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灰の魔導士   作者: toronton
6/71

安堵

 「……さて、どうする?」


 ゴブリンの死体は4体。

 しかし、問題はそこじゃない


 「やっぱりおかしいよね、こいつらの動き……」

 ティナが、まだ緊張の抜けきらない声で言う


 エリスも真剣な表情で頷いた

 「罠を使うゴブリンはいるけど、こんな巣から離れた所にわざわざ罠を仕掛けるなんて……」


 「だよな」

 俺も同意する。


 「こいつら……普通のゴブリンとは違うのか?」


 「どうだろうな…」

 ガルフが、顎に手を当てながら言う


 「巣にいるゴブリンたちは、外で活動する連中より強い。統率が取れてる場合が多いらしいぞ」

 「ってことは、聞いてた話より巣が近いってこと?」

 「そうかもな……」

 俺たちは顔を見合わせる

 もし、こいつらが哨戒部隊みたいなものだったとしたら——

 「巣の中には、もっと手強いゴブリンがいる可能性が高いな」


 「……うわぁ、マジかぁ……」

 ティナがげんなりした顔をする


 「どうする? このまま探索するか? それとも一旦引き返すか?」


 「……慎重に動きたいところだな」

 俺はあたりの地形を確認しながら答える


 「まだ陽があるうちに、やつらの潜伏場所を突き止めておきたい。夜になってから動くのは危険すぎる」


 エリスも頷いた

 「でも、深入りはしないほうがいいわ、どれだけの数がいるのかも分からないし……」


 「わかってる、今はあくまで偵察だ」


 俺たちは慎重に歩を進め、ゴブリンたちが出てきた方向へと向かった

 木々の合間を抜け、しばらく歩くと、獣道のような踏み固められた地面が現れた


 「……ここ、怪しいね」

 ティナが警戒しながら呟く。


 「だな……痕跡が新しい、最近も頻繁に使われてるってことか」

 俺は周囲を慎重に見回した。

 しばらく進むと、大きな岩陰の向こうに、小さな洞穴のような空間が見えた。


 「……あれが、やつらの根城か?」

 ガルフが低く呟く

 「可能性は高いわね、でもどれだけの数が潜んでいるのか分からない」

 エリスが慎重な声で言う

 「無理に突っ込むのは得策じゃねえな」

 「そうだな……、一旦引き上げて、情報を整理しよう」

 俺たちは慎重にその場を後にし、ひとまず町へ戻ることを決めた




 戦いを終えた俺たちは、疲れた体を引きずるようにして町へと戻ってきた。ゲートをくぐると、いつもの見慣れた町の光景が広がる。夕暮れに染まった石畳の道を歩きながら、ようやく肩の力を抜くことができた


 「今日は……本当に疲れたわね」

 エリスがほっと息をつく。

 「まぁな……正直ゴブリンに苦戦するなんてな…」

 俺の言葉に、ティナとガルフも頷く。

 「あんなにまともに戦闘できるゴブリンがいるとは……」

 ガルフが渋い顔をしながら呟く


 「とりあえず、組合に報告してから寮に戻ろう」

 俺たちはそのまま冒険者組合へと足を向けた


 組合のカウンターで、受付嬢に討伐の報告を済ませる

 「お疲れさま、今回の討伐結果を確認出来たわ」

 受付嬢は記録を取ると、微笑みながら答えた


 「それと、巣の近くで活動しているゴブリンの情報も伝えておくわね……もしかすると、大掛かりな討伐依頼が出るかも」


 「やっぱり……か」

 リアンは小さく呟く


 「何にせよ今は休息が必要だろう、しっかり休んで、次に備えたほうがいい」


 「……そうだな」


 報告を終えた俺たちは、組合を出るとそのまま宿へと向かった


 宿に到着すると、俺たちは一気に気が抜けた


  「今日はもう動きたくない……」

 ティナが椅子に座り込む


 「俺も飯食ったらすぐ寝るわ……」

 ガルフが大きなあくびをしながら荷物を降ろす。


 「じゃあ、何か軽く食べて休みましょう」

 エリスが調理場に向かい、俺たちは簡単な食事を取ることにした。


 戦いの疲れを感じながらも、こうして仲間と無事に過ごせることに、俺は少し安堵するのだった。


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