第一話
ご無沙汰しております
最近は高橋文哉くんを推しております
それでは、どうぞ
2年前のある日、血溜まりを目の前にしながら私は立っていた。
周りが騒いでいるのが聞こえる。
でも私にはそんな声なんて微かにしか聞こえなかった。
ねぇ、なんで?
ねぇ、なんで私は助けられなかった?
ねぇ、なんで君は死んだ?
ねぇ、なんで?
私の脳は周りの声を認識できなかった。
それは、頭に浮かんだ疑問が脳を埋め尽くしていたからである。
だが、その問いに答えが返ってくることは一生ないだろう。
答えてくれるはずの当本人である彼女が……私の親友が、飛び降り自殺を図ったからである。
私は唯一の親友を助けることができなかった。
彼女がいじめられていたのは知っていた。
だが、臆病な私は見て見ぬフリをした。
あの子が苦しんでいるのも知っていた。
でも、自分が彼女と同じ目に遭うことを怖がってしまった。
そんな過去の自分を呪いたい。
そんな私は…………
『彼女をこんな目に遭わせたあいつに復讐を』
私は彼女の亡骸を前にしてそう決めた。
臆病な私はもう……いないのだ。
♢
私は今年高校に入った。県内トップの進学校である。
2年前に彼女を間接的に殺したあいつが推薦で進学すると聞いたからだ。
私はこの学校に主席で入学した。入学スピーチを行うのも私のようである。
復讐が目的だが、怪しまれないためにも学校内カーストの上位にいるべきだ。
そう考えながら私は壇上へと上がった。
「春の息吹が感じられる今日、私たちはこの高校に入学します。本日は私たちのためにありがとうございます。新入生を代表してお礼申し上げます。先輩方の背中を見ながら成長していきたいです。この高校の一員として、責任ある行動を心がけていきます。校長先生を初め先生方、先輩方、どうか暖かいご指導をよろしくお願いいたします。以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます。」
在校生、教員、そして同級生から大きな拍手があった。
それを見る5秒間に、私はあいつ……足立華を探した。
1-3……4番
それを目に焼き付けた後、私は壇上で礼をして定められた自らの席へと座った。
早く終わらないかな、入学式。
♢
想定外……想定外だ……!
「貴女って首席入学の子よね?」
「え、名前は?仲良くしようよ!」
席についてすぐに囲まれてしまうとは……
「あ、うん……名前はHRの際でいいかな?こちらこそよろしく」
「そっかー私は宵花って言うの、望月宵花!なんて呼んでくれてもいいよ」
「あ、私は明日香!新島明日香よ!」
「宵華ちゃんに、明日香ちゃんね!」
「あ、そうだ!ねね、◯ンスタやってる?教えてよ」
「やってるよーこれこれ!」
「あ、私も教えてもらおうと思ってたのよ!」
久々に……人に囲まれて穏やかな学校生活を送れた気がした……
♢
HR前の休み時間に初めてあいつのところに向かうことができた。
昔とは違って……周りに人が全くいない……?いや、避けられてる?
「なに見てるの?」
「明日香ちゃん……」
「ああ……あの子ね……いつだったか、同級生を自殺に追い込んだみたい。誰も関わりたくないんでしょうよあんな子には……私もちょっと無理だと思う」
「そう」
あいつの視線が私に向く前に、私は踵を返してあいつの教室の前から立ち去った。
書けたら続きを載せます