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第一話 遭遇

 我々は、もはや死んだ人間だ。生きながら死んだ人間だ。




 雷、地震、洪水から身の回りに起こる当時の理屈では片付けきれないことを我々は、古代から怪奇現象として片付けてきた。


 では、今現在はどうだろうか。


 確かに今日の日本でも少なからず”物の怪”への信仰は残っているだろう。

 しかし社会の実態は、科学のみを信仰する超合理主義社会である。


 我々もまた、しがないゴーストであるのだ。 



 ‐‐



 fげ「ぎqjh「rhq年 東京 どこにでもある裏路地で、紫の髪と黒い髪が揺れている。


「待てやゴラァ!落とし前つけていけカス野郎!」

「はいドアホ!これでも食らって死んどけバーカ!」


 俺特製、撒菱。

 靴裏も貫通するように針にはコイツラが愛してやまない釘様を用意しました。


「ぐわあ!足が!足があ!」

「はーいざまあ!GG!ヒヤッホホーーイ!これが重力反転バルスってやつなんすよねえ」


 現在ハイになっている俺は17歳独身、名前はえーと、なんだっけ。

 ああそうだ剛健難陀(ごうけんなんだ)。剛健難陀でーす。


 現在クソブラック企業を脱出してまーす。


 手取り月収一万監禁寮ぐらしで毎日現場に出てはスパナで殴られる優雅な一日なんてこれ以上やってられるかボケナスが!


「いたぞ!捕まえろ!」

「やっべ」


 今は逃げろ逃げろ。実家なんてねぇから適当に日本一周するんだ。

 って、一周したらまた捕まっちまうな。


 わっはっは


「なんだこいつ!?なんで足こんなに速いんだ?」

「おめえが遅えんだよカスが」

「ああ?なんか言ったか?」


「なんも言ってねぇよ。それより…あ!」

「あ?」


 指差しUFO大作戦。


 相手が気を取られているスキに俺はフルスロットル突進!SEE YOU NEXT TIME!


「なんもねぇよバーカ!」


 さあてとピンチ。俺の寮からの脱出のために練ってきた策がどんどん少なくなってきた。



 だろ?ルキ。


 〈だろ?じゃないよ…ふう、そうだね。もうそろそろ万策つきちゃって〜ってカンジ?〉


 にしてもUFO大作戦、大成功したな。


 〈だろ?言ったじゃないか、僕は未来が見れる。信じて、身を任せればいいんだ〉


 やだね。俺は、俺さ。そしてお前は都合のいい話し相手ってこと。

 目に見えねえものは信用すんなって死に際の母ちゃんに教わったのさベイベー。


 〈ふーッ。つれないねえ。ナンダ。今までこの僕に話しかけられて陥落しなかったのはナンダだけだよ〉


 だろ?最初にお前に万引きの指示されたから俺はこんなとこ居るんだから信じなくて当然だよなあ。


 〈う、うるさいなあ。仕方ないだろ。僕は守護霊じゃなくて地頭霊(じとうれい)なんだから。何だったらいい加減説明してあげようか?〉


「いたぞ!あいつだ!あのぶつぶつ言ってる奴だ!」


 あー、わりっ、また今度。


 〈わかった。”コードゼロ”、最後の策だ。しくじるなよ〉


 了


「あ!UFO」

「UFOなんかどこにもねえよ!」


 〈今!〉


「二度も引っかからねえよガキが!終わりだ!」


 よし、ブラフで引き付けて、反転。


 こいつ(追っ手)に向かっていく!

