⭕ 袖触れ合うも他生の縁 2
大雨が降る中、獣道からガサガサと音がする。
何かが此方に近付いて来る。
キノコン
「 セロフィート様,マオ様!
単体が来ましたエリ! 」
セロフィート
「 おや──、どうやら女性の様です 」
マオ
「 女性?
こんな大雨の中を1人で? 」
キノコン
「 倒れちゃいましたエリ 」
マオ
「 地面がぬかるんでるもんな。
泥だらけ、だろうな 」
キンコン
「 セロフィート様,マオ様──。
倒れた相手は、相当疲れている様ですエリ 」
マオ
「 そうなのか?
取り敢えず、行ってみよう 」
キノコンからの誘導で、地面に倒れている女性の元へ駆け寄る。
女性──って言うよりも少女に見える。
泥だらけだけど、怪我もしているみたいだ。
マオ
「 うわ──、顔色が悪いな。
それに雨に打たれ過ぎて弱ってないか? 」
セロフィート
「 意識が朦朧としている様です。
雨風を防げる場所へ運ぶとましょう 」
マオ
「 そうだよな。
こんな危ない状態の女の子を雨ざらしのまま放置は出来ないよな。
助けてあげよう! 」
キノコン
「 セロフィート様ぁ~~。
喰べちゃ駄目ですかエリ? 」
セロフィート
「 キノコン、マオが “ 助ける ” と言っているのです。
その者は諦めなさい 」
キノコン
「 エリぃ~~ 。
美味しそうなのに残念ですエリ…… 」
マオ
「 キノコン、この子を運ぶの頼めるか? 」
キノコン
「 お任せくださいませエリ★ 」
キノコンはズブ濡れの少女を軽々と持ち上げる。
セロが古代魔法の清掃魔法を使って、泥塗れで汚れた少女を綺麗にしてくれる。
綺麗になった少女をキノコンが笠の上へ器用に乗せた。
セロは少女が雨に濡れない様に古代魔法を発動する。
オレ達みたいに雨に濡れなくなった少女に対して、セロは温風魔法を使って全身を乾かてくれる。
セロフィート
「 これ以上、症状が悪化する事は無いでしょう。
確り静養させる必要が有ります 」
キノコン
「 セロフィート様,マオ様!
複数の追っ手が近付いて来ますエリ! 」
マオ
「 飢えた野犬や狼かな? 」
セロフィート
「 人間でしょうに。
武装してますね 」
マオ
「 武装した複数の奴等が1人の女の子を追って来たって事かよ?
物騒だな。
この子の方が “ 泥棒 ” って事は無いよな? 」
セロフィート
「 マオ、気絶させるだけにしてください。
身ぐるみを剥いで捕獲しましょう 」
マオ
「 実験台にするのか? 」
セロフィート
「 お腹を空かせているキノコンのゴハンにします。
良いですね、キノコン 」
キノコン
「 セロフィート様ぁ~~♥
有り難う御座いますエリ。
嬉しいですエリ~~(////)」
セロフィート
「 確りと味わいなさい 」
キノコン
「 はいですエリ♥ 」
マオ
「 ははは~~。
キノコンの胃袋逝き確定か。
でもさ、1人ぐらいは残しとかないか?
女の子を複数で追っていた事情を聞かないとだろ 」
セロフィート
「 そうですね。
1人だけ自白用に生かすとしましょう 」
セロと話していると少女を追っている武装した奴等が現れて、オレ達は取り囲まれていた。
全員が物騒な連中だ。
仮面を被っているから顔は分からないけど、声からするに男かな。
追手:A
「 ──見掛けたぞ、小娘ぇ! 」
追手:B
「 覚悟するんだ! 」
追手:C
「 大人しく鍔を寄越すのだ! 」
何だよ、コイツ等。
めちゃくちゃ柄が悪いじゃん。
如何にも「 俺達、悪人でっす★ 」って宣伝してる様なもんじゃないか。
マオ
「 えぇと──、今は気を失ってるから聞こえないと思うけど? 」
追手:A
「 小僧!
その小娘を我等に渡せ! 」
追手:B
「 小娘を渡せば今回だけは見逃してやるぞ! 」
追手:C
「 怪我をしたくなければ、小娘を置いて去れ! 」
マオ
「 …………えぇと、如何にも怪しい仮面野郎の言う事を素直に聞く馬鹿は居ないと思うな。
大の大人が大人数でさ、雨に打たれて弱ってる1人の女の子を酔って集って襲ったりして、男として恥ずかしいと思わないのかよ? 」
キノコン
「 男が少女を襲う理由は古今東西、決まっていますエリ。
盥回しにして弄ぶつもりですエリ! 」
セロフィート
「 ふふふ…。
それが本当なら少女を渡せませんね、マオ 」
マオ
「 全くだ!
意識の無い女の子に乱暴するかも知れないゲスい野郎共を生かしておけないよな! 」
追手:A
「 ……何を言っている? 」
追手:B
「 我等は小娘に用は無い! 」
追手:C
「 小娘が隠し持っている鍔が必要なのだ! 」
マオ
「 鍔ぁ?
何だよ、物取りかよ。
盗賊の類いか?
見逃す必要が確実に無くなったな! 」
セロフィート
「 盗賊は犯罪者です。
心置き無く成敗が出来ますね、マオ 」
マオ
「 だな!
お前達──、覚悟しろよ!
今日が、お前等の年貢の納め時だぞ! 」
追手:A
「 小僧!
我等を玄◯宗と知った上での狼藉か! 」
マオ
「 何言ってんの?
狼藉してんのは、お前等の方だろぉ!! 」
◎ 訂正しました。
少女を綺麗にする。─→ 少女を綺麗にしてくれる。