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UFOからUFOからUFO

作者: 清水進ノ介

UFOからUFOからUFO


 その飛行物体は、音も光もなく、突然現れた。高層ビルがひしめくオフィス街の上空に、円盤型の未確認飛行物体、UFOが出現したのだ。直径は三キロほどもあり、この星の技術では、到底建造が不可能であることは、一目見て分かる。銀色の光を放ち、不気味にそこに浮かび続け、人々は宇宙人が攻めてきたのだと、恐怖し逃げ惑う。しかしUFOはなにも動きを見せずに、そこに浮かぶだけだった。人々は次第に落ち着きを取り戻し、様々な意見を出し始めた。


「きっと私達を観察しているのよ。隙を見せたら襲ってくるわ」

「いいや、宇宙からの友好の使者かもしれないぞ」

「もしかしたら、あれは超大型の爆弾なんじゃないかしら」

「攻撃だ。先手必勝だ。軍隊にさっさと撃墜させるんだ」


 人々がそれぞれの主張をする中、ついにUFOが動いた。UFOの底がゆっくりと開き、その中からなにかが降下してきたのだ。人々は再び恐怖におののき、死を覚悟する者もいた。そして、降下してきたなにかが、その全貌を現す。それは、少し小型になった、直径二キロほどのUFOだった。その少し小型のUFOもまた、そこに浮かび続けるだけで、何もしてこない。人々は再び、様々な意見を出し始めた。


「あれはドローンじゃないかしら。きっと攻撃用の兵器だわ」

「いいや、それだったらとっくに攻撃してきているはずだ」

「もしかしたら、あれこそが大型の爆弾なんじゃないかしら」

「軍隊はなにをしている。さっさと撃墜させるんだ」


 人々が好き勝手に自分の意見を口にする中、少し小型のUFOが動き始めた。さきほどと同じように底が開き、その中からなにかが降下してきたのだ。ある者はついに兵器が出てくるぞと恐れ、別のある者は宇宙人が出てくるぞと期待した。そして、降下してきたなにかが、その全貌を現す。それは、さらに小型になった、直径一キロほどのUFOだった。さらに小型のUFOもまた、そこに浮かび続けるだけで、何もしてこない。人々が再び、様々な意見を出し始めようとしたその時、軍隊が到着し、大砲の標準をUFOへと向けた。


「市民の皆様、ご安心ください。我々が皆様を守りましょう」

「やめるんだ、攻撃したら反撃されるぞ」

「いいえ、先に攻撃しないと駄目よ。きっと兵器を起動するのに、時間がかかっているんだわ」

「標準よし。撃てぇー!」


 大砲から重低音と共に、砲撃が放たれ、それはUFOへと命中した。しかしUFOには傷一つつけられず、人々は息を吞んだ。きっと宇宙人が怒って、反撃してくるに違いない。今のうちに逃げようとパニックが起きたが、UFOは現れた時と同じように、音も光もなく、突然姿を消してしまった。人々は軍隊へと惜しみない拍手を送り、これでこの星は守られたと、心の底から安堵した。その様子を見ていた、UFOの中にいた宇宙人達は「ここも駄目だな」とため息をついた。


「たった三機目で攻撃してくるとは、ずいぶんと攻撃性の高い種族だ」

「我々と同じ、平和を愛する種族なら、テクノロジーを伝授したのですがねぇ」

「我らのテクノロジーは、攻撃する為のものではなく、守る為のもの。このような種族には渡せん」

「この星はいずれ、狂暴な宇宙人に襲われ、滅ぼされるでしょうね。さ、次の星へと向かいましょう」


おわり

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