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ゴタゴタのボルサンタネク半島の話

半島の名前が長い…

橋が完成し半年ほどたった。


大メルベーゼ国内では兄弟での争いが続き、ヴェスティア王国も着々と兵糧が溜まっている報が届いた。


「陛下ぁ!陛下ぁ!」


「どうしたんだそんなに慌てて」

報告を受けながらお茶を飲んでると執務室にマウラが身なりはボロボロだが素材は良い服を着た女性を連れ入ってきた。


「ヒール」

俺はとりあえずその女性を回復させ、お茶を出し話を聞くことにした。


「私はセーボル王国リマ港在駐軍のターニャと申します。いきなりで申し訳ないのですが食料と回復魔法を使える人を船に派遣して貰えませぬか。」

俺はすぐにカエデに手配させた。

「ボルサンタネク半島が最近騒がくなってるという報告が来てたが、何かあったのか?」


ボルサンタネク半島とは大陸北東にある大きな半島のことである。


「順を追って説明します。実は半島の先端にあるネクダル王国が北西にあるラサンタ王国に宣戦布告し、侵攻を開始したのです。セーボル王国はラサンタ王国と友好条約を結んでいたので援軍を送りました。」

「援軍を送ったところ、ネクダル王国は我が国に電撃作戦を開始しあっという間に王都を占領しその勢いのまま我が国は滅びました。」

「リマ港の海軍は奮戦し、ネクダル王国海軍を撃退することは出来たのですが使える船は私が乗ってきた1艘だけで第2波が来る前に共に脱出する人達を乗せ、こちらに来させて頂いた次第です。」


「イーリスやレナスではなく、なぜ我が国に?」

アルベリアの手前にはいくつか国がある、そこに助けを求めることも出来たはずだ。


「ネクダルの追っ手により船の一部が壊れ、イーリス王国より南西の方に行ってしまい、何とか辿り着いた港がアルベリア王国の港がだったのです。」


俺達は飛龍船に乗り港へ向かった。

港に着くとすでに回復し、炊き出しの団子入りスープが振る舞われていた。


「食事中にすまぬが、この船の代表はだれか?」

他の者にまかせても良かったのだが、少し気になることもあったので動くことにした。


「私が代表のエリチカです。あなたは?」


「アルベリア国王ヒーロと申す。」

その場にいたみなが食べるのを止め膝まづいた。

「膝まづかなくてけっこう。食事を続けてください。」

「それにほとんどは王族の方でしょう。」


食べ終わったようなので皆を飛龍船に乗せ王都へ戻った。


戻るとさらなる報告が来ていた。

東半分をネクダル王国に占領されていたラサンタ王国が西からホヌワン王国に攻撃され滅びたようだ。


ホヌワン王国は半島を蓋するような形をした国である。


ラサンタ王国の王族は皆殺しにされたようである。

ネクダル王国の攻撃によりセーボル王国は滅亡、貴族の大半と王族の一部が寝返ったそうだ。

国王は戦死、王子はラサンタ王国内で捕まり処断され、他の王家の者は行方不明である。


この半島の争いは宣戦布告から50日の間の出来事で

後に50日戦争と呼ばれることになる。


一緒に報告を聞いていたセーボル王国から来たみなが声を上げて泣いている。


一際大声で泣いていた女性がいるのが気になった。


「私達は帰るところを失いました。なんでもするのでこの国に置いて頂けませんか?」

エリチカが涙を堪えて訴えてきた。


「承知した。この国で生きて行く意思があるものは住む場所を与えよう。」

「あとこの中に名乗れる名前がある人は名乗って頂けるだろうか」

(王族は把握しておきたい)


「私はセーボル王国第一王女エリチカです。」

「セーボル王国第二王女エリスです。この子は弟のエリオットです。」

エリスと手を繋いでいた3歳ぐらいの男の子はセーボル王国の王子であった。


先程一際大きな声で泣いていた女性が前に出てきた。

「ラサンタ王国第二王女ガーネットです。後ろに控えますのが妹のロゼラとロドラです。」

(自分達以外が皆殺しなったと聞いたらああなってもしょうがないわな)


「6人は王宮に部屋を用意しよう。他の者には王都内に住む部屋と仕事を与えよう。ナギ、手配を頼む」


全員がこの国で生きて行くことを希望した。

王族とその側近に港の警備兵と一般人、合計30人であった。

ロゼラとロドラは母親の身分が低く王位継承権がないそうだ。


ラサンタ王国の王族の生き残りが他にいないなら、当主をガーネットと認める必要がある。

アルベリア王国は貴族制を廃止してはいるが、古来より続く血や家名を残していく責務まで廃止した訳ではない。




執務室で今回の件の話と次に打つ手を話し合っていた。


「こちらはとりあえずホヌワン王国とネクダル王国に対して非難する声明を出しましょう。」

「ホヌワン地方は独立や分裂、乗っ取りに吸収などゴタゴタが絶えない地方なので今回の件のことだけをきっちり非難しましょう。」


俺とシルヴィエの共同声明で皆殺しの件への声明を非難する文章入れ発表することにした。


今回の件はこれくらいにして次の一手の話を進めた。

「西部に動きがない今のうちに北部をどうにかしたいなぁ、特にリンドゥ」

(あいつを放っておいたらダメだ)


「大メルベーゼが分裂してる間にどうにかしたいが、クラスト王国が疲弊してる今は反撃に出ることもできんしの」

シルヴィエと意見は一致している。



「会議中に失礼します。ヒーロさま!ラベンダが産気づかれ産婆様と王宮医師が部屋に入られました。」

キョーコが興奮を抑えつつ報告に来た。


「こちらからアクションを起こせない今は様子を見ることにしよう。すまんがラベンダの元に行ってくる!」

俺は少し強引に会議を終わらせてラベンダの元へ向かおうと準備ししていると

「ラベンダが男の子を無事出産なされました。」

ラベンダは安産も安産すぐにストンと子供が出て来たそうだ。


ラベンダの元に着くと隣に赤ちゃんがスヤスヤ寝ていた。

「陛下、先程まで大声て泣いておりましたがすぐ寝てしまいました」

ラベンダも元気そうだ。


「名前はなんといたしましょう。」


「俺もラベンダも親はローゼン家の人間やから、この子にはローゼンの家名を継いで貰う。ローゼンタイガと名付けよう」


「陛下?タイガとはなにか意味があるのですか?」


「タイガとは遥か西方の国で、密林の王者とも呼ばれる神の獣の名前だ。この子もそれぐらい強く育って欲しいという願いを込めた。」


「よき名前でございますね」

キョーコがうんうんとうなづいている。


「陛下、王国の西の地方が少し騒がしくなりはじめているようなので、王国西部の警備に兵を派遣する許可を」

ニルヴァが王都へ戻ってきてすぐにこちらに来たようだ。


「陛下!急報です!アルバ王国とナガル王国が手を組みマイルズ王国へ侵攻を開始したようで、リンベル様より援軍の要請が来ました!」

ナギが慌てて報告に来た。


急に慌ただしくなってきた。


一気に騒がしくなってきた!

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