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強くてニューゲーム(仮)  作者: しゅがぞう
第一章 聖剣・魔剣・伝承・呪い編
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第38話 すっとんだ記憶

翌日、早めに宿で朝食を取り、街の散策の続きだ。ギルドには昼頃でいいか。


昨日は夕方だったため閉店していた店が多かったのだろうか?昨日よりも露店が

多いようだ。宿を出てすぐに並んだいくつかの露店を覗いてみた。


ルミナーゼにもあった香辛料中心の店、果物を中心に売っている店、

野菜を中心とした店、大小様々な露店が立ち並ぶ。


目をひいたのはパンだ。ルミナーゼよりも種類が多い。

様々な形状に加工されたパンが華やかに並べられていて圧巻である。

流石、農業が盛んな地域といった印象だ。今度是非買って帰ろう。


しかし次の、豆などを扱っている露店を覗いたところでその思いはすっ飛んでしまう。


「これは何の粉末ですか?」


「これは小麦だな、こいつでパンを作るとふわっとしてうまいぞ」

「こっからここまでは全部小麦だ!」


「へぇ、種類多いんですねー」

「じゃあこっちは?」


「これはそばの実だな、スープとかに入っているだろう?疲労回復にいいぞ」


「へぇ。」


(そばの実をスープにかぁ...こっちでは麺にはしないのか?)


「えっとじゃぁこっちの白いのは?」


「えっとそりゃ米だよ、米」

「パンにするにゃ硬くてね、パンなら断然小麦だよ小麦」


「え...えぇ!」

「これって米ですか?な...なんで粉状に?」


「そりゃパンにするためだよ、まぁ麦より安価だから買うやつはいるがな」


たぶんこの世界に来てマジックリング作成以来の衝撃である。

この世界で初めて「米」をみたのだから。パンが普通のこの世界では「小麦」が

主な食料である。


「こ...これの粒状のものとかって置いてありますか?」


「米の?いやそりゃ置いてねーよ。農家にいきゃあるかもだけどな」


「そ...そしたらどこの農家から仕入れられてんです?」


「あん?兄ちゃんウチで買う気あんの?」


「え...あ...待って買う、買いますから!」

「じゃぁ、米とそばの実!袋ごと買うから!買うから教えて!」


「ふーん。」


「いやわかった大将!負けた!米とそばの実の袋をあるだけ買うから!」


露店の大将は当初不信な目で見ていたが、最終的に笑顔になり、

ニコニコと農家の場所を教えてくれた。

馬車まで運ぶからと言って荷車を借り、人気のない裏路地でゲートに放り込み、

荷車を返した。終始ペコペコしてたのは俺の方だ。どっちが客かわかりゃしない。


今、俺の目は「米」になっていることだろう。

次に生まれ変わることがあったら米になってもいい。そう思えたのだ(嘘)。


買ってしまった米粉は団子とかせんべいとかにできるだろう。

そばの実はやっぱり蕎麦にしたいかなぁ。あれ?そういえば砂糖ってあるのかな?

あれちょっと待って、俺、食材のこと何にもわかってないじゃん!


...


