お菓子と高校生
お菓子。何と甘美な響きであろうか。
その歴史は、はるか古代にまでさかのぼる。紀元前のその昔。人間と菓子の付き合いは長い歴史を誇るのである。
ひょっとしたら本能に刷り込まれているかもしれない。DNAに刻まれるお菓子の記憶。ちょっと因縁じみたものを感じる。なんだか楽しくなってきた!
遠足に持って行っていいのは300円までと相場が決まっている。でも高校には無制限に持ち込めるのだ。カバンに常備は当たり前。ハロウィーンにはお菓子パーティーをやった。誰も仮装なんてしていなかったけど、教室には甘い匂いが漂っていて、みんなで交換して楽しんだ。
昔は大人になったら甘いものなんて! という人が多かったけど、現代では大きな声で「俺は甘党だ!」と宣言できるようになった。
酒なんて飲むくらいなら、私はモンブランを買う。どちらも適切な量を摂取すれば体に悪くはないが、過ぎたことをすれば健康を害する。何事もほどほどに、が一番いい。
美味しいものを、美味しいと言えるようになった。
それは素晴らしいことだし、うれしい限りだ。
幸せなことがあると、人は自然と笑顔になれる。笑顔は周りを幸せにする。なにも世の中にあふれているのは負の連鎖ばかりではない。そういうハッピーな循環があってもいいではないか!
「チョコあるけど、食べる?」
私がそう尋ねると、隣人たちの顔はたちまち明るくなった。こちらまで微笑がもれる。
「食べる!!」
実は先日、とある授業で先生からご褒美としていただいたものなのだが、みんなで山分けしてやろうと持ってきたのだ。もちろん束の間のヒーローになれるという打算もある。けど他人の笑顔は純粋にいいもんだ。
「一人一つずつね」というそばから、「俺二つ!」「私も!」とか叫んで持ち去っていきます。何という奴ら! でも「そのうちお返しをあげるから」とか言われてしまうと許すしかありません。憎めないやつら。
後ろの席の草食男子クンはいつも飴を持ってきて、よくプレゼントしてくれます。
けれど今日はハッカ味だったらしく、大外れ。不味いまずいと評判が立ちます。まあ、そういうこともありますよね。
「あーあ、空からお菓子でも降ってこないかなあ」
私は授業中につぶやきました。
「かわいい願いだね」
でもそんな幸せが空から降ってきたら、きっとみんな幸福になれる。かわいい願いでもいいさ、はかない妄想でもいいさ。
子供の夢ほど、現実味がなくて。
それでいてハピネスなのだから。
幸せはどこに転がっているのだろう?
さあ、あなたもちょこっと甘いチョコレートを口にしてみては?
くれぐれも、体重計には気をつけて。
いいものですよ、甘いものは。