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第二章:彗星(すいせい)の軌道

――揺らぎ始めた空の下で

ノアは、夢を見ていた。

目を閉じるたび、浮かび上がるのは、三つの光――


金、蒼、そして紫の光。

どこか懐かしく、けれど見たことのない輝き。


ふと意識が戻ると、そこは見慣れた教室だった。

放課後の沈黙。窓の外には夕暮れの色。

けれど、どこかが違う。


…空が、ざわついていた。


ノアの指先が微かに震えたとき、空に光の尾が走った。


彗星――

それは、数百年に一度だけこの地を通過するという、記録にすらあいまいな存在。

けれどノアには、なぜかそれが「運命の引き金」のように思えた。

その夜、ノアは再び夢を見た。

だがそれは、ただの夢ではなかった。


夢の中で、誰かが語りかける。


「ノア、あなたは“問い”の器」

「次元を揺るがす鍵となる存在」


声の主は、黄金の髪を揺らすフェルナだった。

神話に語られた創造の女神が、目の前に現れていた。


「彗星が近づくとき、封じられた記憶もまた甦る」

「さあ、ノア。次元の狭間へ来なさい」


ノアはためらいながらも、一歩を踏み出す。

すると空間が軋み、教室の床が“光のひび割れ”に包まれた。


足元が崩れ、次の瞬間、ノアは別の空へと落ちていた。

ノアは空中に浮かびながら、目の前の光景に息を呑んだ。

銀の河、反転した星座、重なり合う現実。


そして、光の中に立つひとりの少女――

いや、少女のように見える存在。


「私はエルア。この世界の秩序を守る者」

「あなたが来ることは、記録されていた」


ノアは、言葉にならないまま彼女の声を聞いていた。


エルアは静かに手を伸ばす。

その手のひらに、小さな「彗星の欠片」が浮かんでいた。


「これはあなたの記憶の一部。忘れていた始まり」

「ノア、あなたはこの宇宙が創られた“問い”に近づいている」

目覚めの記憶


――彼女の瞳に映る彗星は、ただの天体ではない。

あれは記憶だ。世界の底に沈んでいた、古代の問い。

それを再び、呼び起こすために降りてきた。

次元世界の目覚め


――ノアが落ちた先は、この世界ではない。

時間が曲がり、重力が渦を巻く「境界エッジ」と呼ばれる空域。

そこは、神々が観測する“変化の兆し”が最初に現れる場所だった。


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