お昼を迎える前、ギルドに行くとハインケルさんが出迎えてくれた。

そのまま昨日と同じ個室で二つの依頼を提示される。


「で、これがおめぇさんに依頼したい案件だ」


「えーっと、二件ですね?」


「おぅ申し訳ない」


「いえ、構いません」


「内容なんだけどな、ちょっとやっかいかもしれねぇ」


「というと?」


「じゃぁ順番に...まずこれがバジリスクとコカトリスの討伐だ。

バジリスクとコカトリスは知ってっか?」


「いえ全く」


「じゃぁ説明するな」


個体名:コカトリス

モンスターランク:A級


鶏の突然変異でオス。群れで行動する。基本的に同種以外は敵として捉える習性を

持つ。 サイズは鶏より一回りほど大きめでバジリスクよりやや小さい。

雌雄つがいで存在し、コカトリスを発見する時、ほぼ必ず近くにバジリスクがいる。

個体自体の強さは左程でもないが、やっかいな石化攻撃をしてくる。

羽はあるが飛行はできない。上位種のゼンドリスはS級の個体である。


個体名:バジリスク

モンスターランク:A級


鶏の突然変異でメス。群れで行動する。基本的に同種以外は敵として捉える習性を

持つ。 サイズは鶏より二回りほど大きめでコカトリスよりやや大きい。

雌雄つがいで存在し、バジリスクを発見する時、ほぼ必ず近くにコカトリスがいる。

個体自体の強さは左程でもないが、やっかいな石化攻撃をしてくる。

羽はあるが飛行はできない。上位種のゼンドリスはS級の個体である。


「というわけでよ?個体の強さはそうでもないんだが、石化ってのがやっかいでよ?」


「石化ですか...。」


「お?ちょっとまずかったか?」


「石化自体を体験したことがなかったので...」


「まぁ多分兄ちゃんなら平気だ」

「いやよぅ、石化っつても一撃でどうこうじゃねーのよ。石化液をくらった

箇所だけ石化するって感じだ...。まぁ何度もくらうとまずいけどな」

「個体は大した強さじゃねーから、動きは鈍いんだ」


「でも石化のリスクがあって煙たがられているってことですかね?」


「いや、依頼が残っちまってるのはみっつの理由だ。」

「ひとつが個体が小さいから金になりにくい」

「もうひとつが発見された場所だな」

「で、もうひとつが基本的に放っておいても縄張りに入らなければ害がないってことだ」


「なるほど...」


「まぁ小さいってのはどうしようもない。その分成功報酬は高めになってる」

「場所がよー、東の山の高台なんだよなこれが」


「すみません。地理的にも詳しくなくて...」


「あぁ、いやすまんすまん。行く方法がひとつしかねぇんだ。

というのも東の山の向こうは峡谷になっててな、東側からは入れねぇんだよ...。

仕方ねぇからこっちの西側からいくだろ?そうすっとそれはそれで傾斜がきつくてな」


「なるほどですね」


「そんな理由で長らく放置されてる案件なんだ、まぁまだ放っておいても

いいんだけどあんまり放っておくと今度は上位種が生まれる可能性があるからな」


「はぁ~。つがいだからですね?」


「そういうこった」

「まぁ挑戦するってんなら、その手前にパティスって村があるから、そっからだな」


「パティス!」


「ん?どうした?」


「いや...こちらのことでして...、すみません続けてください」


思わず声が大きくなってしまった...。それも理解して欲しい。なぜなら来る前に

発見した「米」の農家が東のパティスにあるって露店の大将が言ってたからだ。

ついでってことなら悪くもない。

正直パティスが本命って意味になってしまうのはご愛敬だ。


「でよ、もう一件の案件がポイズンフロッグだな」


個体名:ポイズンフロッグ

モンスターランク:A級


毒のある個体で相当数の群れをなす。繁殖力が旺盛で、繁殖期を迎えると爆発的に

増加する。個体自体の強さは左程でもないが、その繁殖力は生態系を壊すほど

である。早い内の討伐が求められる。体内の粘液が毒消しになる。

下位種のマイントードはC級の個体である。


「これは今の説明のとおり、早めの討伐が必要って意味でA級だ。個体数が多い

ことと、毒を持ってることがやっかいだが、やっぱり強さって意味じゃぁ

大したことはねぇ」


「なるほど。」


「でよ?こいつも場所が問題なんだよ」


「こいつもよー...はぁ。...さっきのバジリスクで東の峡谷っていっただろ?」


「えぇ、峡谷ですからそれなりに深い谷ってことですよね?」


「そうなんだよ...さっきは高台でこいつは谷よ...つまりな?峡谷の谷に降り立つ

方法が、これまた限られるのよ...。いや場所はバジリスクの発見場所のほぼ真下

なんだけどな...」


「なるほどわかりました!つまり谷に降り立つ方法が下流からしかないってとこですね?」


「いやぁ兄ちゃん流石だ!ご名答!峡谷の上流側はそのまま山になってるから、

下流からしか行けねぇってことだ。まぁ効率が悪いんだよ効率が。」


「ポイズンフロッグはよ?表皮の粘液が毒消しに使われるんだがよ?体内のある

部分に、粘液溜りがあってな?だから倒したんなら是非とも買取てーんだが、

峡谷だろ?個体を丸ごと持ち帰らねーと勿体ねーのに討伐後に

また川を下ってーとかよ...それがうじゃうじゃいるんだからよー」


「いやまぁそうなりますよね...」


「まぁこっちも幸い繁殖期は一度しか越えてねぇからまだ時間的な猶予はあるんだけどよ」


「バジリスクとポイズンフロッグはどれくらい討伐するイメージですか?」


「バジリスクはコカトリスとつがいだから二匹だろうな。

変異型だから普通の鶏と一緒にいるハズだぜ。

...ポイズンフロッグはかなり上下するけど50から100ってとこかな?」

「あとなんか聞きたいことあるか?」


「えーっと、ポイズンフロッグは魔法で倒しても平気ですか?」


「あぁ!そいつは大丈夫だ!まぁ数も数だしそりゃぁ魔法になるわな。大丈夫。

個体が丸ごと残ってりゃ問題ねぇ。むしろ斬っちまうと粘液溜りが破れちまうかもだしな」

「どっちかてーと兄ちゃんにゃぁポイズンフロッグをお願いしたいけどな!

例のアレで持ち帰りできんだろ?」


「えぇ、まぁ。とりあえず両方お受けしますよ」

「駄目そうだったら戻りますから!」


「おぉ!流石だ!そうしたら今毒消しと石化解除のポーション多めに持ってくるからな!こいつは返して貰わなくていいぜ!」


...


「こんなにいいんですか?」


「おぅ問題ねぇ。このヤマの為に用意しといたもんだからよ?」


「ちなみに...詳しい場所ってわかりますかね?」


「おぅ!高台ならこの街からでも見れるからな、ちょっと見れるとこまで案内しよう!」


...


その後ハインケルさんに案内され、遠くに見える高台の場所を聞き、

本命パティスの場所も把握した。


ハインケルさんが別れ際に「フィンドールさんに会うタイミングがあったら、

ハインケルんとこは地理的に苦労してるみたいですよーって

アピールしといてくれ」って言ってた。顔に似合わずアピールが可愛らしいの

でちゃんと伝えることにしよう。

ご覧いただきありがとうございました!モチベに繋がりますので、よろしければブクマと評価頂ければ幸いです!

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