お願いしますわ。」



*****



「ユーフェリア姉上。王城の図書室でお会いするとは奇遇ですね。せっかくですので、この後にお茶をご一緒しませんか?」


「あら、奇遇ですね。せっかくのお誘いですけれど、ええと。本日中に読みたい本が...」


「...もしや、姉上がお持ちのその本は『医術Ⅳ・治癒魔法応用学書』ではありませんか?実はその著者は、僕の侍医であるリュカ・アシュリーなのです。」


「え!?...ほ、本当だわ!あのアシュリーさんのお名前が!」


「そのリュカも呼びますので。お茶を頂きながら、意見交換や質問などをしませんか?僕もそのシリーズは少し前に拝読しました。けれど難しい部分も多くて。」


「意見交換!著者に直接質問!...それはそれは!とっても有意義なお時間を過ごせそうですわ。是非ともお茶をご一緒しましょう!」



*****



「姉上。今日はどこかへお出かけのご予定でしょうか? 偶然、これから僕も城下街へ視察に出るところなのです。途中までお送り致しましょう。」


「えっ、その、けれどご迷惑では...」


「飛翔はまだできませんが、小飛竜の背に僕と一緒にお乗りになりませんか? 地を駆けるだけでも、春風が心地好くて、結構楽しめると思います。」


「乗ります!是非ご一緒させて下さいませっ!」




*********




ーーなんか、おかしい...?



「あの、メイリー。この外殿宮に引っ越してからというもの、フレイ様に頻繁にお声をかけられるのだけど。イレブンジズ・ティーか、アフタヌーン・ティーのどちらかは必ず誘われるし、特に毎朝花を贈るのは貴族の姉弟間では普通の事なの?」


気心のしれた専属侍女のメイリーに尋ねる。


「そこはまあ、別段それ程おかしな事ではありませんわ。(...その前に、ああも頻繁に遭遇するのがおかしいんですけど...)」


私はテーブルの上のお菓子やお花は元より、どんどん華やかになっていく自分の居室を見渡す。


「贈り物も気付けばこんなにたくさん...。断りにくい消えもののお菓子はともかく、羽ペンや飾りガラスのインク瓶などの些細な文房具、ミニサイズの香水やお洒落な小物入れ、リボンやピンブローチなどのちょっとしたアクセサリー。」


「視察のお土産などやセヴォワ領の特産品を使ったお品ですね。それもユーフェリア様がお気に召せば王女殿下ご用達しの品と箔が付くわけですから、受け取るだけなら何の問題ありませんね。(...些細なものでもお値段は決して些細ではないんですけど...)」


「へえー、つまりあの贈り物の品々は、いわばセヴォワ領の宣伝活動なのね。それでフレイ様によく感想を求められると。なるほど!結構やり手な子なのね。」


「ええ、確かに。フレイ殿下はとてもよく考慮されておりますね。(...確実に受け取ってもらえる種類のお品と理由と、ついでに知識欲旺盛で研究大好きというユーフェリア様の情報までちゃっかりリサーチされている...)フッ、恐ろしく抜け目がないわ...!」


「え? メイリー、何か言った? 」


「ーーいいえ。けれどユーフェリア様。例えフレイ殿下が個人的に良いお方でも、政敵セヴォワ公爵家の方なのです。過去にも色々ございましたし、どうか警戒は怠りませんよう。」


「...あ、うん。そうね。」



政敵...そうだった。彼とむやみやたら接触すれば、それを良しとしない貴族は多いわけで。事実、ご機嫌伺いにくる知り合いのご令嬢やご子息からは、それとなく遠回しに非難的な言葉をかけられている。


そしてそのメイリーとキャメルの助言通り、私の周囲に不穏な動きが出始めた。手始めに起きたのはお茶会異物混入事件。


昔から仲の良いファフテマ侯爵家のご令嬢キャメリーナ、ことキャメルとその友人達を外殿宮に招待してお茶会を開くと、なんとカップに数十匹の赤い幼虫がぷかぷかうごめいていた。

いち早く気付いたキャメルがとっさにカップごと下へはたいてくれたけど、それはもうお茶会の席は大パニック。この幼虫はネムリユスリカといって、一旦カラカラに干からびても水をかければ蘇生復活するのだ。体長も一ミリに満たない小さいもので、茶葉に混入されれば非常に見分けが付きにくい。

つまり誰かが乾燥状態のこのネムリユスリカを隠して持ち込み、事前にティーポットに仕込んでいたと思われる。



「まあ!なんて悪趣味な嫌がらせなのっ!けれどお茶会に参加したのは全てユーフェ姫の、レストワール派閥のお家のご令嬢。まさか身内の犯行とは思いたくはないけれど...ユーフェ姫、どうか身辺には重々お気をつけて。毒性もないこんな虫くらいなら可愛いものだけど... 」


「いやいや!絶対虫は可愛くない...!」



虫の死骸ならまだしも、カップからモゾモゾと生きた虫が這い出てきたのだ。さすがに私のダメージは大きく、紅茶がしばらく飲めなくなった。



その後も部屋のドアが開かなくなったり、届けられた手紙がこっそり読まれてたり、私宛ての紹介状が届かなかったりと。


そうのち更にエスカレートしていくと、孤児院訪問や学校などの視察公務で、事前に申し伝えていた筈の行き先がでたらめなものへと変更されていたり。勿論、大遅刻だ。訪問先には申し訳なさすぎる...。


そんな嫌がらせや小細工が頻繁に起こり出し、いい加減本気で危機感を抱いた私は、騎士団に護衛騎士の応援を要請した。

王宮に警備兵は勿論いるのだが、この外殿宮は本殿宮に比べてやはり人の出入りが多く、警備の甘いところがあるのかもしれない。なので徹底した警備と見回りの強化を依頼する。

勿論、フレイ君にもこっそり騎士を配置しようとしたけれど。


「フレイ殿下は週末は腕の立つ友人が付きっ切りで傍におられますし、あのギュンスター家の若様が常時最高レベルの守護結界を敷いていらっしゃいます。下手に近寄ればすぐさま感知されてしまいますので、我々が内密で護衛するのは非常に難しいかと。」


事情を話さないとこっそり護衛は無理らしい。でも、どうやら私がそこまでするまでもないみたいだ。


権力に頼るしかない私と違ってフレイ君には人望がある。

あの魔法師の名門ギュンスター伯爵家のエルディアス君とキットソン侯爵家のアルバート君。彼は私と同い年で、すでに準騎士の称号を持っているのだ。キャメルの婚約者らしいが、何やら複雑な事情があるようで。

そんな彼らも含めてフレイ君の周囲にはどんどん将来有望な人材が集まりつつある。だから今、レストワール派閥の貴族らが焦っているのかもしれない。考えてみれば、嫌がらせの多くは私の行動を阻むもので、同時に私がフレイ君を疑うように仕向けているのかもしれない。



ーーそしてついに大変な事件が起きてしまった。





あと一話で一章終わりです。


お茶の習慣はイギリスを参考にしています。

モーニング・ティー

イブニングジズ・ティー

アフタヌーン・ティー

ハイ・ティー

一日に4回もお茶を飲む素敵な習慣があるそうで。


ネムリユスリカは宇宙空間でも生きられる最強生物です。

けれど寿命は3日間。干からびていれば永遠...?



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