第七話 どんぶらこ~
そして――――
ここは川の中流に住んでいる夫婦。
「なあキミエ・・・なんで俺達には子供ができないんだろうな・・・」
「さあ・・・こればっかりは努力して授かるものでもないから・・・」
「俺たち夫婦になって何年かな・・・?」
「もう10年よ。」
「だな・・・」
「明日の夜は十周年の記念にお祝いでもしようか。」
「そうね。」
次の日の朝――――
「よし今日は山に柴刈りに行ってくるよ。ついでに何か変わった山菜でも探してくる。
今日の夜の食事は少し豪勢にしよう。」
「そうね。じゃあ私は川へ洗濯にでも行ってこようかしら。ついでに大きな魚でも
獲れるといいけど・・・」
「そうだな。じゃあ行ってくる。」
「うん。いってらっしゃい!」
夫を見送ったキミエは川で洗濯をしていた。
「あ!魚!」
キミエはそーっと魚に近づいた。
パシャ!!
「よし!捕まえたっ!!翔太郎喜ぶよ!きっと!!」
と・・・その時だった。
「何?あれ・・・」
上流の方から大きな美味しそうな桃がどんぶらこと流れて来た。
「え!!すごい!!あんな大きな桃!生まれて初めて見た!!今日はあれも獲って
ご馳走だ!!十周年の記念に二人のいい思い出になるわ!」
キミエは獲った魚を桶に入れ、桃が流れてくるのを待った。
「よっ!!捕まえたぞっ!!」
ザバー!!
その大きな桃をキミエは持ち上げた。
「うわっ!重っ!!へー身が沢山詰まってるのかなっ!楽しみ!!」
キミエは桶に魚と桃を入れ家へ持ち帰った。