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第十話 「B級との戦い」

 この街の近郊にはダンジョンが無数にある。当然だ。ここはそれらの攻略のために作られた街なのだから。


 主要な大開口(ビッグマウス)は三つある。


 ベルナールたちが戦うのは北の開口「ラ・ロッシュ」。


 東には「サント・ロペ」。西には「シス・フール」が魔境(ダンジョン)への口を開けていた。


 他に小物が出てくる未確認の開口は無数だ。


 地上を徘徊する大型の魔物も定期的に出没するので、北の奥地、山岳部付近には大開口も間違いなく存在していた。



 翌朝、ベルナールは再び噂の魔物がいる北東へと向かう。腐っても元冒険者だ。本能は生きている。


「まったく俺は……」


 やはりAだのB級だの聞けば血が騒ぐ。


 幸い仕事は順調で月末の家賃の支払いは楽勝だが、思わぬ稼ぎにありつけるかもしれないとの勘に従ったのだ。


 魔物を狩って、報酬を得ていた冒険者の(サガ)だと苦笑する。



 道を進むと森の中に何人かの冒険者の姿が見える。どうやら東に所属する冒険者のようだ。噂の魔物を探しているのだろう。


「あれじゃあ駄目だな……」


 おそらく探査の魔力に秀でている魔法使いがパーティーにいるのだろうが、たぶんC級程度の魔物が引っ掛かって探しているのだ。


 残存気配でAかB級と混同しているようでは、まだまだ経験が足りない。


 じきに分かるようになるさ、とベルナールは微笑して更に一人、奥へ奥へと進む。



 少ない魔力で戦いの残滓(ざんし)を探る。雰囲気で魔力の行使跡を感じるのだ。


 ベルナールも多少の探知魔法を使える。


「こっちか……」


 道を外れてしばらく歩くと木の枝の折れた跡、草地が少々踏み荒らされた場所を見つける。


「これか……」


 普通なら人が数人通った跡にしか感じないが、ベルナールはここが戦いの始まりと読んだ。


「人数は四人程度のパーティー……か」


 敵の痕跡は少ない。やはり空を飛ぶ相手のようだ。


 森を抜けると荒れ地になった。所々の岩が炎に炙られたように変色している。


「敵はB級の――上位種……ドラゴンかっ!」


 パーティーは数戦交えながら山岳部へと移動していた。その動きには迷いも澱みもない。この獲物に臆することなく一直線に討伐に向かっている。


 B級上位の魔物にこのような対処ができるパーティーは、ここのギルドでは限られている。ベルナールは色々な意味での、馴染みの顔を思い出す。


「あいつらか……」


 丘の稜線の向こうに魔力の煌めきが断続している。


 今まさに戦闘中のようだったが、戦いの軌跡を追いかけて来たベルナールには一昼夜の追尾と戦闘で、もうこのパーティーが限界を超えつつあるのがよく分かった。


 敵は森林地帯から相手を誘い出すように荒野に突出し、冒険者たちもそれに乗ったのだ。


「ちっ!」


 果たして成算(せいさん)があって乗ったのか、勢いだけで突き進んだのか? ベルナールは思わず舌打ちした。


 刃の上に身を置くような戦いは、この程度の相手とするものではない。


 今日は遊びを楽しむように戦わねば、更なる高みは望めないぞっ! と小一時間ほど説教したい気分になりながら、ベルナールは走り出した。



「やれやれ……、なんて状況だよ」


 小高い丘を登って見下ろす状況は、戦いが途中で中断している奇妙な光景だった。


 漆黒のB級ドラゴンはうずくまり微動だにしない。ただしまだ生きてはいる、活動停止の状態だ。


 丘を駆け下りながら、ベルナールは状況を確認する。


 パーティーのメンバーは全員で四名。全てが倒れてこちらも動かない。


 怪我をしているふうでもない。魔力切れで力が入らないのか、気を失っているようだ。ドラゴンはそのような力を使う。


 ベルナールはドラゴンと対峙したまま力尽きてうつ伏せに倒れている、このパーティーのリーダーらしき剣闘士(グラディエーター)に歩み寄った。


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