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白い子猫の話

さてさて、長いことお待たせしました。

(ん?)


「ニャン」

ヒーロ肩から黒猫が降りると人の姿になった。


「あなた!ヴァニラね!どうしてそのような格好をしているの?」

人の姿に戻ったサンドラが使者の1人に話しかけた。


後ろで縛っていた髪を解き、口を覆っていた布を外した艶やかな銀色の髪で左目が水色で右目が緑色をした可愛い女の子が前に出てきた。


「ヒーロ陛下お初にお目にかかります、カミラ王国第三王女ヴァニラと申します。」

(使者にしては雰囲気が違うと思ったらそういうことか)


「わざわざ使者に紛れていらっしゃったということは他にも伝えることがあるということですね」

メープルがヴァニラに問いかける。


「カミラ王国の国王フランツが亡くなりました。第一王女の姉のエティカが第六代のカミラを名を継ぎます。」

ヴァニラの話を聞き、サンドラは悔しそうな顔をしている。


「カミラ王国は女王が代々治める国で、母はその中でも多産で私たちを含め8人もの子を産みました。」

ヴァニラはさらに話を続ける

「しかし数年前に病気で他界し、2人目の夫であった私達の父のフランツが一時的に国王となり、エティカお姉さまが20歳になるまでの(つなぎ)となったのです。」



「カミラの名を継げるのは20歳以上の王族という決まりがあるのです。」

「ただ繋を複数挟むのは縁起が悪いので20歳未満でも繋が死んだら継ぐという決まりもあるのです。」

サンドラが補足した。


ヴァニラがまた話しだす。

「国王は争い事が嫌いで今回の戦いにあまり関わりはありませぬ。軍務はエティカお姉さまが仕切っているのですが、予算のことで父と揉めておりました。今回の戦いはアルベリア軍の援軍ということで国王は派兵を許可したのです。」


「ここまでの話は世間でも流れている話です。ここからは世間に知られていない話です。」


「クラスト王国の第二王子シャペルとその家族は今はカミラ王国軍に合流しております。シャペルも嫁いだ姉のエリシアも生きています。シャペルはファルマイルズ王国に寝返りクラスト王国の滅亡を決定づけた張本人なのです。」


「クラスト王国は第一王子が継ぐことが決まっており、それが耐えられなかったのでしょう。他国の大領主になる方を選んだようです。」


「私たちの長兄であるエグドスが姉の指示で大メルベーゼ対策のため、コルロド王国防衛の援軍ために国境を越えましたが、大メルベーゼと戦うと見せかけてコルロド王国を攻撃するつもりです」

(おいおいおいおい!)

「ファルマイルズ北部戦線のコルロド王国への援軍もファルマイルズ軍が壊滅次第、コルロド王国軍に攻撃を開始すると思われます。」


「こちらに来る援軍も折を見てこちらに攻撃してくるでしょう。」

この場にいたカミラ王国出身者以外が驚愕した。


「人質としてサンドラ様がいらっしゃるのに攻撃してくるのですか?」

メープルが当然の疑問を言う。


「姉にとって父親が別の弟や妹は外交の道具、妹に至っては自分を脅かす存在でしかないのです。」

サンドラが答えた。


「姉の元にいたらお姉さまのように他国に人質に出され、その国を攻撃する道具にされるのが目に見えていましたので信頼がおける者を使者に推薦し、そこに紛れてこちらに来させて頂きました。」

ヴァニラを含む使者達が深々と頭を下げた。


「カミラ王国の裏切りの証拠はあるのですか?」

メープルが問う。


「全容がわかる音声はありませんが、確実にこの戦いの中で裏切る音声は録音宝珠に」

ヴァニラが録音宝珠をメープルに渡す。


「……明山朝との盟約通り……金……に打撃を与えつつ、ファル……王……を滅ぼす寸前でアルベリア王国とコルロド王国をに攻撃を…2国を我らと明山朝で分……アルベリア王国に…滅的な打撃を与え…。人質のサン…が処刑されたらこちらにも都合がいい。」


部分的に聞き取れないところもあるが、裏切ることは間違いのない内容だった。


「今更、遅いだろうがコルロド軍に伝令を送れ。ゼロス殿ならぱ身を隠すこともできるだろう。」

「中央軍の右側面は俺が率いる。カミラ軍は俺の方へ攻撃をしてくるやろうからそれを逆手に取る。」

「左軍苛烈に攻め、なるべく早く中央軍の左側面を攻めてくれ。」

戦場の全体的な動きの命令を出したので、中央軍の編成を変えるために中央の陣の天幕へ向かおうとした。


「陛下、私をサンドラ共にお連れ下さい。私もサンドラと同じような能力があります。2人揃えば範囲も広がります。」

そう言うと白い子猫の姿になってサンドラとは反対の左肩にのってきた。

(白猫と黒猫を連れてるって、どこぞのロボットアニメか)


中央軍の再編が終わるとすぐに左軍と中央軍の前方に敵陣への攻撃を命じた。


今日の左軍の構成は軽騎兵中心で、開戦してすぐ弓と投槍で敵の陣形を乱れさせた。


「初日のような後れを取るわけには行きません、突撃!」

左軍唯一の重騎兵部隊と化したラヴァンドゥ隊が右軍を踏み荒らしていく。


2つの横陣を破り、敵大将の前にある3つ目の横陣に勢いのまま突撃した。


が、これまでのようにはいかなかった。


1列目の大盾兵の壁は突き破るとその先に岩のような塊があり、岩をつなぐように縄が張られ、馬が次々と転倒していく。


岩のように見えていたのは丸盾を密集して構えた敵軽歩兵達だった。



「バカのバカによるバカな突撃がいつまでも通用すると思うな!」

敵右軍大将のザリスが出てきた。

「対騎馬部隊用の陣の餌食になりたいのなら来ればいい。頼みの軽騎兵も、お前達の部隊が邪魔でこちらまで来れない。」

「さあ!どうする?」

ザリスのドヤ顔がラヴァンドゥ隊をイラつかせる。


「ラベンダ様、我々に突撃命令をお願いします。」

重騎兵部隊の右後方にいた騎士団の団長が願い出る。


ラベンダは少し驚いた様子だったが20人ほどのその騎士団に突撃命令を出した。


「ふん、何度やっても同じこと。無駄に命を散らすがいい」


重騎兵隊がザリスに向かって突撃したが、やはり縄により転倒、あまりの勢いにザリス近くまでふっとぶ。

馬の下敷きになったようで兵たちの姿が見えない。


「素晴らしい馬だ、しっかり我が軍で使わせて貰おう。」

ザリスが馬を(くつわ)を引こうとしたその時


「バカはあなたのようですね。」

鎧を纏った馬が重歩兵のような見た目に変わり、ザリスの首を剣で貫いていた。

他の馬も人の形になり敵右軍本陣の指揮官を倒していく。

ラヴァンドゥ隊も再び突撃を再開し敵の右軍を壊滅状態にし、敵の中央軍の左側面に攻撃を開始した。



敵の中央軍が敗走し始めるのにほとんど時間はかからなかった。



だか今日の戦の本番はここからである。

だいぶ遅くなってしまいました(A;´・ω・)アセアセ

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