同じ、という安心感
群れを作る、というのは猿の頃からの本能らしい。
それは自分の身を守るためであるから、どうやら集団でいると安心する。そんな環境に適応できず、独りでいる人はひょっとしたら進化した人類の姿なのかもしれない。
さみしがり屋でいつもみんなといなくちゃいやだという子もいれば、いやおれは孤高にいくぜ、なんてやつもいて、私はそれでいいと思う。
みんなで固まって守ってばかりいたのでは、サルのころと変わらないから。
でもまあ、正しい答えというのは少なくともテストにおいては一つしかないわけで。
誰かと同じ答えだったとしたらぐっと正答率は高くなることだろう。たとえばそれがひっかけ問題だったり、回答欄を間違えてさえいなければ。
今日の試験は本当に難しかった。
中でも地理。こいつがずば抜けている。
たくさん数字の書き込まれたグラフが一つ、ドカンと置いてあって。気候区分をしろとのこと。
そして判別した気候の特徴と、それの位置する場所を答えさせるという問題。
50分のうち、30分をこれに費やした。それでも時間が足りないくらいだった。
一番怖いのは、最初の区分を間違えると後の関連問題まですべてバツがつくということ。一つ間違えるとほかのやつもずれ込むから、負の連鎖は止まらない。
そして大きな記述問題が3つ。
これを5分ずつで片付け、おしまい。
ハンパじゃない疲労感と焦燥感が胸を貫いた。
答案返却の日が怖すぎるけど、もうどうしようもない。
大問1つに記述が3つだけの試験なんて受けたことがなかったから、とにかく時間の配分が難しかった。経験不足はやはり思考をあわただしくさせる。
思春期は誰もが「俺は特別で、あたしは一番かわいいの」って思ってる。思春期のやつがそう言ってるんだから間違いない。女の子のほうはどうだかわかんないけど。
オリジナリティーとか、アイデンティティーとかに執着して、目いっぱいおしゃれをしてみたり、キャラとかいうよくわかんないものにくるまれてみたり、いろいろしている。
地理のテスト。
みんなで答え合わせをした。
私の出来は良いほうだったと思っているけれど、どのように転ぶかわからない。私たちの誰も、真相を知りえてはいないのだから。
けど嬉しかった。
鏡を見て、ため息ついて。
鏡を見て、鼻をふくらませる。
あと一日でおしまい。
それからあとは先生たちが苦労する立場だ。
あれだけ難しい問題なのに、採点は簡単なんだよな。頭のいい人だ。
青空ペダルをピアノで弾こうと思ったけど、意外と難しかった。