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折り鶴と少女

作者: 天崎 栞
掲載日:2016/12/15




________病室。



私は、莉奈。

個人病室(ここ)に入院している、住人。

難しい病気でずっとこの場所で暮らし、過ごしてきたの。


だから。

ここは、私のもう一つの居場所でありお家なの。



「…………莉奈、これで笑顔になるんだよ」



私の部屋には時折、おじいちゃんだけが来る。

おじいちゃん以外の人は知らない。おじいちゃんしか私の部屋には来ない。

理由は知らないけれど何かあるのだろう。……(わけ)なんて知りたくない。


おじいちゃんが持って来るのは、決まって折り紙。

私は決まって折るのは、折鶴。唯一おじいちゃんに教えて貰った。

折り鶴しか折れないの。


今日も折り鶴を折った。

豊富な折り紙の色を選んで、折り目に気を付けながら折る。

黄色の折り鶴が出来てテーブルの上に飾ってみせた。


「……あなたは、飛べる?」


返事の来ない鶴さんに、くすりと笑った。


鳥は自由で良いな。

小鳥を見詰めてそう思っていたりもした。





「……………」




骨身にしみる程の寒さの冬。



今日も折り鶴を折ろうとした。




……けれど。折り鶴を折れない。

折り紙にも手を伸ばそうとするけれど、私の手は呆気なく落ちる。

毎日の日課。今日も棚に飾ってある折り鶴達に仲間を増やしてあげなくちゃ。



けれど体は起き上がれなくて、手を伸ばすのも精一杯で。


どんどん、意識が遠くなって視界がぼやける。



けれど、こんな日もあるだろうと思って、私は目を閉じた。





ぼんやりと天井を見詰めていることが多くなった。

体が動かない。もう外の声も聞こえなくて。手を伸ばすことすら出来なくて。

ただ。私を見下ろしているおじいちゃんだけが見えた。


おじいちゃんの方へ辛うじて、視線を向ける。

冷たい点滴の液が伝わるのと、送られていく酸素の空気だけ。

私はただおじいちゃんが何か言っているであろう言葉を、見ていた。



「_______午後11時 34分 御臨終です」



医師は、そう言った。

男性はただ一筋の涙を流した後、孫娘の方を見る。




「__________お願いがあります。

私の孫娘が折った折り鶴を千羽鶴にしました。これを飾って頂けませんか」



彼女の祖父の言葉と願いを受け入れて、

小児病棟の待合室には、少女の証となった鶴は飾られた。

この千羽鶴は少女が折り続けた鶴だとその病院に語り継がれた。



end









深夜の思いつきで書いてしまった一作です。

少しミステリアスな部分もありますが、それは読者様の自己解釈でお願いします。

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