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強くてニューゲーム(仮)  作者: しゅがぞう
第一章 聖剣・魔剣・伝承・呪い編
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第12話 護衛任務

ハッハッハッハッ


(昨晩は結構遅い時間まで盛り上がったなぁ)

(ユウリから共有されたシェーラさんの話のお陰かな?)


ハッハッハッハッ


お土産のフィリンググリズリーの肉は十分に村人に行き渡り、

多くの村人と一度に交流するいい機会となった。


いっぺんにたくさんの村人と触れ合ったことで気づいたんだ。


最初にこの村を訪れた直後に比べても、間違いなく村人の表情は随分明るく

なったように感じたのだ。


(まぁ最初は病魔に侵された村だったんだけどね...)


ハッハッハッハッ


(ん?俺が何してるのかって?)

(今日は初のギルドの依頼日だろ?)

(村にしばらく戻れない可能性もあるし...)


カミュとラヴィと追いかけっこの最中だぁーっ!!!(虎型で)


...


「ユウリ!カノン様をお守りするのじゃぞ!」


「うんじゃあ行ってくる!」


「「「「いってらっしゃいませ!!」」」」


村人に見送られ、ゲートでラクレットの街の外れに到着した。


丁度支部長のスクエイトさんと、依頼人の商人であろう人物が立っているのがわかる。


「スクエイトさん!お待たせしました」


少し離れたところから声をかけたところで、ふたりがこちらに気づく。


「おぉ!カノンさん!待ってたぜ!」

「お?!おねえちゃんもいい感じじゃあないか!」


「えぇ、お待たせしてしまったようで申し訳ありません」


「じゃあ紹介するぜ、こちら依頼人のルメリオさんだ!」


「どうも、初めまして。ルメリオと申します」

「道中よろしくお願いいたします」


少しふくよかな体型だが優しそうな表情の男性で、丁寧にご挨拶してくださった。

非常に感じのいい印象だ。


(大きな商店の経営者さんらしいのだから、ビジネスになると表情も変わりそうだけど...)

(何かいいことがあるかも知れない。こちらもいい印象を残したいところだ)


「初めましてルメリオさん!私はカノンと申します。こちらがブロンズ級の冒険者のユウリです!」


「ユウリと申します。どうぞよろしくお願い致しますわ」


(完全に決まったわ!最初の挨拶で相手の「名前」呼び。少しだけ覇気の乗る

元気な挨拶と続く二人目の綺麗どころからしっとりとした声色で丁寧な挨拶。

しかも事前情報がなければ、ブロンズ級の冒険者っていったら

男性を想像するだろうし...それが最初に挨拶した俺でなく

ユウリってパターンだもんな...もう結果はみるまでもない...)


「!!」


ルメリオさんの反応は完全に予想どおりにハマっていた。


「いやぁ、こんなにお綺麗な女性だとは思いもしませんでしたなぁ」

「お名前だけは伺っていましたが...」


商人であれば尚のこと、ビジネス外であれば隙だらけの状態。

名前が男性を連想させたのだろうか。元の世界線であればカノンもユウリも

男女判別しにくい名前だもんな、前情報を入れていなかったスクエイトさんに

感謝だ。こんど手土産でも渡してもいいかもしれない。


「いやしかし、本当に大丈夫ですかな?こんなお綺麗な人が護衛だなんて」


ルメリオさんが商人の顔を見せる


「いや間違いありませんよ!なんたってフィリンググリズリーを討伐したパーティですよ?」

スクエイトさんがフォローする




「えぇ!?あのフィリンググリズリーをですか?!」


ルメリオさんは商人の顔をしていたが、すでに最初の挨拶に

やられてしまっている。 表情にもほんのわずかだが綻びもあった...。


そんな隙を俺が見逃すわけがない。追加情報で安心をお届けするとしよう...。



「ルメリオさん、ユウリは中位魔法も扱えますし、私は回復魔法も使えますので

ご安心ください」


「やや!そうでしたか、大変失礼をしました!カノンさんは回復魔法を使われるのですか?!」

「しからば全く問題ありませんな!道中よろしくお願いいたします!」


完全にルメリオさんは俺の掌の上だわ...。


...しかしスクエイトさんがこっちを見ている...。一体なんでだろうか...?


