無核戦記に込めた思い
今年で八十年目の終戦記念日を迎える、正午の鐘の音とともに――戦没されたすべての方々に深い敬意を表し、心より哀悼の意を捧げます。
現代の世界では、局地的な紛争はあっても、第二次世界大戦のような全面戦争は長く起きていません。まずは、その事実に感謝したいと思います。
同時に、私は映画『空母いぶき』を観て、現代の艦隊戦描写の迫力に強く惹かれました。しかし、ふと気づいたのです。現役の戦艦同士が真正面からぶつかるような物語は、「今までほとんど存在していない」と。
「無いなら、自分で作ればいいじゃないか」。そう考えて、この物語を書き始めました。もっとも、私は文章のプロではありません。物語構築の多くは、生成AIであるChatGPTの力を借りながら進めています。
『いぶき』で艦隊戦が成立していた理由を自分なりに考えた結果、アグレッサーも自衛隊も核戦力を持たない世界だったからでは無いか。もし核兵器が無ければ艦隊同士の戦いが現実味を持つのではないか、という仮定にたどり着きました。原子力空母や原子力潜水艦が実戦で被弾し、メルトダウンを起こすような事態は、あまりにも危険ですから。
当初は、核分裂の発見をSF的に「突然取り上げる」案も検討しました。たとえばAIが人類にロックをかける案、量子法則が変わる案、古代文明人の時限兵器が暴発する案……。
しかし、いずれも私の中で腑に落ちませんでした。そこで、思い切って歴史そのものを変えることにしました。
最初はアルベルト・アインシュタイン博士も存命にするつもりでしたが、設定の説得力を高めるため、あえて早逝させています。その他、核関連で大きな功績を残された科学者の皆さまには、大変申し訳ありませんが、この物語の中ではご退場いただくことになりました。
こうして形になったのが、この『無核戦記』です。
過去への敬意と、今を生きる我々の平和への願いを込めて――架空戦記として楽しんでいただければ幸いです。