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藤原瞳…主人公。姉妹ごっこを通して憧れの女の子から愛情を受けていた。しかし想いの行き違いで希から別れを切り出されてしまう。
白木院希…のんちゃん。瞳のことを特別に好きになってしまった。光梨を殺したという罪悪感を抱えているが真相は分かっていない。
深森彩瀬…瞳の友達で中学時代は光梨の友達。光梨の死について希に聞きたいことがある。
白木院光梨…ひーちゃん。先日事故で亡くなった希の実の妹。希の束縛を掻い潜って彩瀬とキスをしたことがある。
新章です!
これからもよろしくお願いいたします。
のんちゃんに別れを告げられキスをされた次の日。
のんちゃんからすると、私はひーちゃんじゃなくなり部活の後輩の瞳に戻った。
家にいる時も他人行儀で、登校するまで会話らしい会話はなかった。
こんな今日でも、放課後はお花見部のある校舎一階の隅の和室へ向かう
いつも通り私と彩瀬が到着してものんちゃんはまだ来ていなかった。後はのんちゃんが来るのを信じて待つしかない。
和室に籠った熱気はい草の香りがした。四月に入部してから畳がわずかに毛羽立ったような気がする。この部屋が誰かの居場所として必要とされた証なのかもしれない。都合よく捉えすぎかな。
「彩瀬、疲れた」
「お疲れ様。寝るんだったら制服、シワにならないようにね」
そう言いながら彩瀬はエアコンの電源を入れた。
蛾の一件以来、彩瀬といると、その一挙手一投足に注意が向いてしまう。高身長で手足が長くて、髪型は厳ついのに優しくて。はにかむ笑顔は、確かに王子様と言ってしまいたくなるような爽やかささえ感じられる。
「ねえ頼みたいことがあるんだけど」
「なに?」
「膝枕をしてほしい」
「いいけど、いいの?」
「友達とキスするのは別にいいんでしょ」
「瞳がいいんだったら、ど、どうぞぉ」
彩瀬はぎこちない動作で畳の上で正座になる。ミステリアスな見た目なのに中身はそんなに垢抜けていなくて親しみやすい。
「ぼふっ!ふがふが。彩瀬のにおいがする」
「ちょっと!甘えたって何も出ないよ」
わざと擬音語を声に出して倒れてみる。
彩瀬はくすぐったそうに体を反らせ、落ち着くと元の姿勢に戻り、私の側頭部に手を置いた。そのまま手をスライドさせた。
「よしよし」
「何か出たじゃん」
「うっさい」
私の頭を撫でる手が止まった。
「光梨にはキスしたのに」
「あれは向こうからしてきたんだけどね」
「そうだったんだ。ねえ彩瀬」
「何?」
私が今からやろうとしてることは、亡くなった人を利用にして、更にのんちゃんの気を引く行為。
今更すぎるけど一応彩瀬にも謝っておく。お花見部で「ひーちゃん」になるのは初めてだし。
「先に謝っておく、ごめんね」
「はあ?」
「友達でいたくなくなったら、そうしていいから」
「いやいや」
困惑している彩瀬に気を留めることなく目を瞑る。
程なくして、すぅっと襖の開く音がした。のんちゃんが部屋に入ってきたようだ。
「こんにちはっ……二人とも、何してるの」
「希さんお疲れ様です。瞳が疲れたって言ってこのまま寝ちゃいました」
私のことが好きなのんちゃんは、別の女の子に膝枕をしてもらっている私を見てどんな顔をしているだろうか。
「仲いいのね」
「いやあ、それほどでも」
動揺に少し怒りが混じった。
「友達ですから」
「瞳、起きて。彩瀬さんが疲れちゃう」
「私は全然構わないですけど」
外向きのクールな白木院希が不機嫌を隠し切れていない。
我ながら、ひねくれている。
勝手に置いて行かれそうになったから、勝手に意地悪をしている。
私の寝てる隙にキスしてくるんだから、これぐらい許してほしいかなとも思う。
薄く目を開けると、のんちゃんの冷たい視線が突き刺さった。
「寝るんだったら、他の物を枕にして」
「私は大丈夫ですって」
「そもそも瞳は寝てないんじゃないの」
「それはそれで大丈夫ですよ」
「そうじゃなくて!」
いよいよ賭けが始まる。
彩瀬の胴体に顔を向けたまま、なるべく鋭く声を出す。
「二人とも、私をひーちゃんって呼んでくれたら、起きてあげる」
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