まる秘ちゃんの不安と小さな守り神
「⋯⋯不安だお⋯⋯」
まる秘ちゃんは不安でした。
「⋯⋯眠れないお」
心の■からくる不安の波が来たのです。
まる秘ちゃんはすごい力をもったまる秘ちゃんです。でもその繊細すぎる感性故に、心にある■を抱えていました。それが出ると不安に襲われてしまいます。全てを投げ出すような不安の波です。
「うぅっ⋯⋯」
まる秘ちゃんは耳を塞ぎました。不安の波が強い時は、怖い幻聴が聞こえちゃう時もありました。お薬飲んでも聞くのには時間がかかりました。ですが⋯⋯
〈まる秘ちゃん⋯⋯!〉
小さな声が聞こえました。
「⋯⋯しゃちん?」
まる秘ちゃんはふいっと、まるっこい体をふりむかせました。
〈まる秘ちゃんの心はしゃちんが守るお!〉
怖い幻聴うちけす幻想の声が響きました。
「⋯⋯⋯⋯しゃちん」
まる秘ちゃんはあたりをみました。
そこには誰もいません。
まる秘ちゃんは何も言わずコロンとまるっっこい体を横たえました。誰も何もいません。
あったのは聞こえたかもしれない何かの声だけです。でも⋯⋯⋯⋯
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯しゃちん」
不安の波はいつの間にか消えていました。
怖い幻聴も聞こえません。
まるでまる秘ちゃんを守る誰かが不安の波をやっつけちゃったように
「⋯⋯⋯」
まる秘ちゃんは目を閉じました。
今夜は眠れそうでした。




