第三十一話 殿の御前
次の日――――――
「お殿様!お殿様!」
「まったく!何だ!毎日毎日騒々しい!ゆっくり寝かせてくれ!」
「来ております」
「またか?」
「いえ」
「ん?」
「外をご覧くだされ!ものすごい行列でございます!」
殿様は城の外の長い行列を見た。
「な・・・何だ!あれは・・・民がついに怒りをあらわにしたと言う事か・・・?
私は民に命を奪われるのか・・・?」
「おそらくそうでございます。早々にお逃げになられた方がよいかと」
「逃げると言っても何処ににげるのだ!第一、民は私を理解しておらん!昨日でも
わざわざ鬼をここへよんで話をしたのだ!命を狙われる覚えはない!」
「そうではございますが、こうなってしまってはもはや」
「あーどうしたらよいのだ」
「ではお隠れになって下さい!」
「そうか・・・そうだな・・・よし」
「では私が話をつけて参りまする。ちゃーんと隠れていて下さいよ!」
「分かっている!」
そう言って殿様は屏風の後ろへ隠れた。
「いいですか?今から会いますぞ」
「あ・・・ああ私がここにいることは言うでないぞ」
「はいはい分かっております」
そしてじいは部屋の外で待つ桃太郎達に声をかけた。
「くるしゅーない、入るがよい」
「ははあっ」桃太郎が応えた。
「そなたの名は何と申すのだ?」
「はい、私は桃太郎と言うものです!今日はお殿様に献上の品々を持って
参りました」
「献上の品?」
「はい」
「では殿の命を狙いに来たのではないのだな?」
「めっそうもございません。お殿様と大殿様の大好物の桃が入った大きな器もお持ち
いたしました」
「おお!これは!本物そっくりではないか!実に素晴らしい!」
じいは桃の器をを見ながら言った。
隠れていた殿様も見事な桃の器に驚いた。
「何なの?命を狙う?そんなのこの真昼間に・・・しかも行列でなんて来るわけ
ないじゃない・・・ばかなの?この人」
ユウが小声で桃太郎に言った。
「おい!ユウ!」
「ん?何か申したか?」
「あ・・・いえ」
「殿様!殿様!もうお隠れにならなくてもよろしいかと」
「こら、じい!そのように言うでない」
「あ、ついこの口が・・・」
「ん?隠れる?」桃太郎は辺りを見回した。
「オホン!」殿様はゆっくりと姿を現わし上座に座った。
「あ!お殿様!!」桃太郎の後からついてきた一行はひれ伏した。
「あれが殿様・・・?」ユウはひれ伏したまま桃太郎にひそひそ話をした。
「みたいだな」
「何?隠れてたって何?」
「だから俺たちが怒って襲うとでも思ったんじゃね?」
「え?それで隠れたって事?まじありえないんだけど・・・」
「まあ・・・確かにな」
「それはそれは情けなすぎるでしょっ!」
「これ!そこ!なにをごちゃごちゃ話しておる!控えよ!」
じいが桃太郎とユウに言った。
「ははあっ!!」




