トランプ大統領の影響による世界地図の変化について
何が起きそうかを順序立てて考えたらとんでもない結果になりました。
アメリカにフラれた中華人民共和国については・・・そのうち書きたくなったら書きます。
トランプ大統領就任前の動きから今後の行動と影響を予測する。
文字にすると僅か1行で済むことに、どれだけ多くの人が頭を悩ませているか、考えてみれば滑稽すら感じる。
多くの人の希望、願望、予測が飛び交っているが、そこにひとつ予想を加えようと思う。
正直外れてほしい予測なのだが、
「数年のうちにトルコ周辺国を起点に大規模な戦争が起きる可能性が高い。」
自分でもなぜそうなる?というほど、とびぬけた結論だが、順次説明していく。
現在トランプ氏は連邦政府財政の再建にむかい、積極的な人事を発表している。
その人事は民間活力の徴用から、保守派の政治力、有権者に対するアピール人事、部署を刷新
するための人事を含めて、USAの人材の豊富さを誇示するがごとく、多様な分野の人材が指名されている。
(大統領が直接任命権をもつ役職が数千ある状態ですので、多くの場合、前任者が新政権でも引き継ぐ部分が多いのですが、今回はみな戦々恐々していることでしょう。)
報道に上らないような部分においても、大規模に動いていると思われる。
そんな折に、一つのネットニュースが目を引いた。
トルコのEU入りが停滞状態で年内合意予定16項目のうちの1項目しか合意できていないというニュースです。予想はしていましたが、最悪のパターンに陥りました。
これがトランプ大統領とどのような繋がりになるのか疑問に思う人も多いでしょうが、とりあえずトルコの状態を説明します。
トルコは経済は小康状態を保っていますが、アメリカの金融緩和終了時点で投資資金がアメリカに戻るため、トルコリラはドルに対し安くなる、と予想されています。
またこの流れは、輸入超過状態の米国にとっては、関税を利用しながら貿易収支の均衡を目指すためには変えることのできない流れになります。
(原材料をより安く手に入れ、安い外国製品は関税で止めることで、相対的に流出するドルをコントロールする方向になる。工業製品は自国で消費し、輸出品目は、食料・サービス・地下資源などで価格競争力が強いものになる。)
EUに所属しユーロ圏となることで、資金を呼びたいトルコとしては来年以降不安の残る状態になると言わざるを得ません。
その上で二つの問題があります。
一つが難民問題。もう一つがISIS問題です。
難民問題に関しては、中東からくる難民を止める壁の役割をトルコが担っています。
そしてこの役割は解決策が無いので、なんとも言いようがないのですが
・トルコがEUに所属するとEU域内の行動自由の原則により、トルコにとどまっている難民の制御が難しくなる。(EUに流出しやすくなる。)
・トルコはEUに所属できないとなると自国で難民をとどめておくメリットがなく、デメリットが大きいためEUに対し不満感が増大する。
難民の発生をなくす以外、解決策がないのですが、現状では無理でしょう。
次にISISの問題があります。アレッポの解放が近いようですが(14-Dec-16)問題はそこにありません。たとえシリア、イラクからISISの実効地域が消えたとしてもアルカイダと同じように反政府テロを起こせるだけの組織が残るのは間違いありません。
この組織によるテロ活動ですが、最近は欧米から欧米周辺のイスラム国に標的が変わっているように感じます。
これは、フランスでのテロ以降、欧州の警戒が厳しくなったこと。
周辺国での難民のイメージダウン(難民の中にテロ要員を潜入)による汎イスラムに対する嫌気喚起(難民を差別させることでの社会不安を醸成する)を狙っていること。
困ったことに、それを擁護できないように、緩やかなネットワーク組織化とクトゥブ主義による教育も進行させています。
狙ってやったか、そうなったかは別問題として現状、イスラム教VSキリスト教という構図を描こうとしている人々は成功の道を歩んでいるといえます。
アメリカはキリスト教国の雄と言える存在なのですが、正確にはプロテスタントの雄ともいうべき存在でカトリックに関してはEUの方が母体になります。
さらに面倒なのがロシアは正教会?(ソ連時代は宗教が禁止)、英連邦はイギリス国教会になります。こうしてみるとイギリスがEU離脱したのもわかる気がします。
