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05

 ネモを先頭に再び目的の建物へと入ろうと扉の取っ手を握ったがビクともしなかった。それは、単純に鍵が掛けられているからだが、同時に使用されている建物ということが証明される。


 ネモは、少し強引に扉を押し込んだり引いたりとがちゃがちゃ鳴らすと、がきっと鈍い音がした。次にバキっと大きな音がすれば、途端に扉はストッパーが無くなったのか手を離すと扉が勝手にスイングしだす。物理的に扉の鍵を壊したらしい。



(こういうところが潜入捜査向けじゃねぇんだよな)



 その行動にアドビーはドン引きだ。もしここが求めている建物でなければ、この壊した鍵はどう対処すればいいのか。既にシスター・マングロウの般若顔が思い浮かべられる。



「扉が開いた(物理的対処)から入ろう」



 3人は苦笑い浮かべながら、やる気満々なネモの後ろを素直についていった。


 中に入れば先程の建物とは打って変わって随分と賑やかであった。中は、先程の建物と似たような造りなのに、備え付けられている備品たちで使用感が高まる。更に、研究所とのことで書物が多いのか本の香りがするのだ。そこに時おり薬の独特な香りも漂う。



「ここが製薬会社の研究所とはまだ断定はできないけどさ、さっきよりは人の気配がするな」



 アドビーが、おそるおそるとカルマの背中かから顔を出す。このメンバーの中では1番年上だと言うのにその姿は少し情けなく見える。



「いやァ?ここは製薬会社で間違いなさそうダよ」



 何をそんなに楽しいのか、フィオネは、にしししっと笑いながら、テーブルの上の資料を1枚。そこには、作成されている医薬品の種類やデータが書かれている。しかも、親切にエルフェンリート製薬会社・新薬研究科と記載がある。なんともご丁寧なことだ、とネモは目を細める。


 ヴァンパイアになると夜目が利く。フィオネほどでは無いが、おそらくカルマやアドビーよりはこの部屋は良く見えているだろう。


 一応、ランタンは持ってきてはいるが足元は少し危なげない。全く見えないわけではないがやはり薄暗く分かりづらいのだ。だが、それでもフィオネとネモは見えるので、明かりはカルマとアドビーに渡した。



「どーする?これ」



 ぴらりと製薬内容の紙を広げる。中身はよく分からないが、しっかりとエルフェンリート製薬会社が記載されているのは分かるので、これを証拠に回収するのはありである。



「一応、回収か?」


「これ、シスター・マングロウにも報告するんだろ?だったら、調査員が改めてがさいれするでしょ。それに、これだけだと本来の目的とは合ってない上に、これだけだとここの建物がエルフェンリート製薬会社の持ち物である証拠を掴んだだけだ。ここ最近の吸血鬼関連の事件に関与してたかなんて分からねぇ」



 ネモがフィオネの言葉に顎に手を当てて悩んでいたときた、軽くアドビーが説明してくれば、なるほど、とネモとフィオネが頷く。だったら、特にこれを持って帰る理由もないので、フィオネは一気に興ざめしたのか試験結果のプリントをテーブルに投げた。


 ネモはそんなフィオネの情緒の上がり下がりに、内心苦笑を漏らしながら、先を歩こうと前を進む。


 人の気配は残ってるのに人っ子ひとりいない。今は、夜間謹慎体制が続いているので、見張りなんて以ての外。だからこそ、ネモたちが入っても通報されるとかはないのだが。逆に、こんなにも人の気配をビンビンとさせているというのに、人の影が見えないのも不安が膨らむばかりだ。ネモは奥を歩くにつれて、複数人、しかも少なくない数の人間の気配に意識が少し朦朧としてしまう。本能が求めるもの。枯渇した喉を潤してくれるもの。不完全を完全にしてくれるものを求めてしまう。



「そういえば、だ」



 静かすぎる建物を進むにつれ、ネモの様子が気になったのか、カルマが気を紛らわせるために声を静かにあげてくれる。



「先は外に出た途端に囲われたから聞きそびれたが、ドビーは何故外に出たんだ」



 自分の背後に大人しく着いてきてくれるオッサンに声をかけると、アドビーは「ああ、それか」と苦笑いを浮べる。



「ここの通りは似たビルがあったよなぁってところから、ネモと同じだ。似たビルを囮におびき寄せたんじゃねぇかってなぁ……。相手は幻術使いか認識阻害を使うだろ?昨晩見たって言ってた、ネモ、フォオネ両名にその術を使った結果、近くの似たビルを模写したんじゃねぇかなって。流石に俺には特定のビルを判別する能力はなかったからさ、ネモが一発で当ててくれて助かってるぜ」



