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強くてニューゲーム(仮)  作者: しゅがぞう
第二章 聖槍・勇者・加護・王編
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第80話 神秘的な池

第80話と第81話の同時公開です。

その晩は、リンドルさん宅で食事をした。状況が状況だけに浮かれて盛り上がれたわけではないが、リンドルさん、ダウラスさんの互いの近況報告の交換を交え、俺達も楽しく過ごすことができたのだ。


食後は軽く街を散策しながら宿屋へ向かい、宿を決める。


ユウリたっての希望で、女性陣二名と男性陣二名の部屋で、一階と二階で、できるだけ遠い部屋をとることになったのだが、ユウリはそこしかなかったと言い張っているようだ。


部屋へのわかれ際、ユウリがアローレに重要な指令を言い渡していたらしいが、機密事項にあたるらしく、俺には詳細は共有されていない。


...


翌日の早朝、宿の前で三人に見送られ、ロックが住むという丘を目指した。馬車で一日と言っていたので、カミュならば数時間程度だろうか。


巨大幼鳥とのことなので、急に襲われるのもいやだ。だから今回はカミュには、いつもよりもかなり高い高度で運んでもらっている。まじで落とさないで欲しい。


随分高い高度での飛行なので、地域の地理的な要素がよく理解できた。


進路的には北方向、森の上空を飛行しているのだが、左手...つまり西側は平地が多い、家畜の飼育にはいいのだろう。そして北西側には高めの山がある。右手側は平地っぽいのだが、西側に比べてこう...色が茶色っぽい土地が多いように見える。地質の違い、または育てている農作物の違いなのだろうか。


...


多分、目的地の半分くらいまで来た辺りで、森に囲まれたとても綺麗な池を見つけた。上空から見てもとても綺麗な池であることがわかったので、興味本位で降り立ってみた。


複数の池が纏まっている場所なのだが、池ごとに色が異なるのだ。見ごたえがある。


ひとつは薄い青、ひとつは深い青、ひとつは薄い緑、ひとつは濃い緑、ひとつは黄色、ひとつは薄く濁っていて、ひとつは黒、ひとつは白。


恐らく、池自体の深さや水草の種類、光の加減や池底の沈殿物による影響なのだろう。


なんとも神秘的な様相である。日が厚い雲に遮られ、池に影が落ちると、また色合いが変化するのだ。


ドクン...。ドクン...。


鼓動が少し高鳴った...。


初めて来たところなのに既視感を感じる。目の前の神秘的な池に目を奪われただけでは、鼓動が高まる理由にならない。


また少し不思議な感覚を覚える。スッと池に吸い込まれるような感覚だ。周りの森の影響だろうか、ひんやりとした空気がとても気持ち良く、心地良い。


何故かもうしばらく、ここにいたいという気持ちになるのだが、そうもいかないだろう。


時間を考え、しぶしぶその池を離れることになるのだが、池に面白いものも見つけたので、また来るとしよう。


...


ロックの巣とされる小高い丘を上空から発見した。そのまま上空から近づくと黒い大きな物体を視界に捉えることができた。休んでいるのだろうか...動きはない。


(さて。逃げられても厄介だ...あれでいけるかな...)


少し考えてから、高度を下げ、カミュに放ってもらう。空中で人化して魔剣エクスキューションを召喚し、魔法を唱えつつ、ロックの首元目掛け、剣を振り下ろす。


上空からの奇襲である。


「ウオリャー!!」


ガキンッ!!


(うぉ...これは凄い...硬いな...)


上空からの落下の衝撃は、剣を振り下ろした衝撃に相殺され、俺自身に問題はない。

しかし上空からの落下速度を加えた一撃であったというのに、ロックの首を切断するまでに至らない...。


全く刃が通らなかったわけではない、ロックも剣をたてた部分から出血はしているのだが...どう考えてもダメージという感じにはなっていない。


しかし...流石にSS級だ。完全に不意打ちだった一撃は、剣が入る直前、ロックがその気配に気づいたのだろう、少し体勢を変え、衝撃を受け流したようにも感じる。


体表が硬いものに覆われているわけではない、ロックは羽に覆われているだけなのだが、超繊維と表現される羽は、さながら防刃素材といった感じだ。


(あれで防具を作ったら相当良いものができそうだな...)


そう考えるくらいの余裕はあったのだが、残念ながら魔剣エクスキューションの武器効果は不発だったようだ。


「ギョアアアアーッ!」


ロックが咆哮に近い声を発し、体勢を起こし羽を広げる。


咆哮もバカでかいので、身体にビシビシと衝撃が入る。並みの冒険者であれば吹っ飛ぶくらいの咆哮だろう。


そして驚くのはそれだけでない、羽を広げた時の大きさが、もの凄いものだった。


ロックは嘴部分だけで、大きな家畜でも丸のみにできるくらいの大きさがある。まぁ、鳥なので丸のみにすることはないのだろうが、表現としては適切だろうと思う。


その鳥型の魔物が羽を広げるのだから、その大きさは想像に難しくないだろう。


(見た目だけでいえば、そこらの住宅よりでかいな)


前回のジグモスも巨体だったが、広げた羽を含めれば、見た目の大きさはジグモスを余裕で超える。


するとロックは嘴を大きく開け、大きな氷塊を召喚する。


キュイィィィ...ドウッ!!


氷属性の魔法だろう。不意に放たれた氷塊だったので、これを魔剣で切断する。


スパンッ


質量的にも相当な氷塊であったが、魔剣の切れ味には及ばない。しかしロックは氷塊を連発してきた。


キュイィィィ...ドウッ!!

キュイィィィ...ドウッ!!

キュイィィィ...ドウッ!!


魔法であればと思い、とっさに魔剣エクスキューションを聖剣オベリクスに持ち替える。

そう、武器効果 反射:(リフレクション)だ。


聖剣に触れた氷塊は一度消失するかのような様相を見せるが、それと同時に氷塊が再構築され反射される。


キュウゥゥ...ドギャッ!ドギャッ!ドギャッ!


突然跳ね返った氷塊に、ロックは咄嗟に防御態勢を取るが全弾が直撃する。この不思議な現象に危険を察知したのか、大きく開いた嘴は閉じられることになる。

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