 頼むぜルキ。計算どおりだよなあ。


 〈勿論。寸分の狂いもないね〉


 秘技、引っ掛けておいた鉄球振り子トラップ!発動。


 スライディングで足引っ掛けて…


「うおっ」


 さっき逃げる時上に投げておいた鉄球の鎖がでている洗濯物の物干し竿に引っかかり、振り子運動。俺のスライディングで倒れ込んだ追っ手の顔面にクリーンヒットした。


「ぐおっ」

「よっしゃ!」


 鉄球は完全に追っ手の頭にめり込んでいた。


 それを見届けた俺はガッツポーズを作り、叫ぶ。


「〈計算どおり!〉」



 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 俺とルキの出会いは全てを失った夜だった。



「逃げて!早く逃げて!」


 7歳の春。鳴り響く警報の音。何が起こったか、当時の俺は知らなかった。

 それより前の記憶はない。


 鳴り響くサイレンの音。


 もう顔も思い出せない親はその時死んだ。

 俺の眼の前で波に飲まれたのだ。



 そこにあったのは波の音と立ち尽くす稚児のみ。

 家もない。身寄りもない。


 なにもない。



 そこに実体のないコイツは突然現れた。



 立ち尽くす俺の前に現れたこいつは図々しくも俺に講釈をたれた。


「僕なら君の親の仇を討てる。だから僕に記憶と、脳の一部を売ってくれないか?」

「…売れば、どうなるんだ?」

「退屈はさせない。全てを失った君の、唯一の遊び相手になってあげよう」


「…乗った」

「やりぃ」



 親のことはどうでもいい。

 こいつと過ごせたら楽しそうだと勝手に思ったから、条件に乗っただけだ。




 〈そういえば、君の名前は?〉


 …何だっけ。なんだろう。


 〈君の売ってくれた記憶から察するに、君の名前は”剛健難陀”だ」


 知ってるなら言えよじれったい。


 〈いや、済まないね。本当に君の記憶が売れているのかテストしたんだ。他意はない〉


 あっそ。


 〈じゃあ君は僕のことをルーキーセバスティアニックブロートエンジェルとでも呼んでくれ。僕はナンダって呼ぶから〉


 なんだその名前。舐めてんのか。ダサすぎだろ。


 〈えっ…かっこいいと思ってたのに!…はあ、仕方ない。ルキとでも呼んでくれ〉


 この夜からルキは俺の頭に住んでいる。実体はわからない。


 わかりたくも、ない。



 知らないほうが、幸せでいれる気がする。



 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 もう、今では居るのが当たり前のコイツ。正体は何か?なんてもう聞く気も失せた。めんどくさいし野暮ったいからな。


 〈後ろがお留守だよ?〉


 うるせえわかっとるわ!


 〈いいやわかってないね〉


 あ?



 ボンッ。



 俺は後ろからきた車に轢かれた。



 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 〈いっつも言ってるでしょ、人の話をちゃんと聞いた方がいいよって〉


 るせえよ。お前人じゃねぇだろ。


 〈んなっ。まあ確かにそうなんだけど…はあ〉


 わかったら黙れ。いいな。


 〈へーへー。んで、今の状況を君はどう思う?ナンダ〉


 え?今?


 今、俺は椅子に縛られてて…ここはなんだ?暗いな。捕まったのか?

 8畳ぐらいの広さの部屋に机と奥まったところにドア。


 テーブルの上にはカツ丼。


 あ…これ…


「おほー、いいねえ。俺の暮らしてた部屋よりマシじゃん」


 …以上!


 〈いやそっち!?〉


 え?違うの?


 〈違うでしょ!早く脱出しなきゃ死ぬよ?〉


 死ぬのか。そっか。


 〈そう!だから逃げるよ!〉


 おっけ、了解。


 〈少し僕の身体能力を分けてあげる。それで抜け出そう〉


 お、またひさしぶりにアレか。


 〈そ、アレ。いくよ〉


「お!」



 瞬間、俺の体中に電流が駆け巡る。


 比喩じゃなくて、物理的に。

 そして椅子の中でなるべく体を縮める。


 全身の筋肉を伸縮させ


 解き放つ。



 ブチブチブチィというけたたましい音とともに俺の拘束は外れる。



 よいしょ。あんがと、ルキ。


 〈どういたしまして…と言いたいところだけど、敵が近づいて来てる。早くズラかろう〉


 了解。



 その時だった。

 地面から黒い物体が俺の眼の前にせり上がって来たのは。


「え?」


 カサカサと部屋中の壁という壁から漏れ出した黒い液体は徐々に一番大きなダマのところに集まり、変態を進める。

 そしてむごむごとまるで咀嚼音のような音を部屋中に響かせながら、そいつは徐々に人型に変わっていく。

 本能的に察した。


 ヤヴァイ。


 〈逃げろ!ナンダ!そいつはいくら僕の力でも勝てない!〉


「マテ」

「〈!?〉」


 話しかけられた!?


