三
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実家へと帰宅した二日後の十二月二十八日。一通のメールが私のスマートフォンへと届いた。
メールの送り主は沢口光輝というかれこれ十数年の付き合いがある我が親友である。どうやら遊びの誘いの様だ。
幸いにして本日カノジョと会う予定が無かったため、私はその誘いに乗る事とにした。
久しぶりに男同士で遊ぶのも良いだろう。
「おーす」
「おう。良く来たな」
私は小学生の時より通い慣れた沢口家を訪れた。年々大きくなっていく松の木が今日も今日とて堂々と君臨している。そろそろ八メートルに届きそうな高さだ。
ジャージ姿のまま玄関にて出迎えに来た沢口に連れられ、私達は居間にある炬燵へとモゾモゾと足を入れた。そろそろ今年が終わろうかと言う時期、めっきりと気温が下がったため、この暖かさはありがたい。
「久しぶりだな。前に会ったのは夏休みか?」
「そうだな。学校とかで忙しかったし。沢口は学校どうなんだよ? 上手くやってる?」
沢口は我らの実家の近くにある工学系の大学に通っており、最近歯車の模型を作ったという話を聞いた。
「製図とかマジで面倒くさい。0.1ミリの誤差ぐらい手書きなんだから許容してくれても良いと思わん?」
「いや、俺理論系の学部だから製図の事とか分からん。まあ、車とかで事故が起きたらヤバイし、しょうがないだろう」
「まあ、分かるんだけどな。そう言う立花は学校どうよ?」
「板書で手が腱鞘炎に成りそうなのを除けば概ね良好。授業は大体分かるし、クラスメイトとも上手くやってるからね」
「お前、あの時から滅茶苦茶勉強頑張ったもんなー」
沢口が懐かしむように眼を細めた。
きっと私達が高校生の時を思い出しているのだろう。
「あの時は勉強するしか考えられなかったからな。おかげで学年一位取ったし、志望校には受かったしね」
「まあ、何だかんだ、月一ぐらいで俺達遊んでたがな」
「そういやそうだな」
「どうだ? 久しぶりに対戦しないか?」
沢口は炬燵近くに置かれた液晶テレビに付けられたゲーム機を指差した。
「良いね」
沢口は体を捻ってゲーム機を起動し、テレビ画面に私達が見慣れた格闘ゲームのオープニング画面が映る。
昔は指が痛くなるほどやったゲームである。
「じゃあ、負けた方がジュース奢るって事で」
「了解」
沢口の提案に頷いて、私達はコントローラーを握った。
見慣れた眼鏡の縁が映る視界は中々に良好である。
七戦ほどして三勝四敗で私の負けと成ったため、私と沢口は古ゲーム屋物色兼勝者への賞品を買う為に外へと出ていた。
大晦日近くの空気は何処か静かである。
しばし歩いて私達は目的の古ゲーム屋へ着いた。
「おお、立花、このゲーム安いぞ」
沢口はそう言って携帯ゲームの長方形のパッケージを持ってきた。どうやらRPGであるらしく、ファンタジー調の男女が向かい合って立っている。値段は百八十円。見てみると新品は五千円。一体何があって四パーセント以下の値段になったのだろうか。
「ここまで安いと地雷にしか見えないな」
「もしかしたら神ゲーかもよ?」
「高確率で紙ゲーだろうよ」
この様な安すぎて地雷にしか見えないゲームをやるのが沢口の趣味の一つだ。彼が言うにはチープな内容の中に楽しみを見つけるのが楽しいらしい。
一通り店内を物色した後、私のお目当てのゲームは無かったので、私達は古ゲーム屋を後にした。沢口の左手にはビニール袋があり、百八十円で購入した戦利品が入っている。来週には彼なりの感想を聞けるはずだ。
「じゃあ立花。あそこで俺にジュースを謙譲したまえ」
「次は俺が勝つからな」
大仰にドヤ顔をする沢口をあしらって、私達は目に付いたコンビニへと入った。




