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世界を救った、よしどうしよう  作者:
過去を振り返りましょう。
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第38話 異世界に召喚されました

過去編に入ります

「まずはこの世界の説明と、私たちが皆様を呼び出した訳を説明させて頂きます」


 ここはキリグリーマ王国という国。そしてこの国は、俺の住んでいる世界とは、違う世界に存在する。

 ありえないような話なのだが、俺は学校帰りに異世界に召喚されたらしい。

 6人の男女とともに……。


「ここはキリグリーマ王国。1年前までは、緑と水に溢れた豊かな国でした。しかし、洞窟に封じていた魔族が復活してしまってからは、国は荒れてしまい、国民たちは大きな不安とともに生きなければならい状況に陥ってしまったのです……」


 城内の一室で、国の現状を説明してくれているのは、この国の王女だ。彼女は、まずは突然の召喚を丁寧に謝罪した上で説明をしてくれている。

 まだ異世界にいるだとか、世界がピンチだとか、そんな状況という実感は俺には湧いていなかったが、彼女の表情が、この世界の危機的状況を感じさせた。


「そこで、私たちはこの国に伝わる、異世界より7人の勇者を召喚する魔法を使うことにきめたのです。そして、皆様を召喚させて頂きました」


 これが、俺たちが召喚されるまでに至った全ての経緯のようだ。俺たちの今までの日常から考えると、信じたがたい話で、戸惑いを隠せなかった。

 周りの一緒に召喚された人たちも同じなのか、固い表情を浮かべていた。


「皆様は、大きな力を持った状態で召喚されています。突然の召喚を本当に申し訳なく思っております。しかし、私たちも選択肢を限られた中での行動であったのです。どうか……どうかこの世界をお救い下さい……」


 王女様は、立ち上がり深々と頭を下げた。声は少し震えている。俺たち7人は誰も、何も言えずに黙っているだけだった。

 頭の中で色々考えていたり、ただ茫然としていたり、もしかしたら面倒なことに巻き込まれたと思っているのかもしれない。

 俺には突然召喚されたことに対する怒りはなかった。それは、まだ実感がないからかもしれないが、申し訳なさそうに話す王女に何も言えなかった。

 

 そんな中、立ち上がった人がいた。


「考えさせてください。全員が突然知らない世界に知らない人たちと召喚され、戸惑っています。それに、私たちが今まで住んでいた世界からは想像できないような話なのです。王女様のお気持ちも分かりますが、少し時間を頂きたいのです」


 黒髪にメガネの男性だ。見た感じ20代半ばであろうか。恐らく7人の中ではもっとも年上だろう。

不安気な表情を浮かべる皆のことを察してか、そう、時間をくれるよう言ってくれた。


「申し訳ありません……。失礼いたしました。皆様の個室、食堂をご用意させて頂いておりますので、すぐに案内いたします」


 王女様は、頭を下げてそう言った。不安なのは彼女も同じはずだし、きっと国家の危機という内容を考えれば、俺たちよりもずっと精神的に追い詰められているのかもしれない。

 それでも頷いてくれた。当たり前と言われればそれまでなのかもれないが、俺はそんな王女に少し感謝した。

 でも、当然のことだが、全員が全員今までの話に納得できているわけではなかった。


「ちょっと待ってくれよ……。いきなりこんなとこに呼び出されて、世界を救えだのなんだの……。納得いくわけねぇよ!」


 少しきつめの口調でそう言ったのは、高校生くらいの男性だ。背が高く、非常に整った顔立ちをしている。

 まるで芸能人のようだ。


「俺たちにだって向こうの世界での日常があって、生活がある!! その流れを断ち切るわけにはいかねぇんだ……。早く帰してくれよ!!」


 荒げた声に、隣に座っていた同じく高校生くらいの女性の体が震えた。大きな瞳に、ロングの綺麗な黒髪をもっている。

 それに気付いたのか、声を上げた男性は不満そうではあるが、一旦言葉をとめ、


「悪ぃ……。色々考えてて、落ち着いていられなかった……」


 と、その女性に謝った。


「いえ……。仕方ないことです……。私だって思ってることありましたけど、言えなかったから、だから、それよりはずっといいことだと思います……」


 彼女は小さな震える声を絞り出すようにして言った。

 こんな言い方は失礼かもしれないが、確かに彼女はこのなかで最年少のようで、あまり物を強く言えるような雰囲気の人ではない。

 きっと、この状況のなかで、自分の考えを伝えることができなかったのだろう。


 それに、俺だってはっきりを自分の意見を伝えているわけではない。

 たった7人のメンバーのなか、それは大きな問題だ。


「言いたいことあったら言ったほうがいいよね……。うん……。明日までに自分の考えをまとめておいて、この7人で会議みたいなのをしたほうがいいかもしれないですね」


 そう言ったのは、大学生ぐらいの可愛らしい顔だちの男性だ。

 温かな雰囲気が、その場を和ませてくれた。


「そうだな。自分の考えもわからねぇまま、何を伝えるのかって話だしな」


 その考えに賛同したのは、体格のいい男性だ。少々怖い雰囲気はあるが、きっといい人なのだろうなというのは伝わってきた。


「とりあえず話は明日だね。今日はもう休もう」


 最初に王女に話を提案したメガネの男性の言葉で、俺たちは王女の案内のもと、部屋へと向かった。

お久しぶりです。

更新のできない状態が続き申し訳ありません。

また少しずつ書いて思いますのでよろしくお願いいたします。


過去編は3話から5話程度になる予定です。


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