 その言葉を耳にすれば意識が少しだけ逸れるからか、昂っていた心臓は落ち着いてくる。どうしようもない渇望感は落ち着いて、冷静に気配のする方へと足を進めることが出来る。ひとりだったらきっと出来なかっただろう。いや、もしかしたらそもそもがここに辿り着けなかっただろう。それこそ、先程アドビーが口にしたしらみ潰しにビルを叩くことが前提となる。こんなに早く対象を見つけられたかも分からない。


 彼らがいることで、生き血の欲求は強いが自我を失うほどでもない。逆にそれのお陰で意識をしっかりと保てている。


 ネモたちは、人間の香りを辿りながら、静かに証拠を集めていく。今のところ吸血鬼関連の資料は出てこない。



 ここは、大きな製薬会社の研究所だ。人の出入りだって多いだろう。研究者以外にも、社員や営業や他の会社の人たち。そういう人たちが出入りをするということは、資料は人目に付くということだ。そんなあからさまなものがあれば、こんな事件が連発して起きる前にタレコミがあるはず。それがないということは上手く隠しているのだろう。


 例えば地下とかに。そう、ずっと人の気配は、地面からするのだ。見える位置ではない。隠したければ地下。とても分かりやすいものだ。だが、それに続く道が今のところ見当たらない。


 一同は、ゆっくりと突き当たりの階段に到着する。このビルは最新なのか、階段とは別に昇降機もある。最初に入ったビルよりも随分と広くて大きいし立派だった。昇降機なんて教会本部でしかお目にしたことがない。どうして外観はあれだけ似ているのか少しだけ違和感を覚えるほどに。



「下に行ける道はやはりないか」



 ネモが小さく言葉を零す。元々声量は多くなく、声も大きいというわけでもないけれど、どれだけ小さく零しても静かな空間ではよく響くものだ。実際にネモの声は、声を落としても3人にはしっかりと聞こえており、階段を見つめてぽつっと零したその姿にどう応えたらいいか分からない。



「やっぱり気配は上ではなく下か」



 カルマがかろうじてネモの言葉に反応すると、ネモは静かに縦に首を振った。



「なら、どこかに下へと行く方法があるってことじゃないの?」



 フィオネが階段のあちこちを見て回ったが、目に入る範囲ではめぼしいものはないらしい。しかし、建物の上下を行き来できるのは、少なくとも階段だけではない。



「アレとかさ」



 その顔は口角を上げて随分と歪んだ笑みを浮かべている。フィオネの性格が良く出ている笑みだ。享楽好き。獲物を見つけたようなその表情をみて、ネモもつられて目許を緩める。



「ありえるかもね」



 そうして、フィオネが言って指さした()()――こと昇降機に近づく。上へ向かうようなボタンは見当たらない。入り口の表記も上へしか上がらないことを示している。どう見ても、下へは下がらないと傍目からもわかるだろうが、これほどまでに細工をしています、と言わんばかりの存在だ。何かきっと仕掛けをしているはずである。



 ネモとフィオネがそろって昇降機に入る。その背中に男ふたりが続こうとした時だ。


 ガシャンッ――と大きな音を立て、徐に格子が閉まり、鍵がかかった。



「しまった!!」


「罠だったかッ――」



 見事にネモとフィオネ、カルマとアドビーで分断されてしまえば、焦ったネモは無理やり扉を開けようとした。だがそれを見越したかのように、昇降機が徐に動き出す。ネモとフィオネが入った箱がゆっくりと揺れながら下へと下がっていく。無理やり開けようと格子を引っ張ったがビクともせず。下がる際に、格子状となっている扉の隙間から見えたのは、濃い濃い霧と、焦った様子でいるカルマたちの背中だった。



「クソッ」



 ガァンと鉄と何かが激しくぶつかる音。それは、後ろでいらだったフィオネが昇降機の壁を蹴り上げた音だった。普段、ダンクの役目のあるカルマは、戦えないことはないが守りに徹することの方が多い。アドビーも戦えないことはないが、彼は銀製の武器を持っていないのでトドメを刺すことができない。戦闘向きでは無い2人にネモが最後に見た濃い霧は、恐らく下位吸血鬼が現れた時に現れる霧だろう。フィオネがうかつに昇降機に入ろうなどと言わなければ今頃分断されずに済んだのだろう――そう、フィオネは思っているはずだ。実際は、どうなるかは分からない。結局は下へ降りなくてはならないことには変わりはないのだ。最悪は、今の現状となっていたのはあの二人だったかもしれない。それならまだ未知の地下へ、非戦闘員ではなく戦闘員のネモとフィオネが赴いたことは正解だったのだろうか。



