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09.

この章は視点がころころと変わります


 煌びやかなシャンデリアが高い天井から吊るされて、光を乱反射させている。広いホールには世界各地の重鎮が集まり、その中には法王代理を7家のご子息やご息女を見かける。別のところには、煌びやかな場にふさわしい、帝国の王女や王子たち。そっと横を見れば属国の有力貴族やその周辺の有力貴族。そんな人間に交じって白に近い銀髪の人たちもいる。それも全員が高位(グラン)だ。その人たちもまたその姿に合った正装を身に着けて談笑していた。


 こんなに各国のお偉いさんがたくさんいて、煌びやかで豪華な一室だというのに、ここは空の上だという。最初これを見た時にはあまりに物大きさに本当に浮くのかと心配になったが、今となっては逆に落ちないか不安となる。


 帝国の威信をかけて作られた豪華飛行船。それは、事実帝都の頭上をゆっくりと遊覧飛行をしている状態だ。


 シャフリヤール帝国は、大陸の東側一帯を支配している。1つの宗主国と7つの属国で成り立っていた。元々は広大な北側にある国だったが、資源は鉱山がメインで植物は育たない不毛の地。その為、戦争で国を広げた国である。北西には皇国と隣接しており、西には先月ネモたちが滞在していたエルファンドルム王国がある。南は属国で支配されており、海を渡って東に別大陸が存在する。そちらとの交易の窓口となっているのも、シャフリヤール帝国だ。


 シャフリヤール帝国の現皇帝は、属国支配のために属国7カ国の有力貴族からそれぞれ7人の側妃を娶っている。親交と友好の証と告げられるが、所謂各国の人質となる。有力貴族の中には、その国の王女も含まれるためだ。そして、宗主国からは現皇妃を有力貴族から排出。その上下関係を覆すことはしないため、その力関係は他国から見ても明らかなのである。勿論、産まれてくる子供たちも、側妃の子には王位継承権はない。全て、皇妃の子どもが所持することで、圧倒的な立場を築いている。


 本日は、そんなシャフリヤール帝国皇帝、タルマン・シャフリヤールの36回目になる生誕祭。その為、ここに集まるメンツも錚々たる顔ぶればかり。ネモとフィオネは、教会へと届いた警備の依頼で参加している。勿論、会場へはシスター服で……、とはいかなかったので、郷に入っては郷に従えと言わんばかりにネモもフィオネも着飾った。


 今回のネモは、紺色のシンプルなマーメイドドレス。ただし、動きやすさを重視するためにスカート部分にスリットが入り、生足がちらりちらりと見えていた。その綺麗な脚が見えるたびに、どこかの子息がそっと盗み見しているほどだ。


 更には先月購入した化粧道具で、フィオネの手によって化粧を施されているため、ただでさえ美人なネモがものすごく華やかになっている。ツートンカラーの髪の毛はあえて見せよう、とのことで、黒髪のところはハーフアップにし吸血鬼色の髪は肩へと流して垂らしている。そしてその髪を彩るのは、海を渡って東の大陸から輸入したと言われる一輪簪。珍しい細工なのか、そこまで豪華ではないというのに、ラピスラズリ色したとんぼ玉と、垂れている紺色のタッセルによってシンプルだが豪華に見えた。白に近い銀髪は、肩に垂らしながらもコテで巻いて上品に見せていた。


