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暗闇と絶望と魔王と勇者

世界は闇に包まれた。突然の事で人々はたちまち混乱に陥った。

光を失い、時間を失い、魔物が凶暴化し町や村を襲い、希望が絶望に変わった。


山の麓の村に住む青年がふと顔を見上げると、小さな光が見えた。


光が少しずつ大きくなっていく事に気がついた。

シン「あれはなんだ?凄く眩しくて…吸い込まれそうだな。」


光は青年を包むようにして全身を駆け巡る。

シン「これは…?」

不思議と力が湧いてきて天啓が降りたのか、どこからともなく声が聞こえる。


「あなたは魔王を倒す勇者に選ばれました。同じ光と異なる力が貴方達を導くでしょう。」


シン「は?なんだそりゃ…俺が勇者?魔王を倒せって?へへっ良いぜやってやるよ!!!



世界各地で急降下する流れ星のような物が確認されたという噂が流れ始めた頃…


ファティル「行ってしまわれるのですねお兄様。」

シン「ああ。俺は魔王を倒して必ず世界を救う!だから心配すんな。」

ファティル「お兄様…私はお兄様の妹で幸せです!」

シン「なんだよいきなり…」

ファティル「ゲホッゲホッ…」

シン「な!?ファティ血が!」

ファティル「実は太陽が見えなくなってから体調が良くなくて…でも大丈夫です。お兄様が心配してくださることではありません。」

シン(病気?いや違うこれはきっと呪いだ。根拠は無いけど嫌な予感がする。)

ファティル「お兄様?」

シン「教会に行って聖水を貰いに行こう。上位の聖水なら治るかもしれん。」

ファティル「上位の聖水を買うお金なんてありませんよ?」

シン「そうだよな…でもこのままだとお前が!」

ファティル「そんなに心配しなくてもすぐ死にません!だから…お兄様は勇者として旅に出るべきです!」

シン(空を覆うあの暗闇が原因なのはわかった。なら話は早い、よな?)

シン「あ…あぁわかった。わかってる。俺がしっかりしないとな。すぐに家に帰ってくる。ファティ、だから、だからどうか死なないでくれ!」

ファティル「はい。行ってらっしゃいませ。お兄様の無事を祈っています。」


フォルトマ「まて、これを持っていけ。」

シン「父さん!見送りしてくれるのは良いんだけどそれどころじゃない…この剣は?まさか!?」

フォルトマ「あぁ、お前も山の頂上にある剣は知ってるだろう。」

シン「おいおいおい!村長は許してくれたのか?この剣抜いたらダメなはずだろ!?」

フォルトマ「バレたらただじゃ済まないだろうな。だがこの剣は、この魔剣は必ずお前の役に立つ!鍛治師が作る剣とは比べものにならない。お前が持っていくべきだ!」

シン「っ!!…わかったよ。じゃあ父さんは妹を頼む。」

フォルトマ「おう!お前は世界を救ってこいよ!」

シン「あぁ!必ず!!」


そうしてシンは村を出た。


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