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強くてニューゲーム(仮)  作者: しゅがぞう
第二章 聖槍・勇者・加護・王編
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第86話 目指すは東

食事会は大いに盛り上がり、お腹を満たした面々はルメリオさんが持ち込んだ、リバーシに興じている。


「ふむ。これはチェスに比べて、単純であるが...単純ゆえにまたこれも良いものだな」

「これは一般向けと...ほう。流石だな。よく考えられておる...。これもカノンの販売戦略とな?」


国王様の受けもよく、ルメリオさんは満足気だ。国王のお墨付きとして宣伝できることだろう。


...


リバーシも何となく興味が一巡したころ、続いてロックの買取の件となる。


「ふむ。カノンよ。貴重な魔物素材だ、できるだけ国で買取りたいと考えるが、いかがだろうか?」


「えぇ。国王様、私達はその「羽」の一部で装備を整えたいと考えていまして、それと...処理できない分の肉がありましたら、持ち帰ろうかと...まぁ...希望としてはそれくらいでしょうか」


「そうか、すまないな。ではどうであろう。羽による装備は、王宮で抱える職人に作らせよう。さすれば手間もかかるまい。準備する分は...カノン冒険者一行で十着ほどの装備を準備させるようなイメージでどうであろう?」


「えぇ。国王様ありがとうございます。ではその十着分。それと別で二人分程度の羽も、素材のままお返し頂けると助かります。職人の方とは私どもで直接希望を申し上げても良いのでしょうか?」


「うむ。問題ない。職人と打ち合わせて、現状の装備の強化をするのも良いだろうし、全く新しいものを作ってもよい。」


「無論、買取り分は金貨で支払いもするが、その装備を整える分の費用も、国で負担しよう。せめてもの礼だ。リネアを迎えに来るタイミングで、職人と打ち合わせて、採寸などすませても良いだろう。」

「ちなみに二名分の羽はどうするつもりだ?」


「はい。ありがとうございます。二名分の羽の用途は、まだ考えていないのですが...。一人分はブランケットの文をくださった女性に、お渡ししても良いかなと思っております」


「ほう。参考までに何故なのか聞いてもよいか?」


「そうですね。今回の討伐対象、ロック鳥はこれまで対敵した魔物の中で、一番の強敵でした。間接的に人間の敵となった魔物でしたが、その強さも美しさも、こう...言葉に表現できないものがございましたので。」


「文をくださった女性は服を仕立てていらっしゃるようでしたので、記念というか...その魔物が存在したという証に、何か服を仕立てていただけたらとも思うのです。」

「まぁ、お肉の一部は唐揚げで食べちゃったわけですから、何言ってんだって感じなのでしょうが」


「ふむ。魔物の美しいところを感じたと...。そうか、なかなか聞く話ではないだけに...わからんでもないな」

「ロック鳥の素材を、初めて目の当たりにしたが...特に羽と嘴、爪は見事なものだったからな」

「なかなか面白い話だ...。そうだな...宮廷画家にでも、そんな絵を描かせてもいいかもしれないな」


「宮廷画家ですか」


「うむ。普段は肖像画や人物の彫刻などをしている、画家だな。興味があれば提案しても面白いかもしれんな」


...


こうして無事に食事会と報告会は終了を迎えたのだった。ノクトームさんとルメリオさんと別れ、レイミー、ナージャ、ミディは村に送った。俺達一行はまた明日、リネア王女を迎えにいかないとならないが、装備の新調のためもあるので、宿に泊まることになる。今は宿の酒場で軽く打ち合わせ中だ。