 後ろを振り向くと完全にシルエットは人の状態になったそのそいつが居たが、そいつは今や身長が異様に高く服もボロボロだった。


 一言で表すなら、怪物。


 それを知覚すると、その怪物は口を開いた。


「スコシ、シヨウ…ハナシヲ」


 話し?話しって…


 〈ダメだナンダ!今すぐ逃げろ!〉


 了解。


「コウショウケツレツ…」


 逃げるぞ!ルキ!力を貸せ!


「ニガサナイ…オマエハイッショウコノオリノナカ…」


 伸縮…ジャンプ!

 コイツを飛び越えて、俺達は一目散にドアを目指す。


 なんだなんだ。なんだこいつ。


 〈急げ!〉


「逃がすか!」


 だが、そうは問屋が卸さない。

 会社の社員が俺を抱きかかえ、静止する。


 〈確かこいつは会社の上司だ。趣味はキャバクラ通い〉


 邪魔だ。


「どけ!」

「オルァ!」


 上司渾身の正拳突き。間一髪で俺は避ける。


「お前に抜け出してもらっては困る」

「誰が」

「会社が!俺と会社が!」

「そんなの知ったこっちゃねえよぉーだ」


 俺の必殺、ルキ・パンチ。身体能力向上時のパンチだ。威力は約二倍。


「ゴブッ」


 振り向けざまの裏拳は上司の鳩尾にクリーンヒット。そのまま上司は部屋の奥まで吹っ飛ぶ。

 起き上がった(上司)は、その視界に人智を越えたものを映し出した。


 そう、屠殺人である。


「な、なんだコイツは…」

「オ、オマエ…ヨミガエル…オンネン…タシカ、コイツカ…?オレニネットウヲカケテアソンデイタノハ…」

「熱湯…?し、知らない、知らない!何だそれは!」


 黒い何かはゆっくりと確実に、俺と入れ替わりの立場になった上司に距離を詰めていく。


「や、辞めろ、来るな!」

「ニ、ニガサナイ…オオゼイノナカマガオマエヲヨンデイル…」

「呼んでいる?仲間?一体何なんだ!」


 〈よ、よし、今のウチに逃げよう〉


 お、おう…。



 ぬっきあっしさっしあっししのびあっし。


「怨霊呪術五式、カンゴク」


 そう黒い化け物が10っ本ぐらいある手をこちらに向けながら唱えると、俺の周りに黒い檻が降りる。



 あれえ?逃げれない!


 〈これは…不味いね…〉


 ああ、不味いな…



「スコシオトナシクシテイロ」

「あっはい」


 なんかまだいいっぽい。



 胸を撫で下ろす俺を横目にどんどん黒い化け物は上司に近づき、肩を突き刺して上司を持ち上げる。


「ギャアアア!なっ!やめ、やめろ!私には妻も子供も居るんだぞ!」

「ソレガドウシタ」

「なっ」


 ジタバタジタバタ。上司は一生懸命腕と脚を振り回しているが、一向に化け物に当たらない。

 ほんとうに豚みたいだ。



 …あれ?てかコイツ家族いんの?えーと、それでコイツの趣味は?


 〈…キャバクラ通いだね〉


 カスじゃねえか。


 〈そうだね〉



「ワタシタチニモカゾクガイタ…。ソレヲフミニジッタオマエハ、死ンデ当然だ」


 そう吐き捨てた化け物は男の目を抉り、取り出す。


「ギャアアア嗚呼嗚呼嗚呼!」


 そして自分の沢山ある手の内の1つを切り、巻き付け、止血。そして抉り出した目を食べた。


 そしてちょうどそれと同じ時、ドアが開く。

 俺と同じ地位だが上に気に入られている社員が入ってきた。因みに仲は悪い。


「部長〜裏切り者はどうやっていたぶり…」

「た、助けてくれ!」

「な、なんだこの化け物!うわああ!」


 そしてバタンとドアが締まって同僚は出ていき、刹那の静寂。他に聞こえるのは上司の啜り泣く声だけだ。


「ひ、ヒィッ…た、助けてくれ!お前!脱走者!お、俺は上司だろ、なんとかしろ!」

「へ?」


 お、俺?


