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強くてニューゲーム(仮)  作者: しゅがぞう
第一章 聖剣・魔剣・伝承・呪い編
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第3話 飛んで街まで

ご覧いただきありがとうございます。第一章は序章として世界観を共有させていただきました。物語は大まかに第二章から進みますので、退屈かも分かりませんがお読み頂ければ幸いです。

なお、第一章は物語の伏線となる要素を散りばめていますので、その辺りも気にして見て頂けると、第二章からグッと面白くなるかと思います。

二日目の朝を迎えた。




とりあえず一晩過ごしてわかったことがある。

カミュの寝相がものすごく悪いのだ。夜中に何度かしっぽが顔面を強打した。


目覚めてみると10m先くらいでカミュが寝ている。


「カミュおはよう!」と声をかけてみると、眠そうにしながらカミュが目覚める。


ボワッ!


あくびと同時に軽く火を吹いた。...危ない。


とりあえず街を探しに行こうと、軽く準備運動を済ませることにする。

運動中に気づいたことがある。少し身体が軽いのだ。


転生前は運動不足がたたり、肩はこるし、たまに起きる腰痛も油断ならなかった。

屈伸運動とかも苦しい感じで、アキレス腱とかもカッチカチだったというのに...。


今の身体はそういったことを全く感じない。いやむしろキレがある感じだ。

十代のころと遜色ないと言っても過言ではない。


とまあ街を探し歩き始めるつもりだったが、ここで名案を思い付く。


カミュに運んでもらってはどうだろうか???


...結果から言うとカミュに運んで貰う作戦は成功だ。


ただし人型ではカミュに持ち上げてもらうことは叶わず。虎型で持ち上げて

貰っている次第だ。


丁度クビの後ろをカミュの足で掴んでもらい飛行することができたのだ。


...


さながら子龍に狩られた虎といった様相だ。


...


上空にあがったところで、だいぶ遠くに見える、煙突のようなものから煙が

でているようだ。


(とりあえずあそこに向かってみよう)


しかしこれ...。(下を見る)


(カミュ!絶対落とさないでよ!)


言葉を発することはできなかったが、カミュにこの気持ちが伝わっていると嬉しい。


...


それなりに煙突に近づいたところで、煙突のあるところが街であることがわかった。


俺は人化できるので問題ないが、龍は流石に珍しいかもしれない。

余計なトラブルに巻き込まれるのも面倒だ。街より少し離れたところにカミュに

降ろしてもらう。


どうやら言葉になっていなくても、カミュには俺の言いたいことが伝わるようだ。


...


「カミュ!少し姿を消すことができるか?」


カミュは頷いて、俺の右手の掌に消えていった。


街は柵に覆われていたが、仰々しい柵でもない。このあたりは治安も悪くないの

だろうか?

少し近づいたところで、門番のような人に話しかけられる。


「よぉあんた見ない顔だな!」


門番の男性は中年くらい。手には槍を持ち、この街に入る人間のチェックを行っているようだ。

門番だというのに、喋り方も気軽な感じで親近感を感じる。


「こんにちは!私、このあたりは初めてで、この街に来るのも初めてなんです。

今晩泊まれる宿はありますでしょうか??」


「そうかあんた初めてか?ここはラクレットの街さ!このあたりは御覧のとおりの

田舎で、人の出入りはあるが、新顔は比較的珍しい。

俺が見ない顔ってーと、あんたは旅人か冒険者ってとこかな?」


(旅人...。冒険者...。いくつか気になるワードがでてくるものだ。)


「あれ?そういえばあんた馬車とかは???」


「馬車?ああ、いえ私は歩きでこちらに訪れました。」


門番が少し驚いた様子を見せる。


「歩いて?そりゃまぁ珍しい。ここはよその街からも遠く、

大抵の人は馬車でくるもんだからなぁ...。」


「そうか!あんた素材の収集家かい?収集家なら歩いて素材の収集を行いながら、

次の街を目指すのも珍しくない。でもこのあたり少ないとはいえ魔物もいるし、

気をつけろよ?」


「...ええ。ご親切にどうも。」


とりあえず話を合わせにいく。


「だったら村の端っこにある、リートって店を訪ねるといい。素材の買取を行っているぞ」

「宿は街の真ん中にあるぜ。店構えはそこそこだが看板はでかいからわかると思うぞ」


そういって門番の男性は軽く案内してくれた。


「ありがとうございます!」と門番の男性にお礼を伝え、街に入る。


(田舎とか言っていたが、それなりに人はいそうじゃないか。)


よく見ると冒険者っぽい人間や、食品を売っている露店。

煙のでている工房のような建物も見られる。


そうこうしているうちに、門番の男性が言っていた大きな看板の宿を見つけることができた。


「すみませんこんにちはー」といって宿の扉を開ける。


しばらくすると宿の叔母さんが「いらっしゃいませー」とカウンターに出てきた。


「おや?あんた見ない顔だね?ここいらは初めてかい?」


「ええ。そうなんです。こちらは一晩いくらくらいですか?」


「この宿はシングルで一晩銅貨4枚。朝の食事つきで銅貨7枚だよ。」

「この街にはほかにまともな宿もないから、ここが最低価格って感じだね!」


押しの強めな叔母さんだが悪い人ではないらしい。ただ俺は金をもっていないのだ。


「あんた見たところ冒険者ってかんじでもないし、収集家かなんかかい?」

「お金に不安があるなら、素材を買い取ってもらってきたらどうだい?