 いつもとは違う装い、違う雰囲気で華やか、というのにネモの表情は無表情ながらに不機嫌を醸し出していた。



「ナニナニ、まだ大鎌を持っていくのをダメだしされたの拗ねているの~?」



 これまた淡い桜色したサテンのドレスを着こなして、いつものトレンドだった団子を本日はツインハーフにしている、フィオネがネモにちょっかいをかける。



「別に」


「仕方ないジャン。こういうドレスアップにあの大鎌は不釣り合いだって思うし、やっぱり特大違和感だヨ。流石に今回はシスター・マングロウの顔を立てると思ってサ」



 ネモの頬をつついて楽しそうに顔を歪ませているので、半分本気で半分揶揄いにきていることくらいネモにはわかる。流石のネモもそんなフィオネに対して、少しだけムッとするのか、眉を寄せては頬をつつくフィオネをじっとりと睨みつけた。流石に少しからかいすぎたか、とフィオネは指をひっこめると肩を竦めておとなしくなる。そして、いつものようにネモの隣に並んで、ネモをそっと見上げた。正直にネモの気持ちも分からなくもないのだ。前回の研究所地下での戦いのときだって、本当の彼女の武器を使用していない。普段から使い慣れていない武器はそれだけで不利になることの方が多い。間合いの取り方や動き方が変わってくるからだ。それでもきちんとそれなりに使いこなせるように訓練はしているが、普段から高火力でぶん殴るスタイルを貫くネモにとっては小回りの利く短剣はさぞ物足りないだろう。


 しかし、今回の任務の相手は下位吸血鬼ではない。下手すると下位吸血鬼に落ちていない普通の人間と対峙する。更には今回の警備対象は皇帝とその家族、更には招待客全員となる。そうなれば必然的に招待されている吸血鬼公爵たちも対象となるのだ。そんじゃそこらの人間よりも遥かに強い彼らを守る理由はあまり見受けられないが、依頼内容にそれが記載されているので、むしろ大鎌でなくてよかったのではないだろうかとさえ思える。


 威嚇は必要だが、殺傷は駄目だ。あくまで、ネモもフィオネもそういう立場の人間であり、それらを行うのはしかる機関の者たちであって、教会ではない。裁きを与えると言われれば裁判官などは分かるが実行者ではないのだ。下位吸血鬼と人間は違うのかと言われてしまえば難しい。下位吸血鬼狩は、知能もなく見境なしに襲ってくるため、人間を守る大義名分の上で成り立つ殺傷である。そのため、やむを得ないとなっている。色々と都合を取ってつけたような内容であるが、上の人々の思いなどどうでもよくて、ネモもフィオネもそれらを持って暴力を奮っているので同罪だろう。



「なら、アレかな〜?アドビーの不参加が効いてる?」


「………………」



 図星かぁ、とフィオネがころころと笑いだすとそれをじっとりと睨みつけるしか反論はできなかった。


 別に、アドビーが不参加だからと不満なわけではない。少し、いや、かなり、物凄く?正装したアドビーを見たかったのは本音ではある。いや、正装して普段整えてないあの髪型をあげて、キラキラした笑顔を向けてもらいたかったとか、そんな欲望がなかったと言えば嘘だろう。さらに言えば、彼にエスコートしてもらっちゃって、もっと言えばダンスなんか踊っちゃって……、ひと時のハプニングと、いい雰囲気なんか醸し出してしまって――


 そんなことを妄想して、昨日まで帝都支部の、仮住まいとしている寮のベッドで暴れていた自分が恥ずかしい。


 アドビーが参加しないと言う話を聞いたのは当日の朝だ。前もってメンバーの名簿を貰ってたはずだが、とフィオネに怪訝な目を向けられたのもまだ新しい。フィオネに言われたので、その後、プリントに書かれた参加メンバー一覧を、必死の形相で数分にわたって数十回見直した。どうやら、カルマの名前があったため、セットでついてくると思っていたネモの単純思考回路が幻想を見せていたのだ。