「やなこった!」

「お、お前!お前がここで働けているのは俺のお陰なんだぞ!」

「働きたくないから脱走してんだろ学べよ」

「…ダマレ」

「ギャアアア!」


 そこからは早いものだった。

 一時間ぐらいかけて両目を抉り、指と手足を切り落し、耳も削がれ、男としての大事な部分も失い…。


 いつしかとても人とは思えない、余計なものが全て削がれた達磨が誕生した。


「殺してください…早く殺してください…」

「ヤダ」

「殺してください…」



 そんな状況を俺は傍観している。

 もしかして、次は俺なんだろうか。


 あまり痛いのは辞めて欲しい。

 俺はサイコロにはなりたくない。



「マアイイか、ヤッテアゲヨウ」


 化け物がそういうと、止血していた体の一部達が持ち主に戻り、上司の体の至る所から血が吹き出る。


「…」

「シンダカ…」


 数分後、上司の呼吸が停止した。

 同時に化け物は俺の方を向き直る。



「サテ、オマエカ」

「お、おう…」



 〈やっぱり逃げる方法はこれしかないっぽいね〉


 やっぱ…?。というか何かこれ以外で隠し持ってないよな、お前。


 〈いやそんなとんでもない〉


 お前よぉ…。なんでそんないつもいつもうさんくせえんだよ。


 〈じゃあやめる?なら死んでどうぞ〉


 しゃーねえ、やってやるよ。



 俺は、お前のことを信用する。



「うお!?」


 その瞬間、俺の頭から何かが飛び出してくる。例えるならびっくり箱。絶対に視覚出来ていないはずの位置、頭頂部から。


 だが、俺には見えていた。


 ヒレのようなものが頭にまとわりつき角が二本生えており、肢体は人間をかたどっているが色は緑色で鱗に覆われている。

 そして極め付きに顔はぎょっとした目と、ギザギザの歯がかたどられたそう、例えるなら…あのかっこいいお魚、大魚。


 さながらダークヒーロである。



 そしてそいつは喋る。


「ああ、やっぱり久方ぶりの肉体は最高だ…さすがの僕でも血が湧いてしまうよ…」


「やあ」

「ル、ルキ!?」


 ルキの声で。


「ナニヲシタ。ソイツハダレダ」


 あまりの展開に黒いバケモンもおったまげを隠せない。


「これはナンダ、君に借りている体だから君が死ねば僕も消えるし逆に僕も死ねば君にダメージも入る」


 え?


「はあー!?」

「え?」

「いや勝手にやれよそんなもん」

「え?僕、君を助けてやろうとしてやってるのに、なんでそんなこと言われないといけないの?」


 チッ。そういやそんなやつだったか。


「まあいいね、殺ろう」

「へーへー」


 俺達は向き直って、生体する。


「ヌカセ」


 〈僕が監獄を壊すから、君は僕の後ろに居てくれ〉


 へえ。まだ直接脳内に話しかけれるんだ。

 おけ、てか大丈夫なのか?監獄破壊なんて。


「大丈夫だ」


 おっけえ。もう今さら心配なんてしねえよ。


「いくよ」


 ガブリ


 ルキが監獄を噛み、一気に破壊する。


「おほー、いい!久しぶりの噛んだ感覚、いい!めっちゃいいよぉ!」

「だろ?何か噛むって最高だろ??生きてるだろ?」

「生きてる!すげえ生きてる!」

「ヒャッハー!ちょうどいい。マジで俺も今生きてるって感じしてるからよお」


 俺達の奇行を見て、はやり戸惑う怨霊に向き直る。


「ナンダ、イッタイナンナンダ、オマエタチハ…」


「お、いい質問だね」


 決まってるだろ?