 どんどん深く深く潜っていく昇降機に、ずっと続くのはコンクリートの壁。焦りそうになる思考を必死で落ち着かせる。


 下へと向かう中、次第に濃くなっていく人間の気配。それと同時に、濃い血の匂い。これは、人間の血ではない。



「落ち着こう、フィオネ。普段から私たちはふたりだ。問題ない、むしろいつもと同じ――」



 あまり感情を逆立てている暇は無いだろう。焦りと不甲斐なさで、イラ立って気が立っているフィオネの肩に手をのせると、それだけでフィオネの乱暴な蹴り行為は落ち着いた。



「それよりも嫌な臭い」



 ネモの、綺麗なホワイトシルバーの眉が眉間に寄せ合う。


 次第に、下へと下がっていた昇降機は終わりを告げるように目の前が開けた。地下深く。だいたい地下5階ほどの深い場所。そこにそれらはあった。コンクリートでできている壁は冷たい。地下だというのに、室内灯はしっかりとつけられているからか、今の街の外寄りは明るい。長い廊下に小部屋がいくつもある。人間の匂いと、人間のものではない血の匂い。それらに交じって医薬品の香りもする。空気穴はあるが、匂いはこもるのか随分と気分の悪い匂いだ。自然と、ネモもフィオネも眉間に皺が寄る。


 到着と同時にシャーっと音をたてて扉が自動的に開かれる。まるで、ふたりを招いているようでそれもまた薄気味の悪さを感じる。



 ざわざわとした胸の内を静かに落ち着かせるように、浅く息をする。そして、両手に短剣をしっかりと握りしめると、一歩、昇降機から足をだす。人の気配もするというのに、嫌に静かなこの空間に、一歩踏み出した靴の音がカツンと響く。それにならって、フィオネも両手に武器を持つと、先ほどの二の舞にならないようネモの半身に引っ付いて昇降機から降りる。



「何もない……?」



 警戒しながら、辺りを見渡すフィオネにネモは静かに首を縦に振るが、実際に霧など出ていない。下位吸血鬼が出てくる様子でもないだろう。ふたりの体がすっかりと昇降機から出た時だ。ガシャンっと再び激しい音を鳴らして昇降機の扉が閉まった。そして、ワイヤーで引っ張り上げられていく音。まるで、昇降機が意志をもっているかの動きに、流石のふたりも驚いてその音に気を取られていた。



「うっ――」



 横にぴっとりとへばりついていたフィオネがから低いうめき声が突然零れる。ネモが慌ててそちらを向くと、彼女の真横隣に何か白い塊があった。それは意志を持ってフィオネにくっついていたかと思うと、ゆっくりと離れていく。その様子をよくよく見ると、それは人が着る研究者の白衣。そして、その塊がゆっくりと離れるのと、フィオネが体勢を崩して前へと崩れていくのは同時で。その光景は、スローモーションのように、映画のワンシーンのように、切り取られた世界のように一瞬がゆっくりとしていた。



 咄嗟に、ネモは崩れていくフィオネに手を伸ばして支える。フィオネが崩れ、視界が開けていく。その先にいたのは――昨晩取り逃がした研究員の女性だった。



「フィオネッ!!!!!」



 生まれて初めて大きな声を出したような気がする。今まで無気力な声しかでていないかやか、自分自身でさえ、どこからこんな声が出るのだろうと言わんばかりの大きな声で相棒を呼んだ。それに応えるように、フィオネは、その研究員に拳銃を向けると容赦なく発砲する。



「おおっと……まだ動けるんだ」



 しかし、その銃口の先を読んだのか、女性は身をひるがえして弾を避ければ、忌々しそうに呟いている。なんともすばしっこい女性だ。



 「だ……じょぶ……ッ……これくらいじゃ、死なない」



 完全に崩れる前に、踏ん張ったフィオネは伸ばされたネモの腕を支えにして必死に立ち上がる。声を出すとこみあげてくる血が口から溢れては、それを床に吐き捨てる。


 フィオネの脇腹には、あまり大きくない刃物が刺さっていた。どうやら、先ほどひっついていたのはフィオネにこれを突き刺していたからだろう。どうして、人間の彼女がこれだけフィオネに近づいても気が付かなかったのか。認識阻害でも、人の気配に敏感になったネモにとってはそれは無意味に近い。それだというのに、警戒していたはずのふたりに気配を取られないように近づくことができるものではないのだ。



「ほんと、教会の犬は頑丈なのね。抜けば血が出るから引っこ抜こうとしたけれど、貴女、それをさせる前に私めがけて銀の弾丸打ち込もうとしたもの」



 つまらなさそうに、応える白衣の女性は手に持った短剣をくるくると遊ぶと、再びフィオネに向かってそれを投げた。今度は、ネモがしっかりととらえたので、それは空中で弾かれて地面へと落とされる。



