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ハルビンドーム3

1943年1月のハルビンドーム進攻での日ソの状況は好対照だった。


日本軍は2日後には大きな城砦都市に出会す。

城砦都市側もはじめは警戒しと戦闘体制を取っていたが、ケンタウロスで無いと見るや幾分警戒を緩め、交渉となったのだが、文字も言葉も通じなかった。

双方困ってしまったが、そもそも大半が中国語も解らず中国に出征した兵や士官だったなで、身ぶり手振りでなんとか日常的な情報交換にこぎ着けた。

そして、ここより更に進むと同じ様な都市があること、そこがモシリと呼ばれる国ないし大陸であることが分かった。

日本軍は簡単な地図を貰い、更に進む事になった。

日本軍が交渉に際して異形や豚面を追いかけてきた事を伝えると何故か歓迎される事になった。


そうしてよくわからないまま2週間ほど進み、4つの都市や村で最初の都市で渡された巻物を見せる毎に歓迎行事が行われ、一際大きな城砦にたどり着いた。

そこでは城門前で多数の軍勢が待ち構えており、日本軍が警戒するなか、軍使と思われる一団がやって来る。

彼らの一人が魔法を使うと日本軍側にも言葉が理解できるようになった。

そこではじめて最初の都市で誤解された事を知るが、モシリと名乗るこの国とは友好関係が結ばれる事になった。


モシリ側の説明によると、3年前にケンタウロス族がオークの放牧地としてモシリへ侵攻してきたそうだ。しかし、ドームの出現で彼らはドームへと進入していき、この国は殆ど被害なく済んだという。

ケンタウロスとは云わば遊牧民で大陸を集団で移動しており、40年から70年に一度、人や動物の数が増えたことを確認しては襲ってくるのだと教えられる事になった。

異形やモシリで使っている鎧や弓矢についても聞きくと、並走してかた山脈で取れる鉱物から作られた物だと言う。ただ、鉱物から使える地金を精練出来るのは、専門の魔術を使う鉄人種族、いわゆるドワーフだけだという。

それらの話を聞いて、日本軍は政府に外交団派遣を要請した。

負け続けた陸軍には一時の勢いはなく、陸軍単独で何かを決める権限はこの頃には失われていた。


方やソ連軍はどうだったか。

彼らは1ヶ月進軍を続けても満州と同じ様な惨状しか目にすることはなかった。

唯一それまでと違う所は、そこが平原の終わりで、山脈により狭い峠と巨大な城砦がそびえていることだった。

既にソ連軍の補給線は延びきり、異形に襲われたらひとたまりも無いので、防衛可能な線まで後退することになった。

後の調査でこの平原は今のロシアと変わらないほどの広さがあり、山脈は平原の中央にあり、向こうにも平原や森が拡がる事が判っている。しかし、山脈の向こうの平原は異形が常に闊歩する地域で、ソ連軍が到達した城砦が平原の他種族と異形との「約束したはずの」境界だった。

俺たちが攻撃したのがこの城砦であり、約70年振りに城砦を異形が占領し、こちらに侵攻しようとしていたので、阻止するために作戦が行われている。日本の権益があるモシリに近い為に共同作戦が展開されている。70年前とは違い、峠で異形を押し止めているので数日中にはモシリをはじめとした外界平原諸国と異形との間に話し合いが持たれると言われる。まあ、今の日露軍に異形が敵うとは思えないが。

閑話休題


こうして後退したソ連軍はドームから200キロを領土と宣言した。

それが当時のソ連にとって守れる範囲であった。

これはその後の平原諸国との交渉でも認められ、その範囲にある鉱山を領有することになる。

日本は交渉により、加工した金属を輸入することになった。

日本が領土的野心を持たなかったのは、それどころではなかったからである。

朝鮮や満州において生き残った住人は1割も居らず、朝鮮半島については生存者を一地域に集める事が出来たほどで、それが今の大韓民国として独立した済州島である。

彼らは朝鮮半島すべての領有を主張するが、異形により殆どが犠牲となり、生き残った21万人では済州島に居住させるしか無かった。彼らは反日を主張するが、今や済州島に済む65万人と満州や南米等に移民した3万人しか純粋な朝鮮族と呼べる人種は居ない。彼らをここまで減らしたのは異形であって日本ではないのだが、彼らには通じない。今ではアメリカの一部政治団体くらいしか彼らを相手にしていないのが現状である。

そもそも、アメリカには今やアジアの問題に手を出す余裕があるのかすら疑わしいが。


そうした事情により、日本はまず、朝鮮と満州を何とかすることが優先で、異形に対抗できる資源さえ外界で手には入るならそれだけで良かった。

しかし、日本もそれだけでは済まなかったのだか・・・

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