「ナンダと」「ルキだ」


 安直ぅ。


「…」


 一瞬みんなフリーズ。


「モウイイ、モウイイ」



「オマエハイッショウコノオリノナカ」



 10本ある手が飛んでくる。


「邪魔だね」


 だが自慢の手は無惨にも大魚(ルキ)がガブリと一飲み。さながら餌やりっだ。


「おお、食べ物!久方ぶりの食べ物!素晴らしい!肉体って素晴らしい!」

「だろ?素晴らしいだろ?」

「うん、僕史上もっとも素晴らしいよ!」

「だろ?」


「「肉体最強!肉体最強!肉体最強!」」


「ナニヲシテイル」


 バカやってる俺達を尻目にコイツはどんどん接近してくる。だが走れないのか速度はゆっくりだ。

 よってこいつの方がアホ。QED


「さて、ここからどうするかは決まってるよな」

「そうだね」


「ハッハッハ、コノワレラニ肉弾戦ヲイドムトイウノカ、オモシロイ。ヤッテアゲヨウジャナイカ」


「いや、やんないよ。そんじゃーねー」

「え?」


 ここは後はルキにまかせて逃げよう!

 すたこらさっさー。


 俺達は一気に床を蹴って真っ白の壁に彩られた廊下に出て走る。

 すると隣にいるルキに話しかけられた。


「さて、どこに逃げる?」

「そうだなー。とりあえずパチンコ店あたり…」

「ん?」

「なんでお前いるの?」

「え?ダメ?」


 ダメに決まってるだろ。


「マテやゴラァ!」


「ひょえー!!!!!」

「おまえよぉマジで使えねぇなあ」

「うるさい!先に逃げたのはそっちだ!」

「んだと?」


 そんな問答をしているスキに化け物とは離れてしまった。

 部屋から出て続いているのはただ長い廊下。多分前に見えている曲がり角を曲がったら出口だろう。


 その時急にルキがピタッと止まり、口を開いた。


「よし、ここで賢い僕は一計を案じる」

「ええ?急に止まるなよ…どんな一計?」

「まあ見てくれ」


 そう言うとルキは地面に潜る。


 〈ちょっとそこに止まっといて〉


 そして俺の真下の床から緑の根っこみたいなのをだして俺の足をがんじがらめにする。


 え?


 お、お前何してんの?


 〈いいから黙って従って!〉


「ミツケタ…」


 そして案の定後ろから歩いてきた怨霊に見つかる。



 ほらあ!


 〈大丈夫だから!〉


「イイネ、オトナシクシテイロ」


 そう言いながらコイツは10本ある手…ああそう、触手っていうんだ。触手を俺の心臓に一直線にのばす。


「おわあ!ギャアアア!」


 俺は必死になって避けるも足が固定されているせいで避けきれず肩を貫かれる。



 は?おいどうなってんだよぉおいこらお前。


 〈あ〉


 あじゃねんだわあじゃ


 〈ごめん〉


 ごめんじゃねえよ


 〈これ僕しかしか活躍してないね。君はただダサいだけになっちゃった。ごめん〉


 うるせえ俺だって活躍しただろ…あ?



 俺が脳内の計算に勤しんでいる間に、眼の前では驚愕すべき出来事が起こっていた。



 さっきまで理不尽の怨霊が立っていたところに、巨大な大魚の頭部が出現していたのである。


「めちゃくちゃおいしいよ。ありがとうナンダ」

「あ?」


 そして大魚は喋る。

 さながら意味不明。



「おい!すげぇ音なったぞ!」

 と同時に靴の硬い音がナンダの耳に入る。



 それを聴覚が捉えたとき、なんかめっちゃカッチョいいスーツを着た集団が現れた。

 そしてその集団の一番先頭に立つ爽やか好青年が俺達にそいつの顔写真が入ったガラケーみたいなのを向けて言い放つ。


「我々は警察庁公安の者だ!お前たちは怨霊とその仲間と見受ける!署まで同行を願おう」


 は?


「え?じゃあ拒否で」

「拒否した場合はお前を今すぐ殺す!」


 殺されるの!?

ブクマと☆よろです

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