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【江戸時代】琵琶湖運河、開通ス  作者: 雨宮 徹


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第1話 壮大な青写真

 俺は転生者。名前はまだない。正確には、転生先での名前だ。前世では、インフラ会社の末端で何一つ成し遂げられないまま死んだ。国を変える役に立てずに。足場から滑り落ちて死んだのか、はたまた、餅を喉に詰まらせて死んだのか。なんにせよ、死んだ事実は揺るがない。そして、神様の気まぐれで江戸時代に転生させられることも。



 目を開けると、古い木の天井が見えた。木目が人の顔に見えるような気がする。そして、畳の匂い。どう考えても現代ではない。江戸時代で間違いなさそうだ。



 赤ん坊らしく泣き声をあげると、着物姿の男女が覗き込んだ。どうやら、これが俺の両親らしい。身なりからすると、そこそこの家柄だ。江戸時代の知識がないので、それ以上のことは分からない。



「名前はどうしますか?」

「よし、この子の名前は義春よしはるだ」

「義春。素敵な名前ね」



 ようやく俺の名前が決まった。彼らは、息子が転生者だとは知らない。転生したからには、裕福で何不自由なく暮らしたい。数年間は、この国の土台を学ぶために静かに過ごそう。だが、時代は待ってくれない。放っておけば、諸外国の開国圧力に屈して欧米の植民地になりかねない。そうしたら、史実以上に最悪な未来が待っている。元服する十五歳になったら、行動を起こす。日の本を変えるために。



 前世の土木工学と経済学の知識。それこそが、神様が与えてくれた唯一のチートだ。これを活かさない手はない。



 そうだな、琵琶湖を南北にぶち抜いて運河を造ろう。あれは、近畿数百万人の水源だ。淡水を守りつつ海とつなぐには、閘門こうもんという技術が必要になる。



 運河によって海運を発展させて経済を回す。そして、外国に負けない国を作る。我ながら名案だ。名前は日本富国作戦。いや、ダサいな。作戦名なんて、どうでもいい。国を富ませて、国祖となろう。さて、日本を経済大国にしてみますか。

時代考証は皆無に近いです。ふんわりした雰囲気をお楽しみください。

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