「あら?あらあらあらあらあら?貴女、吸血鬼なのね」



 ずっとフィオネだけに向けられていた視線がやっとネモに向くと、女性は嬉しそうに頬が綻んだ。それはうっとりとして、うっそりとして、恍惚に満ちた、色っぽい瞳。芥子色の瞳が次第に夕日へと変わって赤く染まり、チョコレート色の髪色が次第に色素がなくなって白銀へ。そうして、女性は吸血鬼へと変わると同時に、体も膨張していく。丸みを帯びた小さな肩は広がってがっしりとした成人男性のそれに。身長は先ほどの女性の頭3つ分くらい高い位置に。そうして、出来上がった姿は、先ほどの女性とはかけ離れた見た目と性別になる。



「斯く言う私も吸血鬼という種なのです。()()()()()()()()()()()。私はヘルマン・アルトピウスと申します。アルトピウス公爵のひとりですよ」



  少し下がった目許。遊び人のような甘いマスク。誰が見てもイケメンのひとことだった。柔らかな物言いは、優しさを感じるが瞳の奥に見える狂気は隠しきれていない。そして、ネモはこの男をよく知っていた。



 さて、先程の疑問に戻ろう。


 それは人間の研究員が人間の気配に敏感なネモの警戒をくぐって近づくことは何故出来たのか。そんなもの、答えは簡単である。目の前に現れている男が答えだ。正解は、人間では無いから。人間では無いものの気配はネモからしたら薄い。代わりに、それに敏感な人間もいる。そういうスキルを持っているものがいるのだ。



 実際にネモにはそれを感知するスキルはない。基本は、訓練しており下位吸血鬼くらいであればその気配をとることはできた。更に今回は、相手が高位貴族(グラン)だったため普段から察知していた気配は最小限まで抑え込まれていた。その結果がこれである。



 脇腹に刺さったままのナイフを抜こうとせずに、フィオネは脂汗をかきながら深く息をして痛みを誤魔化す。



()()()()()()()()()()()だってさ、ネモ」



 それでも茶化す声は楽しそうだ。


 ネモは、両手に持っている銀製の短剣をぎゅっと握りしめれば、目の前の男、ヘルマンを見る。思い出すのは3年前の出来事。ネモが、家族を失い、反吸血鬼となり、教会へと預けられたあの出来事。自然とこみあげてくる怒りに、自然と口角が上がる。



()()()()()で問題ないよ、ネモ」


「そんなもん?」


「フィオネはフィオネたらしめてしまった人物に深く記憶しておいてほしい?」


「ああ、なるほど、キモいね。虫唾が走るや」



 頭は悪いが、ネモの言いたいことを瞬時に理解してけたけたと笑って答えてくれる。だから、ネモはフィオネが好きだ。



「ふむ……貴女方の言葉を基に考えると、どうやら、私は貴女と対面したことがあるようですね。ですが、教会の犬に知り合いはいませんからやはり初めましてとなるのですが……さらに言うなら、教会の吸血鬼にはお会いしたことがございません。いたら、それはそれは驚いて鮮烈に記憶へ残ることだからです。なので、貴女は今からその存在を私に深く記憶されるということですね」



 ネモとフィオネの言葉に対してはあまり衝撃を受けないのか、ヘルマンは嬉しそうにその表情を緩ませる。その姿はとても美しいが、ネモは背筋に走る悪寒を感じた。



「気持ちが悪い」



 顔を歪ませて、手に持っている武器をしっかりと握ると、ネモは地面を強く蹴った。一気に、ヘルマンと距離を縮めると右に左にと手を大降りに振って彼に切りかかる。をれをヘルマンは最小の動きで避けていく。まるでバカにしているように、彼女が繰り出す全ての動きを読み切っているその動きは、ネモの気を逆撫でする。



「おや……」



 至近距離で目が合うと、ヘルマンは何かに気が付いたように言葉を漏らすと同時だった。一瞬見せたすきに、ネモが首元に短剣を振りかざしたのだ。



――カ……キンッ



 ネモが振りかざした剣は、ヘルマンとネモの間で動きを止める。そこには、もう一人、白銀の髪を揺らしている存在がいた。ネモがヘルマンの首をめがけて振り上げた短剣を、もうひとりの吸血鬼が構えてい剣によって受け止められ空中で交わる。



 すぐに片方の持っている手で切りかかることが出来た。だが、次の一手を出せないのか、ネモは、その存在を前にして大きく目を見開いて固まってしまった。体中に巡る血が一気に流れ出して、心臓を激しく動かす。乾いた喉から、言葉は出なく、目の前が赤く染まるような感覚。浅く息をするたびに、鈍い頭痛を覚えるようだ。



「ど……して……」



 乾いた喉で絞りだされたのは、カラカラな声。希望なのか、絶望なのか、その言葉には色をのせていないというのに、ネモの顔は酷く悲しく嬉しそうに歪んでいた。




「思い出しました。貴女のその顔……、ふふ、良かったですね。フロウ……大切な妹さんは生きておられましたよ」




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