 結果、朝から気落ちしたネモと、それを見て腹を抱えて大爆笑をするフィオネの元気な声が、寮に鳴り響いていた。そんな準備中の明るい声も、来訪者のノック音で止まる。フィオネが扉を開けるとそこには話題の人物、アドビーが立っているではないか。気落ちしたネモが途端に調子を取り戻したのは言うまでもない。更に、アドビーが本心かどうかは分からないが「綺麗に着飾っているな」とどちらに伝えたかは分からない言葉を投げられれば、それだけで心が踊った。最終的に、ネモ宛に珍しい物を手に入れたからと言って渡されたのが、今ネモが頭に付けている東洋の1輪簪だ。シンプルにラピスラズリ色したとんぼ玉と、長い紺のタッセルが揺れている。それだけでネモの黒と白のコントラストな髪の毛を華やかにしてくれていた。


 フィオネは、アドビーのこういう所が嫌いだ。マメ男だと思うと同時に、純真潔白でピュアなネモの気持ちを弄んでるように思えて仕方ない。


 簪をフィオネが受け取る時も、そのじっとりとした視線を受け取ってしまえば、渡した本にであるアドビーもたじろいでいた。自覚あるクズってやつか?と思いながら、ネモが喜ぶので今回は受け取り、彼女の頭を彩らせてもらっている。しかも、ほんのりとハウルの他者スキル付与のスキルを使った腕輪の時と同じ感じがした。この簪に何やらスキルを付与してると思うと、アドビーもネモからの好意を満更でもないと思ってるのかも知れない。


 ただ、年の差としても妹として見れないネモをどう扱ったらいいかのかが分からないのだろう。それとも、妹と思っていた女の子が好きになりかけているそんな葛藤だろうか。


 そんなことを考えてるだなんて、フィオネの思考をあえて鈍感なネモには伝えつもりはない。今は、隣にいて、変な虫が寄らないようにするのに精一杯だからだ。そう――



「ネモ」



 今ネモに声をかけた、偏愛シスコン野郎とか。



「……兄さん」



 本日の参加者には、アルトピウスから長男公爵のトルーマンと末子公爵のフロウが参加している。彼らの父親たちは公爵を引退しているため、今はトルーマンを筆頭に、その兄弟、親戚たちが公爵となっている。トルーマン初め、次男のヘルマンまでは前公爵の息子らしいが、フロウは違うので、末子と言われても現公爵の上とは直接的な血は繋がっていないと言う。現状、アルトピウス公爵家はこの3人が公爵だ。そうなると、必然的にネモも彼らのどの世代からアルトピウスを名乗ってるのかがわかるはず。


 今回は、敵対しているわけではないため、ネモも警戒はするが、戦闘態勢にはならない。フィオネはネモの隣から半歩後ろへとさがる。顔のいい男は苦手なのだ。



「今日のドレスとても似合ってるね。うんうん、黒髪も綺麗だけど、覗く銀もまたいい。僕とお揃いだ」


「この色であれば、吸血鬼たちと全員おそろいとなると思われるのですが」



 あくまで相手は貴族。下手に言葉を崩すことはせず、さらには相手と立場が違うと安易に告げ、ひっそりと心の壁を築き上げる。ネモはフロウを完全に他人と決めることにしたらしい。



「そんな寂しいこと言わないで。言葉も、崩していいよ。僕たちは血の分けた兄妹じゃないか」



 少し寂しそうにハニカム姿は、第三者がみたらネモがフロウを責めてるように見えるのだろう。



「兄さん……いえ、フロウ・アルトピウス公爵。私はただの人間で一般人。しかも、あなた方とは敵対している教会の人間です」


「教会を辞める気はない?」


「ありません」


「どうして」


「…………私は、ヘルマン卿を赦せません」



 そのひと言に動いたのは、フロウではなく横にいたトルーマンだった。



「分かった。ヘルマンの件は謝っても済む話ではないだろう。それはまた、別の機会にしてくれ。今は敵同士ではなくパーティーを楽しむ招待客同士だ。いや、君たちは警備の依頼できてくれていたのだったか。それでも折角だ。普段、こうやって会うことも難しいのだから、兄妹水入らずで少し話するのはどうだろうか。私も後ほど、妹と是非話しをしたいと思っているんだがその機会と栄光を貰えないだろうか」