「カノンさん、回復魔法も使えるのか?」


ヒソヒソとスクエイトさんが話しかけてきた。


「あれ?言ってませんでしたっけ?」

追及する時間はないのだろうから、軽くとぼけてみせた。


...


スクエイトさんはやや固まった感じだったが放って置くことにしよう。


「では出発しましょうか!」


丸二日程度と予想される依頼が始まった。


...



無言になるのは辛い。親睦を深めるため、ルメリオさんの仕事について興味も

あったので、道中色々質問を繰り返した。


まぁルメリオさんは俺よりもユウリの方に興味がありそうだったが、

何かエルフの村に有益となる情報もあればと、積極的に話しかけるようにしたのだ。


話しかけすぎて正直俺の株は下がったかもしれない。

そういえば俺が元の世界で買っていた株はどうなったのであろうか...。


俺が元の世界に戻ることができたのなら、暴騰している可能性もなくはない。


しかし元の世界に戻れる可能性が現在のところ、微塵も情報がないので考えるだけ

無駄だと思い、考えるのをやめた。


決して諦めたわけではないが、元の世界に戻ることを考えるよりも、今を楽しむ方が有益だからだ。


途中、少しのお昼休憩をはさみ、一日目は何事もなく夕方を迎えた...。


「いやぁ、ルメリオさんは凄いですね!領主様や王都にも顔がきくのですね!」


「いえいえ、運が良いだけですよ」


話を聞けばこうだ。


ルメリオさんは先代から続く商店を経営していて、初めは細々とした商売だった

らしい。 若いころに築いたコネクションで仕入れた宝飾品が、

領主様の目にとまり、出来がよかったことで王様に献上されたのだそうだ。


さすがに王様に直接謁見できるほどの内容ではなかったようだが、王妃様が今でも

その装飾品を好んでお使いでいらっしゃるそうで、領主様からは気にかけて頂いて

いるのだそう。


だから領内では相応の信頼を得て、こうして割のいい仕事を行えているのだそうだ。


「そろそろここいらで今晩は早めに野営するとし、明日は早めに出立しましょう」


そういえば野営なんて俺は基本したことがなかったな...。


少し俺が戸惑っている様子を見せると、ユウリが反応してくれた。


「カノン様、問題ございませんですわ」


「今回は天気も悪くございませんし、馬車ですので馬車の荷車でお休みになればいいだけです。わたくしが見張りをしますのでカノン様はお休みくださいませ」


...何たる姫プレイ。


ユウリは俺を相当に気遣ってくれている。


「いやでもそうもいかないよ」

「見張りは交代で行うことにしよう、それよりまずは食事をとろう」


俺が小さくゲートを唱え、昨晩も食したフィリンググリズリーの

ステーキ(調理済み)とラヴィが獲ってきてくれた魚の串焼き(調理済み)

を取り出した。


ルメリオさんが隣で呆気に取られている。


「あぁ、ルメリオさんもいかがですか?量はあるので御一緒しましょう」


「いやぁ大変驚きました。カノンさんはこんな特殊な魔法もお使いになられるのですね...」

「正直驚きを隠せません...」


ルメリオさんは商人だから詳しく知らないのだろう、

ゲートがあれば移動については馬車などを要せずに済むのだから。


とりあえず移動方法にもなることは黙っていたほうが良さそうだ。

単なる収納方法のひとつとして捉えて貰った方が良いだろう。


ルメリオさんも気遣って、それ以上の詮索はしてこなかった。

ご覧いただきありがとうございました!モチベに繋がりますので、よろしければブクマと評価頂ければ幸いです!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鍵括弧が兎に角多いですね・・・。 今回の話に 「今回は天気も悪くございませんし、馬車ですので馬車の荷車でお休みになればいいだけです。 わたくしが見張りをしますのでカノン様はお休みくださ…
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