表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

―――運で配役がっ?! 心臓がドキリとする。

(ぐっ…初めて可愛いとか言われた…なんだろう?この気持ちは…悔しい…?とは違うような…)


初めての台詞に、私の考えとは裏腹に高揚するものがある…。本当、なんだろう?…でも―――


嫌じゃないと思う。


私がそんな事を考えていると、彼は急に


「じゃ、行くか」


と言って歩き始める。私は慌てて彼を追いかける。学校を出て、しばらく一緒に歩き思ったのが、彼は歩く速度が速いと言う事。身長が違うのだから、当たり前なのだけど、彼の速度に追い付こうと歩くと、少しだけ忙しい…


たまに小走りになる私に気づいたのか、彼はこちらを振り替えると「あぁ、ごめんごめん」と言って歩く速度を落とした。


「そ、そういう気遣いは出来るのね」


「なんで上からなんだよ」


「別に!」


私も彼のように少しでも素直になれたなら、きっと今の台詞はあんなんじゃなくて、「ありがとう」だったのだろう…。


そして、しばらく歩くと彼は駅前のゲームセンターへと私をつれて来た。


「…? 何をするの?」


「いや、ゲームでしょ」


「…え?」


意味がわからない…なんでこんな所に私を…?てか、初めて来た…。色んな音が聞こえる。


「ははは、何キョトンとしてんだよ、とりあえず遊ぼうぜ!」


「いや、私こう言うのしたことないし…!」


私が、わたわたとしていると彼は


「今日は俺が付き合わせてるから奢り! 好きな物やんなよ」


(そ、そう言われても……)



▽▼▽


―――1時間後



「だああっ! また負けた!」


「ふふ、渡くんまだまだねっ!」


「割と自信あったんだけどなぁ…」


私は、一時間前とはうって変わって、何故か音楽ゲームに没頭していた。


「あー、女子に負けるとか…俺だせぇ…」


「ふふふ、情報を処理する能力は男性の方が(すぐ)れてるはずなのにね!」


「うわ、うぜぇ…と」


そう言いながら、彼はなんとなくスマホを見る。


「…もう一時間くらい遊んだな…行くか」


「どこにいくの?」


「いいからいいから」


「?」


私は、彼についていく。彼は何かメモを見ながらキョロキョロとしたりして、少し道に迷っているようだったが…道を見つけたようで、高台にある閑静な住宅街へと入っていき、その中にある階段を上がっていく。そして―――


「……っ!」


「ははは、想像してたよりすげぇわ」


私は言葉を失う。目を大きく開き、目の前の光景をただただ記憶に焼き付ける―――


「すごいわ…こんな所に、こんな景色があったなんて…」


そこは、住宅街の中の、何処にでもあるような小さな公園。唯一他の場所と違うと言えば、町が一望できると言う事。また、夕凪がそれを綺麗に演出している。


「素敵…」


思わず口をついて出た言葉。私はハッとして彼を見る。彼は、何故か嬉しそうにこちらを見ていて、こう言った。




「やっと、楽しそうに笑った」




(ああ、そうか…)



無意識に顔が綻ぶ。


(楽しいってこう言う事か……)



私は、彼の顔を見て、今ある素直な気持ちを伝える。


「渡くん…」


「ん?」


「ありがとう」


私の言葉を聞いて、彼は一瞬驚いたような顔を見せたけど、すぐに、何時もみたいに、ニッと笑って、ピースサインを作った。


▽▼▽



――翌日、何故か私は渡くんの事をやたらと考えるようになっていた。彼は、何故あそこまでして私に関わるのだろうか?とか、何故あんな景色を見せてくれたのだろう?とか…あと、今、何してんのかな…とか…そんな事を考えて、昼休みに中庭へと向かう。


私が行くと、既に渡くんがいて、軽く手をあげる。そして、いつもみたいに「よっ!」て言う。


「こんにちは、渡くん」


それから、他愛ない話をする。


「そういやさ、宇佐のクラスって文化祭何するの?」


「え……?」


「え?……」


「そう言えば、何をするのかしら…?」


「えぇ?! なんで知らないんだよ!」


「ま、まだ決まってないのよ! きっとそうだわ…!」


「いや…でもうちのクラス普通にもう動いてるけど…?」


「そ、そうなの…?」


「マジか…宇佐…」


▽▼▽


あのあと、渡くんが


「実は、この間授業サボった時に決まってたりして」


何て言うものだから、少し不安になってきた。


(本当に私だけ知らないのだろうか…? でも、皆放課後とか動いてる様子はないし…)


私は、意を決して…クラスメイトに声をかけてみることにする。


「あ、あの…」


「………。」


無視。やはり、職員室で先生に確認した方が早いだろう…


「(何してんだろ…私…)」


小さい声で呟く。最近、渡くんといるせいで人との距離感が分からなくなってきた…。そんな事を考えながら、教室を出る。すると、男子が一人私に声をかけてきた。


「あ! いた! おい、宇佐てめぇ昼休みいっつもどこいんだよっ!」


「?!」


「劇の練習っ! おまえだけ台詞も覚えてねぇし、昼休みいねぇし、放課後とか昨日声かけようと思ったら、昨日に限ってすぐいなくなるし! とりあえず今日は残れよっ!」


「え?…え…?」


あまりにいきなりだったので、私がたじたじしていると、クラスの女子が一人やってきて


「もう、そんな言い方したら宇佐さんビックリするじゃん!」


(この子…クラスの委員長…てか、劇?! 劇ってなに??!)


「はー?だってよ、こいつ何時もいねぇじゃん!」


「あ、あの…っ!」


私の声に二人が黙る。向けられる視線…


「えっと劇…って…?」


「あー、ほら、やっぱり知らないんだよ」


「えぇ…? だって決まって何日たったと思ってんだよ…」


「そ、そうだけど…ほら…この子…」


二人が何やらヒソヒソと話す。あー、これたぶん私の事言ってるんだろうな…以前の私なら、きっとこの時点で腹をたてて何処かに行っていたかもしれない…でも、今は違う。なんと言うか、渡くん

と話したことで、人と話すと少し分かり合えると言うことを知った。だから―――


「げ、劇って何をす、するのかしら…?」


「マジかよ宇佐…」


「ほら、知らないんじゃん! あのね宇佐さん、この間決まったんだけどね…その時ちょうど宇佐さんいなくって…」


(やっぱり、あの時決まったんだ…)


「劇は不思議の国のアリスで、籤引きで配役を決めたんだけど…」





―――運で配役がっ?! 心臓がドキリとする。








「宇佐さん、"うさぎ役"だからっ!」
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