表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を救った、よしどうしよう  作者:
元の世界へ帰りましょう。
5/49

第4話 何だか寂しくなりました。

 遅めの朝食を終え、片づけも終わったころ、壮さんが食堂に入ってきた。


「みんなやっと起きたんだ」


 そう笑う声からは微塵の疲れも感じ取れない。流石というべきなのだろうか。少し複雑だ。


「王女様から聞いたことを説明するんだけど、長くなりそうだし、お茶でも入れてもらおうかな」


 彼がそう言うと、すぐに周りにいたメイドさんたちが行動を開始する。

 流石は国を治める王が住む城のメイド、と言ったところだろうか。


「じゃぁ、ゆっくり説明していくよ」


 全員に紅茶とクッキーが行き渡ったのを確認して、壮さんは話を始めた。


「よくよく考えたら俺たちは魔族を倒すことに必死で、帰り方なんて知らなかったよね。昨日呼ばれたのは、帰り方の説明を受けるためだったんだ」


 壮さんの声を真剣に聞きたいが、紅茶の甘い香りと、隣で涼さんがクッキーを食べるボリボリという音が邪魔をして、気が抜けた。


「で、どうすれば帰れるんですか?」


 黎さんが聞いた。


「まず、前回は俺たちがいた世界から、この世界へと来るために時空を超えたんだ。でも、今回はそれにプラスして、時間を超える必要もある」

「時間、か……」


 ゆあのその言葉は独り言でも、話をしている壮さんへ向けての言葉でもなくて、遠くにいる誰かに囁いているような感じがした。

 

「時間を超えるときに、身体は1年前の姿に戻る。負った傷跡なんかも消え去る、っていうことだね」


 全てが1年前の、召喚された日に戻る、ということか。


「時空を超えるだけの召喚術ならいつでも行えるそうなんだけど……。 その逆の転送もね……。でも、時間を超えるとなると1つ条件があるらしいんだ」

「「「「条件……?」」」


 みんなの声が重なり、思わず顔を見合わせる。


「そそ。条件は満月であることで、次の満月は明後日なんだ」

「明後日……?」


 雄吾さんが聞き直した。


「うん。つまり帰る日は明後日。急だよね、本当に……。明日の午後からは場内で王様とか、他国のお偉いさんとパーティー、明後日の昼間は王国内でパレードするから、好きなことできる時間は短いのね。だから、荷物は今日のうちに纏めて、それから好きなことしてね」


 本当に、この王国との永遠の別れが近づいているんだ、と感じた。パーティーや、パレードなんて正直面倒だけど、せっかくこっちの世界で英雄になったんだから、最後までやり英雄をやり遂げよう。


「最後の最後で、好きなこと出来る時間少なくてごめんね……」

「そんな、壮さんが謝るようなことじゃないですよ!!それに、私は元の世界で、みんなと会えれば十分です」


 そっと微笑んだ、ゆあの一言にみんなが頷いた。


「1年前に戻るときに記憶はちゃんと保護してくれるそうだよ。だから、そこは安心して大丈夫だから。じゃぁ、持って帰るものとか、荷物とか早めにまとめてね」


 壮さんの言葉にみんなが返事をして、それぞれの部屋に戻った。




* * * * * *


 


 午後からは荷物をまとめた。こちらの世界のものを持って帰ることが出来るようなので、愛用していた短剣と、召喚獣を召喚するときに使っていた杖を持って帰ることにした。


 召喚獣との契約は、主としての契約から、友としての契約に切り替えた。

 これで、彼らは新たな主と契約できるようになる。また、俺も友として彼らを召喚できる。

 主が召喚していないときに限るし、俺が召喚していても、新たな主が召喚しようとすれば、そちらを優先しなければならないが。


 でも、元の世界ではきっと召喚できないだろうから、魔王との戦いの後、もう別れをしておいた。


 イフリートは俺の数倍ある筋肉だらけの体を震わせて泣いていたな。相変わらず水の召喚獣ウンディーネは美人だったな。


 なんて考えていると涙が零れそうになる。


「片づけ、片づけ」


 涙をこらえて、ここに召喚されたときに背負っていた、高校への通学用の鞄に荷物をつめこんだ。




帰る兆しが見えてきました。

誤字脱字等ありましたらご報告お願いします。

感想やアドバイス等お待ちしています!!


お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます!

すごく嬉しかったです!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