表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/68

-1-


「高校生活でやりたいことが何もないの?」


 そう問いかける上級生は、顔も整っていれば声も透き通って綺麗だなと思った。


「はい、部活動が強制だなんて知らなくて。どこでもいいからとりあえず入らないとって思って」


 顔と声に惚れて、思わず本音が出てしまった。少しでも興味があるように言わないと、この前みたいに追い出されてしまう。だけど「お花見部」って何をするんだろう。部室は一応畳張りの和室だけど、お茶の道具や生け花は見当たらないし、そもそも人もいなくて私たちは二人きりだ。


「へえ、変わってるね」


 家庭科部に見学に行ったときは「教室から家庭科室が一番近くて通うのが楽なので」と動機を語ったら「茶化さないで」と怒られた。他の部に見学に行ったときも大抵そんな感じ。


 入学してもうすぐ2か月。親しい友達もいなければやりたいこともない。何もしないことが私のしたいことなのかもしれない。


 白木院しらきいんのぞみと名乗ったお花見部の部長は、顎に手を当てて何かじっくり考えこんでいる。

 改めて白木院さんを見ると清楚な顔立ちと長い黒髪が、病的なまでに細くて白い肌と合わさり、浮世離れした雰囲気をかもし出している。制服は着崩してニーハイソックスにひざ上スカート。なのに「ギャルな感じ」は全くしなくて、むしろアンバランスなように感じる。


 ぽけーっと感心していると、白木院さんは大きく深呼吸をして両手で頭を掻きむしった。軽く咳払い。そして口を開く。


「藤原瞳さん、私の妹になってほしい。少しの間でいいから」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