表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花弔風月  作者: 満月小僧
私とカノジョのクリスマス
6/42

 キラキラ星からクリスマスキャロルに曲が移る頃、私はマスターが運んできたフライドポテトを口に運んだ。適度な塩気で実に美味い。


「風香。あーん」


 何と無しに唐突にバカップルをする事にした私は、左手で持ったフライドポテトをカノジョの口元へと運んだ。


「あーん」


 カノジョは少しだけ恥かしそうにしながら、小鳥のように口を開き、私の手のフライドポテトを食べた。


「うん。美味しい。飛鳥も、ほら、あーん」


 お返しとばかりにカノジョも机にあった骨なしチキンを私の口元へと持ってきた。せっかくなのでいただく事にする。


 バカップルぶりにも大分慣れた。



「今日は楽しかったわ」


「そうだな」


「飛鳥、本当に踊るの下手なのね」


「だからソーラン節しか踊れないんだって。小学生の時に習ったのがそれだけなんだって」


 歌ったり踊ったりのクリスマスイベントも終わり、そろそろ日を跨ぐかと言う時間帯、私とカノジョは既に帰宅していた。


 今はソファに座りながら何となしにだらだらとしている所である。


 テレビも付けていない空間はとても静かで、私達の息の音が聞こえる程だ。


 気付いたらカノジョが私の右手を握っていた。


 それに私は眼を細める。


 こうしてカノジョとクリスマスを祝うようになって四年になる。


 思えば色々あった。


 カノジョの彼氏に成った当初はあまり上手く彼氏を出来ていなかったと思う。


 カノジョにどう接すれば良いのかが分からず、何度も失敗し、何度も危ない場面があった。


 それでも、とりあえず今日この日を迎えるまで彼氏を続ける事が出来た自分を私は褒めて良いのだろう。


「ねえ、飛鳥」


 カノジョが静寂を破った、とても静かな声で。


「何?」


 カノジョに顔を向けると、私達の眼が合う。


 カノジョの瞳の中に私の姿が写っていた。


「キス、して」


 カノジョは瞳を閉じ、私は口元を笑わせた。


「喜んで」


 ああ、確かに今の私は幸せである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