第二十一話 出発
次の日――――
桃太郎とユウは出かける準備をしていた。ユウの背中には風呂敷に包まれた桃の器が
背負われ、そして・・・
「桃太郎・・・はい。きび団子だよ。途中でお腹が空いたら二人で食べな」
そう言ってキミエは桃太郎の腰につけてやった。
「うん。母ちゃんありがとう」
「じゃあ・・・気を付けて」
「ああ」
「桃太郎!これも!」翔太朗が渡したのは桃の絵が書いてある鉢巻だった。
「なんだよこれ・・・」
「いや、こういうのすれば箔が付くんじゃないかと思ってな」
「いらねえよ。だせえだろ」
「そんな事言わずに持っていけって!」
「いらねえって!」
「知らないのか?これは後々お前の事が語り継がれる時に必要なんだ」
「そんなはずい格好で語り継がれたくねえよ」
「何言ってる!俺はお前を有名な息子にしてやりたいんだ!親心が分からないのか?!」
「だってどう見ても・・・」
「ん?」
「はずいだろ・・・」
「そうか?」
「そうだよ」
「でももう・・・作っちゃったしな」
「まじかよ」
「うんうんまじまじ・・・さあさあ持って行け!息子よ!!」
「えー?!」
「じゃあ私が持っていきます!おじさん!」
「そうか?ユウちゃんは本当にいい子だよな」
「はいっ!じゃあ行ってきます!」
そうして二人は桃太郎の家を出た。
「どんな人なんだろう・・・桃太郎の本当の両親って・・・」
「ああ、そうだな」
「桃太郎がもし川から流れてきていなかったのなら、私達は出会ってなかったんだね」
「まあな」




