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第1話 うさぎは1人だと死ぬらしい。

あの告白事件から早1週間が過ぎ、文化祭の準備も大詰めを迎えた。私はいつの間にか、クラスでも自然と人と話せるようになっていて、それはきっと、彼のおかげで…私は、いつからか彼を探すようになって、目で追うようになって…考えるようになって…彼と話すとウキウキして、ワクワクして…私の知らない事を沢山知れて…鼓動がたまに早くなり、喉の奥がギュッとなる。




――この気持ちを、なんと呼ぶのか分からないまま




文化祭がやって来た。




▽▼▽



私の名前は、宇佐(うさ) 美月(みつき) 現在 岬高校(みさきこうこう)に通う2年生だ。私は今、文化祭の為にクラス一丸となって頑張ってきた劇を成功させようと、兎の格好をして、ステージ裏にスタンバっている。


「『大変だ、遅刻してしまう!』っと…それから…」


「宇佐さん!」


台詞の練習をしていると、委員長の高橋さんが声をかけてくる。


「いよいよだね、頑張ろう!」


「あ…は…」


「はい」といいかけて、咄嗟に「うん」に変える。私は、いろんな人に声をかけられると「はい」と答えていたが、他人行儀だと言われた為、意識して変えていっている所だ。と、言うのも、私は最近まで、とある事情からクラスの人は皆私が嫌いなのだと思い込んでいた。


しかし、とある男の子と知り合ったのを切っ掛けに、私はクラスの人と交流をするようになったのだ。その男の子の名前は、(わたり) 修也(しゅうや) 君 私は最近、彼の事を考えると胸が苦しくなる…


(委員長に、この胸が苦しくなる気持ちの事を相談してみようかな…)


「あの、高橋さん…」


「ん? どしたの、宇佐さん」


「ちょっと聞きたい事があって…」


「え? 宇佐さんが相談なんて珍しいね! 何々?」


「あの……」


私は、渡くんといると胸が高鳴る事、ふとした時に彼の事を考え込んでしまう事を、高橋さんに話した。すると、高橋さんは話を聞き終わるや否や、にやにやとしていて


「宇佐さん…ふふふ、宇佐さん」


「なっ…何かしら…?」


見たことの無い表情に若干引いてしまう。そして、彼女はにやにやしながら、この気持ちのモヤモヤの事を教えてくれた――。


そして、文化祭は滞りなく無事に閉幕する。この後は校庭でキャンプファイアーが行われる。去年は興味もなくて、1人で帰ったのだが、今回はクラスの"友人"に一緒に見ようと誘われた為、私は初めて参加してみようと思う。ただ、その前に…


「いた」


「よぉ、宇佐」


空が茜色から薄い紫に変わる頃、彼は何時ものように中庭でベンチに腰掛け、空を見上げていた。


「劇、良かったな」


「そう…?」


なんだろう? やっぱり彼と話していると落ち着く。高橋さんの話だと、その感情は緊張するみたいな話だったけど…って、そんな事考えてる場合じゃない。私は、文化祭が終わったら彼に伝えたい事があったのだ。


「あのね、渡くん…」


「ん? どした?」


「私ね、貴方に伝えたい事があるのよ…」


「伝えたい事…?」


「そう…前にね、渡くん、私に『寂しいヤツ。おまえがウサギだったらすぐ死んじまうだろうな』って言ったの覚えてる?」


私の問いかけに、彼は軽く笑って答える。


「ははは、覚えてるよ。宇佐色白いしさ、あの時なんとなく兎を連想して…そういや兎って一羽だと寂しさにストレスを感じて死んでしまうってのを思い出したんだ」


「そう…あのね、私、劇で兎の役をしたじゃない? それで、ふと渡くんに言われた言葉を思い出して、調べてみたの…そしたら、本当は兎って、一羽でも死なないらしいのよ。むしろ縄張り意識が強くて、自然の中では単独行動が多いらしいの…」


「そうなのか、じゃあ俺が言った事って間違い…」


「ううん、違うわ」


私は、渡くんの言葉を遮るように続ける。


「?」


「私ね、とても渡くんに感謝してる。きっと、貴方に出会わなければ、こんなに人と関わる事ってなかったと思うし…その…もしね、もしも…今、私が役じゃなくて本当に"うさぎ"だったとしたら、きっと……1人だと死んでしまうわ…」


ここまで言葉にして、自分が少し告白じみた事を言っているのでは?と考え、顔が熱くなる…!


「えっ……と、ちがっ! 違くてっ! そのっ! たっ…! 高橋さんとかっ! 皆がいないと寂しいって言うかっ! だからっ! その…っ! わっ…渡くんもっ…もちろんなんだけどっ!」


渡くんは、顔を赤くしてわたわたとしている私の姿を見ると、にやりと笑って、






「じゃあ、ずっと一緒にいる…?」






「―――っ?!」







―――うさぎは、一羽だと死ぬいらしい。いつからこの話が有名になったのか、誰が言い出したのか…それは分からない。



でも、きっと人間は1人では生きていけない。だから誰かといたがるし、誰かと繋がりたいと思う。



そして、その気持ちが強くなる度に人は…もっと相手を知りたいと思うし、知って欲しいとも思うのだ―――。





『宇佐さん…ふふふ、宇佐さん!』


『なっ、何かしら…?』




―――私は、高橋さんにその気持ちの正体を教えてもらう。




『その気持ちはね、"恋"って言うんだよ…っ!』







~お・し・ま・い~


















御一読ありがとうございました。慎んでお礼申し上げます。この物語は、『第1話』が『最終話』となります。


なぜ、このような形にしたのかと言うと、これは彼女の成長の物語である為、『恋』の話はこの後から始まる。と言う風にしたかったからです。


にしても、修也が最後に思わせ振りな台詞はいてますね。なんなんコイツ。たらしなの?とか思わなくもないのですが、この後は普通に宇佐が照れて有耶無耶になります。つまり、ここからが彼等はスタートなのです。


どうなるのかは、皆様にお任せします。


最後に、私がこの作品を通して伝えたかったのは、"小さな変化で物事は大きく変わる"と言うことでした。バタフライエフェクト的な。←(分からない人はググってね!)それでは、長くなってしまいましたが、またのご来訪を心よりお待ちしております。


またね❗(o・ω・o)きゅぴーん✨

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