 生真面目さを全面にだしているトルーマンの言葉に、流石のネモも言葉が出ない。人目の多いパーティー会場で、ネモをどうこうするような事はしないだろう。しかし、いつも顔を合わせると武器を構えるような相手たちに妹と言われ、そう接せられるのはあまりいい気分でもない。さらに、ネモは吸血鬼になるつもりも毛頭ないのだ。



「君が知りたがってること、教会が知りたがってること、しっかりと伝えないとでしょ?」



 フロウが柔らかな笑みを浮かべてこてんと首を傾げる。あまりにものあざとい仕草に、ネモはうっと喉を詰まらせた。兄は昔から人懐こい人だった。ネモも今ほど表情は固くなく、むしろよく笑っていた少女だった。そんな時から兄は今みたいな人である。


 ネモと同じ顔であざとい仕草をするものだから、被弾したのはネモだけではない。隣後ろにいるフィオネも、胸を押えてうっと小さく唸っている。ネモの顔に弱いのは、何も異性だけではないのだ。なんなら、ネモの顔に1番弱いのはフィオネかも知れない。



「兄さん、私と同じ顔でそういう事するのやめて、フィオネが直撃しちゃったじゃない」



 胸を抑えるフィオネの背中をネモが擦りながら、フロウを睨みつける。すると、フロウは「あれ〜?」とまたもや首を傾げた。そうして再び直撃を食らうフィオネ。ネモの顔が好きなフィオネ、ネモと同じ顔をしてるフロウ。敵対してなければ、もしかしたら、ネモの普段見せてくれないようなあんな顔やこんな顔を見せてくれるんじゃないかと欲をかいてしまいそうになる。この男は危険だ。


 フィオネはネモの耳元へ唇を寄せる。



「ちょっと満面の笑みを数秒間見せてって、伝えて」



 途端、ぽかっと、フィオネは頭に軽い衝撃を食らった。



「あ、はははは……面白いね、君。あの時は、ヘルマン兄上が刺しちゃって、なかなか君と会話出来てなかったから分からなかったけど、こんなに面白い子だったとは。……はぁ、死ななくて本当に良かったよ」


「兄さん」



 フロウの最後のひとことで、ネモたちの空間がピリつく。フィオネに向けた言葉に対して、ネモは随分と怒り心頭しているらしい。フロウを呼ぶネモの声が、数トーン下がった。纏う空気も冷たく一気に隙がなくなった。



「はいはいはいはい、そこまでよ、ネモ」



 その空気にいち早く反応したのは、別チームに所属している同僚、アナスタシアだ。豊満な胸をしっかりと強調させているが、下品じゃない白いドレスを身にまとっている。彼女のくっきりはっきりした体を品良く見せてくれているため、女のネモとフィオネでもついつい強調されたその胸を見てしまいたくなる。


 少し垂れた目元に、口許の黒子。チョコレート色の髪の毛は、アレンジすることなく片方の肩に垂らしてとても色っぽい。ぷっくりとした唇も、下がった眉も大人の色気たっぷりな女性と言えばアナスタシアだ、と言わんばかりに男の欲望を体現していた。そう、以前アドビーが言っていた「20歳以上の女でぼんきゅぼん」っていうあれだ。


 そんなアナスタシアが、手を叩きながら大乱闘に勃発しそうな兄妹の間に割って入った。流石は大人なお姉さんといったところだろう。



「それで?うちの可愛い(ネモちゃん)に何かしら。せめて保護者に説明しなくてはならなくて。ずっと向こうでいじらしくこちらを見つめているのだもの。お姉さんから伝言でお伝えしますわ、フロウ・アルトピウス公爵、トルーマン・アルトピウス公爵」



