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「着替えはどこ?」
「あそこ」
指差しに従ってそのままクローゼットまで移動する。横の引き出しから入浴に必要なものを取り出して、キッチンに向かう。その間ずっとくっついたままで、私の両手が離れても、のんちゃんは私の体にしがみついていた。
姿勢を低くして浮いていた足を床に着地させた。彼女から距離を取ってスキンシップの終了を暗に告げる。碌に拭かれていなかった長髪のせいで、二人とも上半身に身に着けた衣服が透けるほど濡れていた。
感触で伝わっていたけど、やっぱりナイトブラは着けていないことを視覚でも確認した。
のんちゃんはそんなことは気にせず、冷たいフローリングに女の子座りをしたまま私を見つめる。もう終わりなのと、目で訴えている。
「後でやってあげるから」
「え~」
嫌だと言われたらジャワ―は中止にするつもりだったけど、のんちゃんは不貞腐れながらも待つことを決めた様で、指に髪を巻き付けてはこちらにチラチラと視線を送る。早く入れとのことらしい。
私が服を脱ぐ間、彼女は手遊びをやめてじーっとこちらを見る。瞬きも忘れているほどにじーっと。シャツとスカートまでなら気にしないけど、下着に手をかけても視線が外れる気配がしない。家族とはいえ直視することはないんじゃないかと思いながらも平然を装い、一糸まとわぬ姿になる。のんちゃんにはからかうような笑みは一切なく、ひたすらに私を見つめる。多分私を監視していた。
「じゃあ、後でね」
「……」
浴室の扉を閉めるその瞬間まで、彼女は全神経を私に向けていた。曇りガラス越しに見ると、まだ彼女が動く気配がない。仕方がないからシャワーの蛇口を緩める。
瞳の家のものと比べて半分ぐらいしかない水圧のお湯を浴びると、体の表面にある疲れが、ゆっくりと錆かけの排水溝にたどり着き、その分だけ体が軽くなる。もちろん浴槽にお湯は張られていなかった。
浴室を出て体を拭き、お揃いのパジャマを着終わるまで、のんちゃんは私に釘付けだった。ここまで来ると羞恥を越えて緊張に変わる。
キッチンに脱ぎ散らかした二人分の制服はそのまま、再びのんちゃんを抱っこして居間へ移動する。
「もっと早く出てよ!寂しかったんだから!」
空中でポンポンと猫パンチを私に食らわせる。元の甘えたのんちゃんに戻ったようで、一安心した。