(ドイツ連邦はプロテスタントが有名ですがカトリックも依然勢力があります。)
最後にアメリカは中華人民共和国に対し永続的な最恵国待遇を与える法案をクリントン大統領の時代に発効しているので、この部分について見直しする可能性が高いと思われる。
ここまでを前提としてトランプ氏の改革が進んでいくとどうなるかを考察します。
アメリカは中国に対しダンピング、その他でクレームをつけまくります。
かつて日本もやられた道ですが、その時の日本は恥も外聞もなく、謝りに謝って世界市場に日本製品を浸透させました。真っ当になったのはメイドインジャパンのブランドが確定して他国で真似できないレベルでの製品ができるようになってからです。
そして、中国はそれは出来ません。面子の問題です。
(日本人は面子よりも飯を選びました。敗戦直後の混乱を多くの人が知っていたからです。)
その結果としてWTOを舞台に提訴合戦となるでしょう。
その結果はいつ出るかわかりませんが、アメリカは着々と対中貿易赤字を減らすための法制定を進めます。
米中関係は冷え込み、中国は中露関係の改善をせざるを得なくなります。
アメリカが親ロシア系のようにふるまっているのは対中外交政策に基づいての判断と推定しています。
万が一にロシアと敵対的中立になった場合でも、最後の一線を越えないためには充分なパイプを持つ人が必要です。それが現在の米閣僚の指名にロシア通が多い理由です。
これらの結果、中国は消費地の欧州と手を結ぶことになるのですが中欧関係にロシアが友好的中立を保つと仮定すると、
ロシアはアメリカとヨーロッパを天秤にかけてみせ、その上でヨーロッパのエネルギー保証をカードにウクライナ問題の解決をEUにせまる可能性があります。
極めて民主的に「該当地域の住民投票による選択」というのが可能性が高いのですが、もともとクリミア自治共和国はロシア系住民の方が多い地域ですから、何の問題もなく可決するでしょう。
そして、その影響は周辺国に及びます。
もっとも可能性が高いのはジョージア(グルジア)です。
ここは2008年にロシアの侵略を受け、アブハジア自治共和国と南オセチア自治州が独立を表明しロシア・ベネズエラ・ニカラグア・ナウルの4か国が独立承認しています。(現在でも実質独立してます。)
その環境でもジョージアはEU加盟を目指し2014年にEUと連合協定を結んでいます。
黒海を押さえる上ではアブハジア自治共和国は非常に重要な位置にあるのですが、ここも同様に住民投票で決められると、ロシア領になる可能性が高くなります。
そしてジョージアの南はトルコ国境に接しています。
その結果、トルコはロシアと国境を接するという最悪の事態になります。
なぜならISISやアルカイダはロシアでもテロを行えます。
そしてロシアはテロには力で押しつぶします。
ジョージアの北東にはチェチェン共和国があり、イスラム系住民の独立運動が有名です。
近くではボストンマラソン爆破テロを起こしました。
ISISの掃討作戦が終了後はロシアは南部でのイスラムテロ掃討作戦に入るはずです。
その時に逃げる先は、間違いなくジョージア・トルコになります。
その際にトルコのロシア機撃墜のような事故が起きたら・・・
今までですと、アメリカ・EUを含めたNATOにトルコが加盟していたためトルコにロシアが手を出すことはあり得ませんでした。
しかし、NATOからアメリカが力を抜き、国内の再建に手を出した場合、欧州単独でどこまでロシアと外交で戦えるかは不明です。
ましてやNATOの主力国イギリスはEUを脱退します。
懲罰的な貿易協定を結んだ場合、資金不足でNATOへの参加そのものにも暗雲が立ち込めます。
アメリカが世界の要石であるのは間違いありません。
その要石がなくなった時に一番影響が出やすいのが遙か遠くのトルコ近辺というのは皮肉です。
たぶんメキシコより先に影響が出るでしょう。
トルコなんて遠い国での出来事のようですが、トルコと日本の経済的な結びつきを考えると、地中海での駆けつけ警護は覚悟する必要があります。
この辺が数年内に起きそうなシナリオです。
アメリカの内政立て直しに関しては、正直わかりません。
8割は失敗すると思うのですが、2割も成功確率がある状態を作り出したトランプ氏の手腕に期待です。
日本にとっては成功されると、かなりまずいことになるのは最後に付け加えておきます。