第17話 エルフの村にて
(久しぶりに予定がないので、今日は村で過ごせそうだ)
昨日はルメリオさんの店をでた後、一度村へ戻りユウリと合流し、
ラクレットの街に行って冒険者ギルドへ依頼達成の報告を行った。
報酬は小金貨で3枚。途中スクエイトさんに呼ばれて詳細を聞かれたので、
ありのまま報告したところ、ジレットバイコーンの件でまた少し固まっていた
ようだが、あまり気にしないことにした。
スクエイトさんには今回の依頼を紹介してくれた件や、ギルド本部への
早文の件でも助かったので、ルメリオさんの商店で購入した石鹸を
お土産として手渡しておいた。
シェーラさんのところにも寄ろうと考えたが、まだ数日しかたっていないし、
村に戻ってから食事の予定だったので見送ることにしたのだが、ユウリは立ち寄り
たかったらしく、あまり間をあけずに一緒にいきましょうと早期訪問の念押しを
されたのだ。
村に戻ってからはタイレンとシュウレンに軽く報告をしたのだが、
あっちいったりこっちいったりで少し疲れていたこともあったので、
お土産は明日でいいかなと思い休んだのだ。
「タイレン!少しいいかな?」
「カノン様!えぇ、勿論構いませんですじゃ」
「じゃあ街で購入してきた商品もあるから、シュウレンとレイミーも一緒にお願い!」
「ではわたくしがシュウレンさんを呼んできますわね!」
レイミーがシュウレンを呼ぶのを待って、お土産をゲートから次々にとりだした。
「えっとまずはジレットバイコーンの肉でしょー、そしてこれが食器と壺、
壺は食品の保存にも使えるだろうし、食器もくたびれていたから
多めに購入してきたよ」
「あとは調理器具に大きな鍋と大きなフライパン。鉄製だけどコーティングして
いるから、こびりつきもしにくいらしいよ?持ち手が両方とも木製だから、
これもいいなと思って多めに買ってきちゃった」
「カノン様!わたくしとてもうれしいですわ!」
レイミーが今にも飛び跳ねそうな勢いで喜んでいる。
基本的に家事は女性が行っているようだから当然か。革命的とはいかないまでも
これまでに不満があったのだろう。いや、そうでなくても
やっぱり新品の調理器具って嬉しくなるもんな。
「あぁ、あと石鹸だ!これは特にこの村には必要だなと思ってたくさん
買ってきたよ。病気になる可能性をグッと減らせるからね!
これは必ず各世帯に配って欲しいし、村の水場にも必ず設置して欲しいんだ」
「カノン様!わたくしにお任せくださいっ」
レイミーが村の女性達に早く共有したいのだろう、お土産をもって急いで外へ
駆け出していった。
「カノン様。レイミーがすみませんですじゃ」
「いやぁ、構わないよ。予想よりも喜んでくれたみたいで何よりだ」
「それで、シュウレン。レンガは効率よくできそうかな?」
ルミナーゼに行く前日にシュウレンにお願いしていた件だ。
...ラクレットに行ったことで気づいたのだが、この村は規模の割には村自体の
整備ができていない。基本的に木材で組まれた家に、舗装されていない道...。
水場を作った時から気になっていたことだ。
外部からの出入りがないので、必要以上に飾り付ける必要もないのだが、
衛生面でも街の整備を急ぐ必要がある。
その点、レンガは優秀だ。高く積めば家壁にもなるし、村を囲めばたまに周辺に
現れる小型の魔物の侵入も防げる。道路や水場の整備も可能だ。
水場の整備には取水用のゲートを一度閉じる必要もあるが、別の場所に設けても良い。
幸い、火魔法をつかえる村人もいるし、カミュとラヴィもいるので、
硬めた土を焼き上げればレンガが作れると考えたのだ。
俺の魔法の練習も兼ねて、岩操鉄槌:(アース・マニュアル・ハンマー) で、
ちょうどレンガサイズに加工、成形、硬質化された塊を使って、手が空いたり、
余裕が出るときに、焼き上げて作ってみるよう言っておいたのだ。
技術的にはエルフも知っていた内容ではあったが、これまではそういったところに
割く人手がなかったのが現実だ。食料事情が切迫していたので当然であろう。
「えぇ、時間はそれなりに要すると思いますが、手の空く者も出てきて
おりますので、早めに進めて参りたいと思います」
「じゃあ今日と明日で、俺とユウリで多めに素材は用意しておくから、
なるべく多くの素材をレンガとして焼き上げられるように進めていこう!」
「ただ、街の整備への着手については計画を定めてから着手したいから、
ある程度の目途がたったらまた打ち合わせしようか」
「ハイ!かしこまりました!」
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