誰そ彼を探す時の彼方
誰かを探す黄昏時
想い描いた十七の身体
死んだ私はあの世に逝かない
探してる人がいるんだ
アイツとは今世でも会えなかった
生まれ変わりなんて、待ってらんない
時計の針は一方向にしか進まなくて
またもとの場所に還る
走り出した記憶が呼び覚まされて
肉体の無い私の脳裏に刻まれてた
アイツの姿
制服姿に紺のマフラー
自称陰キャの俯く前髪がセンター分けのイケメン
私は相変わらずの黒くて長い腰まで届く髪の毛に
冬だし制服着てるけど黒のマフラーで唇覆い隠して
何も言わなくても分かるかな?
アイツは、私のことが見えるのかな?
それでも一目会いたくて
出来れば会話のひとつでもしたくて
黄昏時の電車に無賃乗車した
幽霊だからお金払わなくて良いよね?
高鳴る鼓動を頼りにする私の第六感
まるで生きてた時みたいに心臓が鳴る
一方向にしか進まない時計の針は
何度も何周も私の心の中でグルグルと回る
それから何日もかけて電車乗り継いで
駅のホーム夜な夜な彷徨って
おんなじようなそれっぽい幽霊、他に見かけたけど
声は掛けずに
また黄昏時になった不思議な街で胸騒ぎして
私は電車を降りて改札口を出たんだ──
──いる
どんどんと、近づいて来る
どんどんと、鳴る私の胸の鼓動
「みつけた」
「え?」
拍子抜けしたアイツの顔
見た瞬間に分かった幾世紀ぶりかの懐かしい顔
輪廻転生しても変わんないんだね
「え? えと、人違いですよね──?」
「──んーん。違う」
バカ。気づけよ。って、無理ないか。
私のことが見えてるだけでも奇跡か。
でも、私だよ? 憶えてない?
今すぐ抱きつきたい──
「──あ。え、えーと、どうしよ……。スタバでも行きます?」
「……うん」
相変わらずの陰気キャぶりだな、ほんと。
けど、変わらない君は、やっぱり紺のマフラーで口もとを覆い隠してて
そう言う私も、何故か黒のマフラーで口もとを覆い隠してるけど。
タイミングが良いのか悪いのか、ちょうど17時を告げる時計仕掛けの人形たちが視界の上の方で、音を立ててクルクルと踊りながら祝福のような鐘の音を鳴らし始めた。
けれども、夕日が彼と私の半身を照らしていて、この駅の大理石のような白い柱の影とともに、私と彼の影の先端を静かにくっつけていた。
まるで、時間を止めたように。
私には影なんて無いはずなのに。