 そう言って、保護者と伝えた視線の先にはシスター・マングロウ――エピテル・マングロウがシャンパングラスを持って、そわそわちらちらこちらを伺っていた。確かに、普段であればシスター・マングロウかここで登場してもおかしくはないのだ。たた、シスター・マングロウは、今回、チームのリーダーとしての参加ではなく家門としての参加である。なので依頼ではなく正式的な招待客。そのため、今回の混合チームリーダーは、今、目の前で仲介してくれているアナスタシアとなる。


 肘までの長さのある手袋をつけた手を、優雅に差し出して、話を促す姿は女のネモもフィオネもめろめろだ。男でなくたって、この姿を見れば心の中のナニが爆発しそうである。



「それは失礼した、ミス・アナスタシア。末の弟が実の妹と話がしたいとのことです。少々、弟が感の触ることを発してしまい、妹の不況を買って困っておりました」



 差し出されたアナスタシアの手にトルーマンが手を重ねる。



「どうか、弟に妹と話す時間を作ってはいただけませんか」



 スマートに手のひらを上にしていた手をひっくり返すと、彼女の手の甲に唇を寄せた。色っぽいイケメンと、色っぽい美女のそんなやり取りは20歳未満の子どもたちには刺激が強すぎたようだ。フィオネは「ひゃぁあぁぁぁ」と心で叫びながら頬を赤くし、ネモとフロウは同じ顔で、2人揃って肩を寄せ、両手で口許を覆っている。ネモは認めたくはないだろうが、どんなに長い年月離れていても、やはり兄妹よく似ている。



「奥さんにバレたら怒られそうね」


「紳士の挨拶で怒るほど、妻はそこまで狭量ではございませんよ」



 気がつけば、ネモとフロウがバチバチしていたというのに、今ではこの保護者ふたりが随分と険悪な雰囲気を醸し出していた。やはり、教会と公国は仲が悪いのだろうな、とどれだけ取り繕ってもよくわかる構図である。



「ふん、ネモもフィオネも気をつけなさい。この人、紳士の面を被ってるだけなのだから」



 アナスタシアは何にそんなトルーマンの事を毛嫌いしているかは分からないが、そんなアナスタシアの様子に、耐えない笑みを浮かべているトルーマンも気持ちが悪いと思ってしまう。こういう祭典にはよく教会側は警備で人を割くことが多い。ただ、あまり大人数出すこともない上に、ネモもフィオネも昨年までは15歳で、成人にいかなかったため、祭典の警備はこれが初めてだ。過去に、アナスタシアと公爵との間で何が起きたかなどは知らされていないが、何やらただならぬことが起きていたのだろう。


 それは今まで参加してこなかったふたりの預かり知らぬことである。ただ、アナスタシアのスキルが若干発生しているのか、少しだけ肌寒いのだけは分かった。



「ネモ、まだ開会には時間があるわ。私たちの視界から離れないように気をつけなさい」



 アナスタシアはネモに最後そう伝えるとアナスタシアは、最後トルーマンをひと睨みしてその場を後にする。



「フロウ。妹と会えて嬉しいからとあまり刺激をするようなことは言うなよ」



 トルーマンも、弟に言い聞かせるように伝えると、最後にフロウの頭を撫でて退散していく。どうやら、ここは最後、フィオネも退散しなくてはならない空気らしい。



「えぇーっと、あたし適当に誰かといるから終わったら声掛けてネ」



 ネモを心配しながら、フィオネは食事テーブルの方へと退散して行った。



「…………、少しあちらへ行きません?」



 沈黙の後、ネモが深い深い息を吐いて指さしたのは、休憩用に用意されている大きな円型のソファ。そこにはまだ人はおらず、かといって会場からは丸見えである。アナスタシアの言った、彼女たちの視界から離れず、さらには人気の少ないうってつけの場所ということだ。


 その提案に、嬉しそうに破顔したフロウ。



「勿論」



 会場の大半の女子がフロウの輝かんばかりの笑顔が直撃して、目眩を起こしていた。

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