2/8
1――神話編―始まりの三柱
第一節 フェルナ ――光より生まれしもの
かつて、この宇宙に「無」しかなかった頃。
すべては静寂と虚無の中に溶け、始まりも終わりもなかった。
だが、その永遠の沈黙の中で、ひとしずくの“意志”が目覚めた。
それは、まだ名もなく、形すらない衝動――
ただ「在りたい」と願う力だった。
その意志が、自らを形に変えたとき、
宇宙に初めて「光」が生まれた。
その名を、フェルナ。
フェルナは創造の女神。
彼女の存在は、火花のように爆ぜ、粒子が生まれ、
空間が膨張し、時間が流れ出す。
まだ誰もいない宇宙に、
彼女は星の種を撒いた。
「私が創ろう。無数の可能性を、この手から」
フェルナの目には、命の未来が映っていた。