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陶芸

焼き物というのは、素人が見ても区別がつかないものだ。

「開運なんでも鑑定団」などでは目利きを装った凡人がたくさん出演していて、やはりプロでないとわからないものだなあと感じる。偽物でも、本物でも、私はどちらでも構わないのだけど。

まあ、自分の作ったものくらいは見分けたいものだ。


最近、美術の授業で陶芸をやっている。

焼き物教室なんかには数回参加したことがあるけど、ほとんど役に立たない。幼稚園で粘土を作っていたほうがよほど有益だった。

最初に設計図を考える。ここで個性が表れる。

みんなかなり個の強い人ばかりだから、面白い形が次々に登場する。

本人には内緒でいくつか紹介しよう。

「にんにく」「地球儀」「バスケット」「りんご」「よくわかんないもの」

これはあくまで一部にすぎない。

他にも楽しい作品がたくさんあるのだが、すべてを語っていてはキリがない。

一応花瓶になるようにという制約はあるのだが、どうにも穴が空いていればいいだろうという考えかただ。一輪でも挿せれば問題ない。

……いや、だからってエッフェル塔を作ろうとかは、凄すぎですよ。ねえ? Eちゃん?


そして整形。

これに一番時間をかけた。

どうにも設計図通りにはいかなくて(私は砂時計のようなものを作ろうと思っていた)、表面をきれいにするのもそこそこにタイムアップ。陶芸家への道はまだまだ遠いようだ。

とにかく自立するくらいのものは作れた。

最後に不安になって、やたらめったらに模様を入れてしまったのは失敗だった。


ここで一回素焼きをする。

割れてしまうのではないかと心配だったが、なんとか無事で私の前に姿を現してくれた。

子供のような愛着もある。

どう贔屓目に見ても上手ではないのが悩みの種だが。


そして今日、色付けをした。

焼くとガラスのようになるという。

ただこれが難しい。焼いた後の色がどのようになるのか、さっぱり予想がつかないのだ。ある程度の目安はあるものの、上塗りをするか、濃度はどのくらいか、などの条件によってだいぶ色合いが変わってくる。

これは上手くいったと自画自賛している。

先生の指導もあって、ずいぶんと格好良く仕上げられた。

頑張ったぞ、私。

絵が壊滅的にへたくそな私は、もう楽しむくらいしか能がない。精一杯やった! 


ところで、陶芸は子供のようだと私は思った。

釉薬(色塗りの薬)をどう塗るかで大きく仕上がりが変わるし、焼いたあとではずいぶん印象が違う。まるでこどもが大人になるように。育つのだ。

だから成績なんて、付けてほしくない……ねえ、先生? 自分の子供に評価なんてつけたくないですよね?

でも楽しいですよ、陶芸。

言い訳じみてしまっけど、みんなオリジナリティーがありすぎです。

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