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俺は10歳で女になった。  作者: ミーケん
1章 女になる
9/9

俺が女子小学生になった日【1】

おひさ

 さて、そんなわけで俺が女になって一週間後の月曜日。俺は普段よりも1時間ほど早く家を出て学校に向かって歩いていた。あの日から姉の叶が俺の面倒を見てくれていて学校への連絡や、病院への定時報告などを行ってくれていた。

 その叶から朝早くに起こされた。理由は簡単。「巡の担任が早くに来いと言っているから行ってこい」とのこと。彼女の言に対し、俺は起きて間もない曖昧な思考の中でうなずく。

 しかしなぜだろう、俺はこんなに朝に弱かっただろうか?いやそんなわけない。どちらかと言えば俺は朝から外に遊びに出かけるような活発な少年(笑)だったはずだ。まあ、おかげでみんなに迷惑を掛けていたのだが。


 あぁ、そう言えばあいつらは元気だろうか。

 そうやって思い浮かべるのは小学校入学時に同じクラスになってから親しくなった4人の友人達と幼いことからの付き合いである幼馴染。

 俺が女になってしまってからは連絡のひとつも取らずにいた。もしかしたら心配してくれているのかもしれない。そうなるとなんだか申し訳がなかった。

 幼馴染である 夢野弥生(ゆめのやよい)はいつも俺を引っ張ってくれるどちらかと言えば男らしい性格であり、それゆえの姉御感ともいうべきお節介をよくしてくれていた。まだ俺の背が小さい時は弥生の方が背が高かったために、俺が高い場所に置いてあるものを欲しがる仕草をすればパタパタとかけてきて俺にそれを差し出したものだ。顔を妙に優しくして。たぶんその頃の弥生は俺の姉の役割を果たすのが楽しかったんだと思う。

 しかし、俺が弥生の背を抜いてからは逆に俺が弥生を抑える役割を担っていた。弥生が暴走しようものなら俺が力づくで抑えた。まぁ、今となっては女になった影響で弥生よりも背が低くなってしまったが。

 くっ、もしかしたらまたあの頃に元通りとかありそうじゃないか?嫌だぞ。一度捨てたあの姉弟みたいな………いや、今は姉妹か。いや、そういうことを言いたいわけでもないか。


 ───と、そんなことを考えているうちにどうやら学校に着いたようである。



 さて、我が小学校であるが、まあ、どこにでもあるありふれた小学校だ。私立で有名とか、そんなことないし、学歴とかに影響とかそんなこともない。シンプルイズベストな小学校だ。校舎は2つあり、それをつなぐ渡り廊下がある。それぞれ3階と4階建てになっていて、1~3階には生徒たちの教室や音楽室などの基本的な教室が並び、4階には職員室などといった教員用の教室が用意されている。友達の親はこの4階まで上るのが苦痛だと文句を言っていたが、そんなクレームには対応していないそうだ。


 んー。しかし、俺はどこから入ればいいんだ?


 職員用か?生徒用か?ってか今の俺は一体どんな扱いなんだろう?叶に聞いておけばよかった。

 校門をくぐってすこしのところで悩んでいると、職員用の玄関から1人、教師がこちらに向かってきているのが見えた。


「巡くーん!来て貰ってごめんねー!」


 大声で言うこの教師こそが俺の担任であり、俺の今後の生活を支えてくれるであろうと淡い期待をするしかない頼りない先生だ。


「おはようございます。今日は転ばないんですね」


 俺の言葉の直後、先生は半身をしながら、崩れゆく自分への衝撃を和らげ、答えた。


「最近、柔道始めたんだよね!」


 先生の名前は京藤沙苗きょうどうさなえ。生徒からはさなえ先生と慕われ、まあ、ある程度の人気を誇るマスコット的なと言えば人聞きはいいかも知れないが、優秀とはほど遠い先生だ。


「そうですか」


 俺は慣れない敬語を使いつつ、あきれ顔を隠せずにいた。先生はその姿を見つつ、言うのだ。


「ちょっと手を貸してくれない?」


 と。

 

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