「カノン?あんな貴重な素材で俺達の分もいいのか?」


「うん。持ってるだけじゃぁ意味ないし、お金もまだ十分でしょ?」


「えー、じゃああたしどうしようかなー」


「羽がさ、すっごい防刃効果があるからさ、前衛のみんなは多分、装備の裏地とかにいいかもしれないし、ベストとかインナーとかでもいいかもな」

「ほんで後衛はローブとか、インナーとかそんな感じかな」


「ウフフ、そんなに凄いのですか?」


「俺のね、本気の一撃で刃が通らなかったからね...」

「完全に奇襲だったのに...ちょっとショックだった」


「えぇ!?カノンさんの一撃でぇ?」


「...それは凄い...」


「あと、もしかすると、氷属性とか雷属性に耐性もあるかもしれない」


「ふむ。耐性とな」


「そうなんですよ、ロックが氷属性の魔法を放ってきたのと、放った雷属性の魔法の効きが良くなかったので」


「カノンさん、でも他は試してないんだろ?ロックだし、他の耐性もあるかもな」


「あぁ、言われてみるとそうかも...」


「カノン様、楽しみですわね、ありがとうございます」


「カノンあなた...わたしの分はあるのかい?」


「え?ダウラスさんの分はないですよ?」


「えぇ!?カノン...わたしは傷ついたわ...」


「だってダウラスさんは冒険者じゃないじゃないですか!」

「あぁ、でもリンドルさんには素材をお渡ししようと思ってまして...」


「カノンあなた...わたしを差し置いて...、でもリンドルに言って、それでわたし用を作ってもらってもいいわけね?」


「じゃぁいいですよ、ダウラスさんの分も明日お願いしてみますから!」

「多分、断られたりはしないでしょうし」


「えぇ?ほんと?嬉しいわ」

「じゃぁ...わたしも今晩は、ここに泊まらないとならないわね?」


「ムムム」


「それより、リネア王女の件はどうなるのよ?」


「うーん。まぁ普通でいいんじゃないかって思うんだよね?」


「...普通?...」


「うん。国王様も預けるってのが、どういうことかは十分理解されているだろうし...」

「本人の希望だって言うんだからね」


「カノンさん?ゲートはどうするんだい?」


「あぁ。ゲートも大丈夫でしょ。一応、王宮にも口外しないでということにはするけど」


「ウフフ、まぁわたし達もそうですからね」


「それに...ロックの羽装備を整える中に、リネア王女の分も入れておいたし」

「万一にも、自分から危険に飛び込むようなことがなければ大丈夫でしょ」


「それで...カノンさんは明日以降はどうされるんですかぁ?」


「うーん、そうだよねぇ。まだ国内でも回ってない地域もあるしなぁ」


「だったら!東の地域を目指さない!トーレとかピピンとか!カリオール方面!」


「東の地域?」


「そう、トマトとか野菜が美味しいのよね!」


「あ、わたしもいきたいなぁ」


「トマトかぁ、村にはないもんなぁ」


「うむ。ピピンとかであれば海産物も期待できるな」


「海産物!いいですねぇ!」


「よっし!決まり!あたし絶対行く!」


「わたしも行きますぅ」


「じゃぁ...わたしもいこうかしらね」


「ムムッ、ダウラスさんはお仕事ありますわよね?」


「ギルドの?ううん。あれは大丈夫...元からわたしがいなくても回るくらい、ちゃーんと教育していますからね」


(ファンか...)


(ファンだな...)


(たぶんファンだろうな)


「お嬢ちゃん達の指導も...お仕事の内よ...?」


(ムムッ、反論しづらいですわ...)


「じゃぁリンドルさんのとこに素材置きに行ったらそんな感じかな?」

「行けるとこまで行って、夜はゲートで戻ってくる感じだね」


「ウフフ、そうしましたら途中で交代してもよろしいですわね」


「そうだね、身体が鈍ってる人はラクレットのギルドで依頼こなしたり、東を目指したり?」


「「「「「「「「「さんせーい!」」」」」」」」」

リネアに冒険者としての旅や経験を積ませる意味で、ゲートではない普通の冒険者の旅をする予定です。


★ご覧いただきありがとうございます★


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