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鴉の運命の花嫁は、溺愛される  作者: 夕立悠理


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16/17

十五

 大きく頷いた三人は説明してくれた。

 昔は違ったようだけれど、花嫁を迎えられるのはそれぞれの族長だけだ、と。


「あれ、じゃあ……」

 三人を見る。

 まだかなり幼い子どもたちだけれど、三人は花嫁を迎える前提で話していた。


「僕たち将来、族長になるの!」

「花嫁はやくおれのところにこないかなー」

「待てば待つほど、嬉しいんだろうなー。陛下みたいに」


 陛下、みたいに?

 飛翔の言葉に首を傾げる。

 そうだ、玲凛も旦那様は私をずっと待っていたと言っていた。


「雅楽様は……どれほど私を待っていたの?」

 妖が何年生きるかわからないけれど、そんなに歳が離れているようには見えなかったし、数年くらいかしら。


「えっとねー」

 紅玉が指を三本立てて私を見た。

「これくらい?」

「三年……」


 よかった。

 思ったより短かったみたい。


「うーんとね、現世に換算すると……」

「おれ、算数得意だよ! 三百年、でしょ!」

「あっずるい! オイラが言おうと思ったのに!」


 ……三百年。

 気の遠くなるような長い時だった。

 人の寿命なら生まれてから灰になるまで何回分だろう。想像もつかない。


「あなたたちにとっては、あっという間だったりする?」


 祈るような思いで、私は3人を見つめた。

「長いなぁ」

「だって、待ち遠しいもんね!」

「時間の速さは、現世と変わらないんじゃなかった?」


 そっか。

 ……そうだったんだ。


 そんなにも、長い間、旦那様はずっと私を待っていてくれたんだ。

 ……それなのに。


 玲凛の言葉が蘇る。

 ーー主は、花嫁様のために心を尽くしておられます。


 どんな気持ちだっただろう。

 三百年も待った花嫁が、別の男を愛していたなんて。


 それでも旦那様は、私の心が追いつくまでまつと、そう言ってくれた。


 ーー 一刻も早く、許されざる恋の死体を葬り去るべきだ。

 だって、私は旦那様の花嫁なのだから。


 改めてそう心に決める。


「妃殿下?」

「だいじょーぶ?」

「顔色悪いよー?」


 俯いた私を心配そうに、3人が見上げた。

 ……いけない。子供達を不安がらせてしまったわ。

 せっかく旦那様が私に与えてくれた仕事だ。

 ちゃんとこなさなきゃ。


「いえ、大丈夫よ。それよりみんなが知りたいのは、花嫁が喜ぶこと、よね?」


 私が尋ねると、3人はそのとおり! と大きく頷いた。

 微笑ましく思いながら、咳払いをする。


「それならーー……」


 花嫁。私のように現世から連れてこられる人の女性。

 彼女たちはどうすれば、喜ぶだろう。


 ふっ、と浮かんできたのは、色とりどりの着物だった。もちろん、物も嬉しかったけれどーー。


「それなら、あなたたちが花嫁を思ってくれることがきっと、一番嬉しいことよ」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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