折り鶴と少女
________病室。
私は、莉奈。
個人病室に入院している、住人。
難しい病気でずっとこの場所で暮らし、過ごしてきたの。
だから。
ここは、私のもう一つの居場所でありお家なの。
「…………莉奈、これで笑顔になるんだよ」
私の部屋には時折、おじいちゃんだけが来る。
おじいちゃん以外の人は知らない。おじいちゃんしか私の部屋には来ない。
理由は知らないけれど何かあるのだろう。……(わけ)なんて知りたくない。
おじいちゃんが持って来るのは、決まって折り紙。
私は決まって折るのは、折鶴。唯一おじいちゃんに教えて貰った。
折り鶴しか折れないの。
今日も折り鶴を折った。
豊富な折り紙の色を選んで、折り目に気を付けながら折る。
黄色の折り鶴が出来てテーブルの上に飾ってみせた。
「……あなたは、飛べる?」
返事の来ない鶴さんに、くすりと笑った。
鳥は自由で良いな。
小鳥を見詰めてそう思っていたりもした。
「……………」
骨身にしみる程の寒さの冬。
今日も折り鶴を折ろうとした。
……けれど。折り鶴を折れない。
折り紙にも手を伸ばそうとするけれど、私の手は呆気なく落ちる。
毎日の日課。今日も棚に飾ってある折り鶴達に仲間を増やしてあげなくちゃ。
けれど体は起き上がれなくて、手を伸ばすのも精一杯で。
どんどん、意識が遠くなって視界がぼやける。
けれど、こんな日もあるだろうと思って、私は目を閉じた。
ぼんやりと天井を見詰めていることが多くなった。
体が動かない。もう外の声も聞こえなくて。手を伸ばすことすら出来なくて。
ただ。私を見下ろしているおじいちゃんだけが見えた。
おじいちゃんの方へ辛うじて、視線を向ける。
冷たい点滴の液が伝わるのと、送られていく酸素の空気だけ。
私はただおじいちゃんが何か言っているであろう言葉を、見ていた。
「_______午後11時 34分 御臨終です」
医師は、そう言った。
男性はただ一筋の涙を流した後、孫娘の方を見る。
「__________お願いがあります。
私の孫娘が折った折り鶴を千羽鶴にしました。これを飾って頂けませんか」
彼女の祖父の言葉と願いを受け入れて、
小児病棟の待合室には、少女の証となった鶴は飾られた。
この千羽鶴は少女が折り続けた鶴だとその病院に語り継がれた。
end
深夜の思いつきで書いてしまった一作です。
少しミステリアスな部分もありますが、それは読者様の自己解釈でお願いします。




