第十話 桃太郎剣の腕
「ヤアーッ!!」桃太郎は父、翔太朗に再び木刀を振りかざしていた。
「うわっ!!」父親の木刀は桃太郎によって遠くへ飛ばされた。
桃太郎18歳の夏だった。
「二人とも!ご飯だよ!!」キミエが翔太朗と桃太郎を呼んだ。
「よーし!休憩だ桃太郎!」翔太朗は桃太郎の肩に手を置いた。
「あ、うん。」
家に入った二人は母キミエと共に朝食を食べ、再び剣の練習をした。
「いくぞ!桃太郎!」
「はいっ!!」
もう既に桃太郎の腕は父、翔太朗を越えていた。
「あーー分かった分かった!!参った!!あー痛てー!!くっそー・・・
ぼろ負けだ・・・」
「大丈夫?父ちゃん。」
「ああ。強くなったよな。つか・・・もう・・・モテモテだな・・・女に」
「そうかな」
「ああ・・・よりどりみどりってとこだ」
「よりどりみどり?」
「その通り」
「何処に?」
「え?」
「何処にいるんだよ・・・女が・・・」
「いや・・・ま・・・まあこの辺りは・・・年増ばかりだが・・・
下流の町にでも下りりゃあ・・・」
「ほんとに?」
「ああ、たぶん」
「よりどりみどり?」
「そうだ」
「まじで?」
「しつこいな!お前は!飢えてんのか?!」
「うるせー!!父ちゃんに似たんだろ!」
「え・・・?俺に・・・?あー足・・・くじいちまったよ。」
「え?ごめん父ちゃん。」
「いや・・・いいんだっ。」
桃太郎は翔太朗に肩をかして歩いた。
「これじゃあ、しばらく歩けないな・・・悪いが桃太郎、山には当分
一人で行ってくれるか?」
「あ・・・うん。分かったよ。」




