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眼下に見える長い車列を見ながら飛んでいく。

特徴的なお碗の様な砲塔からのびる長い砲身。

その車列からは時おり車載機銃がこちらを向く、もちろん、手を振る姿もよく見かけるが、正直、俺もこの戦車の群と同じ方角に飛ぶのは違和感が強い。これが満州平原なら俺の機体には無数の火線が伸びているだろう。もちろん、下の車列も無事ではないが。


「ライジンリーダーより各機、目標が見えた、散開」


「イカヅチワン、了解」


俺は作戦通りにジョイスティックを右へ動かす。

42式襲撃機「雷神」は西暦1982年に制式化された対地攻撃機だ。同じ様な機体にアメリカのA10やロシアのSu25がある。


HUDには城砦が映し出されている。俺は作戦通りにその門に照準を合わせてミサイルを選択し発射ボタンを押す。

程なくして2発のミサイルが白い尾を引いて門へと向かう。


ミサイルが門に命中して盛大に爆縁があがる。

HUDの赤外線映像で門が破壊された事を確認する。

僚機はバリスタの櫓を破壊した様だ。

「イカヅチワンより、リーダー。門とバリスタの破壊を確認」


「ライジンリーダー、了解」


城砦の各所から次々と爆炎が上がっている。

暫くすると第一段階終了が告げられ、少し後方に下がる。

その下をあの特徴的な戦車の群が城砦へと突っ込んでいく。


「イカヅチワンへ、A地区へ支援射撃の要請」


「イカヅチワン、了解」


HUDに映るデータ通りに操縦する。そして、ポイント到着が表示された。

下を見ると戦車や歩兵が前方の建物から攻撃を受けているようだ。


「イカヅチワン、射撃ポイントに到着」


「イカヅチワン、射撃を開始せよ」


俺はHUDで設定してあった建物へ35ミリカノンをぶちこむ。

最新型は楽だ。HUDで設定したらその目標に常にカノンが向くように機体が勝手に制御してくれる。150発ほど撃ち込んでボタンから指を離す。

下の部隊からだろう、HUDに攻撃成功の表示が出ている。

「イカヅチワン、攻撃成功を確認。待避する」


俺はサッとその場を離れた。

今日の作戦は四時間ほどこの様な事を繰り返して、ようやく帰投した。



「あ~、疲れた」

俺は隣から聞こえた声の主を見る。

そいつは猫の様な耳を生やし、目も見るからに猫のそれだ。顔自体がどことなく猫だが、一見して人間と変わりはない。


「アシル、お疲れ」


「隊長、お疲れさまです」


「やっぱり猫人は持久力より瞬発力なんだな」


「そりゃ、そうすよ。いくら獣人とは言え、猫の性質を引き継いでますから」


そう、彼はイワユル獣人というカテゴリーである。ドームが出現してはや70年が過ぎた現在、初期の混乱はもはや歴史になっている。

特に日本の順応は驚異的だった。流石の地球でも、マトモに外界の人達を受け入れているのは日本くらいではなかろうか。


他の国では外界に共生地域はあるが、流石に地球側にまでこうも自然に生活圏は拡がっていない。もちろん、さっき攻撃していたハルビンドームの向こう側となると、日本でも対応は違うが・・・


司令部に報告を終えて今日の任務は終了だ。

今日の様な事が時おりあるのはドームがあるからだ。

ドームの向こうには地球にはない鉱物が存在する。

ミスリルはチタンと同等の性能がありながら一般鋼材並の扱いやすさがあるため盛んに採掘されている。なんせ、雷神の装甲もミスリルだしな。

そして、35ミリカノンの弾芯に使われているオリハルコン、タングステンや劣化ウランよりも強力な徹甲弾が造れる超鉱物。

日本はハルビンドームの向こうにそれらの権益を持つ。しかも、なんの因果か外界ではロシアと協力関係にあるのだから不思議だ。


ただ、ここまでの道のりは平坦ではない。例えば、欧州のアルデンヌドームなどは稀少鉱物は出なかっかたが外界には人間種が大半だった為に新たな植民地にされている。


おっと、そうだな、まずは、ハルビンドームやアルデンヌドームが出現した頃から順を追って話をしようか。その方が分かりやすい。




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