十五
大きく頷いた三人は説明してくれた。
昔は違ったようだけれど、花嫁を迎えられるのはそれぞれの族長だけだ、と。
「あれ、じゃあ……」
三人を見る。
まだかなり幼い子どもたちだけれど、三人は花嫁を迎える前提で話していた。
「僕たち将来、族長になるの!」
「花嫁はやくおれのところにこないかなー」
「待てば待つほど、嬉しいんだろうなー。陛下みたいに」
陛下、みたいに?
飛翔の言葉に首を傾げる。
そうだ、玲凛も旦那様は私をずっと待っていたと言っていた。
「雅楽様は……どれほど私を待っていたの?」
妖が何年生きるかわからないけれど、そんなに歳が離れているようには見えなかったし、数年くらいかしら。
「えっとねー」
紅玉が指を三本立てて私を見た。
「これくらい?」
「三年……」
よかった。
思ったより短かったみたい。
「うーんとね、現世に換算すると……」
「おれ、算数得意だよ! 三百年、でしょ!」
「あっずるい! オイラが言おうと思ったのに!」
……三百年。
気の遠くなるような長い時だった。
人の寿命なら生まれてから灰になるまで何回分だろう。想像もつかない。
「あなたたちにとっては、あっという間だったりする?」
祈るような思いで、私は3人を見つめた。
「長いなぁ」
「だって、待ち遠しいもんね!」
「時間の速さは、現世と変わらないんじゃなかった?」
そっか。
……そうだったんだ。
そんなにも、長い間、旦那様はずっと私を待っていてくれたんだ。
……それなのに。
玲凛の言葉が蘇る。
ーー主は、花嫁様のために心を尽くしておられます。
どんな気持ちだっただろう。
三百年も待った花嫁が、別の男を愛していたなんて。
それでも旦那様は、私の心が追いつくまでまつと、そう言ってくれた。
ーー 一刻も早く、許されざる恋の死体を葬り去るべきだ。
だって、私は旦那様の花嫁なのだから。
改めてそう心に決める。
「妃殿下?」
「だいじょーぶ?」
「顔色悪いよー?」
俯いた私を心配そうに、3人が見上げた。
……いけない。子供達を不安がらせてしまったわ。
せっかく旦那様が私に与えてくれた仕事だ。
ちゃんとこなさなきゃ。
「いえ、大丈夫よ。それよりみんなが知りたいのは、花嫁が喜ぶこと、よね?」
私が尋ねると、3人はそのとおり! と大きく頷いた。
微笑ましく思いながら、咳払いをする。
「それならーー……」
花嫁。私のように現世から連れてこられる人の女性。
彼女たちはどうすれば、喜ぶだろう。
ふっ、と浮かんできたのは、色とりどりの着物だった。もちろん、物も嬉しかったけれどーー。
「それなら、あなたたちが花嫁を思ってくれることがきっと、一番嬉しいことよ」
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