素材買取の店はここからまっすぐ行ったつきあたりを左だよ。」


(買取かぁ、そういえばゲートに魚を収納していたな)


「女将さん。こちらで魚は買い取ってもらえたりしますか?」


「魚?どんな魚だい?」


女将さんに見つからないよう小さくゲートを開き、取り出した魚を女将さんに見せる。


「これは珍しいねえ。」


話をきけば、地域的に魚を仕入れる機会が少なく、

この魚はなかなか獲れない魚で、稀少な食材として好む人も多いらしい。

(確かに味付けなしでも旨かったのだから納得)


生息地も一部に限られており、生息地付近には狂暴な魔物もいることから、

高いリスクを犯してまでこの魚をとりにいく人はいないそうだ。


「そうだね...鮮度もいいし、1匹銅貨18枚で買い上げてもいいかな」


宿代が食事つき銅貨7枚で、珍しいとされる魚の買取りが銅貨18枚。


(元の世界で考えると銅貨1枚が500円くらいってとこか?)そんなことを

思いながら計算する。


(1週間ほどここでお世話になるのなら、三匹の買取で相殺できないかな)


「女将さん、この魚合計三匹を買い取ってもらって、七日間こちらでお世話に

なりたいのですが?」


女将さんは

「そうさねぇ、三匹はちょっと多いけど...うちは夜に酒場もやってるからねぇ。

仕入れたってことなら常連も喜ぶだろうし...。まあ部屋も空いてるからね...

それで構わないよ!」


とのことだった。


よかった。魚は余ってはいたが、先行きがみえない俺のお財布事情。


カミュもこの魚を食べるし、ちょっと多めに魚を手元に残しておきたい気持ちが

あったのだ。


宿での食事が朝だけとすると、夜にひもじい思いをする可能性もあるからな...。


「じゃあ女将さんそれでお願いします!」


...


女将さんに案内され宿の一室で寛ぐことができた。


...


(ああ、なんだかとても久しぶりに感じる安心感)


昨日の今日で時間的な経過はなかったが、それこそ昨日は色々なことが起きすぎた。


20年分に匹敵するほどの衝撃を受けたのだから...。


暫くぼーっとしたところで、今後のことを考えるためベッドで横になる。


...


うとうととしていたのだろうか、気が付くとあたりは薄暗く、夕方を迎えている

様子だ。


「しまった!寝るつもりじゃなかったのに!」


とはいえ特別に急ぐ用事もない。そうだったとカミュのことを思い出す。


右の掌に意識を集中させカミュを召喚する。


ボフッ!


カミュが召喚される。


...そういえば魔剣を獲得したことで現れたスキルのうち、「龍種召喚」を試して

いなかった。


カミュをすでに召喚していたからであろうか、よく考えてみれば恐ろしいことだと

いうのに、俺は左手に魔力を集中させ「龍種召喚」と念じたのだった。


ボフッ!


カミュが驚く様子をみせている。


それはそうだ。自分に似た生物が目の前に現れたのだから。


オレンジよりやや黄色っぽい赤ちゃん龍が、つぶらな瞳でこちらを見ている。


サイズはカミュと同じくらいのサイズだ。初めて召喚したわけだが、

カミュと同じような親近感を感じる。


ここでよく考えずに召喚を行ったことを反省した。

万一カミュと違う龍が現れたなら、宿をまるごと潰してしまっていたのかも知れない。


まぁ惨事にならなかったわけだし、深く考えてもしかたがない。

反省はするが過ぎたことはどうでもいいのだ。


(こいつにも名前が必要だな。どうしようか。)

(カミュと同じ感じ...語呂だけで決めよう!)と考える。


(ラブ...ラビ...ラヴィ!)

(カミュとラヴィ!悪くないんじゃないか?)


「じゃあお前はラヴィだ!」


黄色の赤ちゃん龍はうっすらと光をまとい発光した後、すりすりと頬ずりを

してきた。 やはり嬉しいのだろうか?


カミュもそうだが、声は発っしないものの、こちらの言っていることは通じるらしい。


こうして俺は多分珍しい、ニ匹の子龍とともに異世界生活を始めるのであった。

ご覧いただきありがとうございました!モチベに繋がりますので、よろしければブクマと評価頂ければ幸いです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 名前はラヴィかw 名前だけで笑いがでるなw ラヴィの原本を知らなかったら セガ ラヴィ で検索して動画ででてくる曲を聴くことをお勧めしますw
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