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短編集

美しく汚く

作者: トリ

初投稿で拙い所もありますが、最後まで読んで頂けたら幸いです。Twitterの方では知り合いの絵描きと共同垢でとある勝負をしています。そちらのフォローも是非!


 人はなぜ、美しいと感じるのか。私は考えた。この世のすべてがどこまでも薄汚くみえたから。


 人は、意味のないものを美しく感じるのだ。一部の人間に支持されるアート、無駄に派手な建造物、時間とともに廃れる音楽、積みあがり破ける服、結果のついてこない努力、、、、

意味なんかない、そこにあるのはただ何も成さない「それ」だけだ。そしてそれを人は受け入れることができないのだ。だから、人は意味あるものと釣り合わせるために「美しい」とおもうのだ。誤魔化し、錯覚させ、それに意味があると思い込ませるために。。。。


 くそくらえ!!

 俺はスーツなんて着ない。流行りの音楽なんてしらない。キャンプなんていかない!!なのにあいつらは、当たり前のように自分たちが正義なんだって決めつけて、悪役を見るような目で俺を見てきやがる。ゴミ共が、あいつらの言う綺麗だ美しいだなんてのに、価値なんかこれっぽっちもありゃしない。俺が正しいんだ!


 本当にそうだろうか、、、、なんて、たまに考える。だが、その度に少しその考えを美しく思って、考えるのをやめた。美しいって一瞬でも考え付いたってことはそれに意味なんかないんだ。そうやって俺は生きてきた。


 段々と、色んなものが美しく見えてきた。仕事、友人、家族、恋人、嫌悪感を憶えてすべて捨てた。その度に罵倒と非難を浴びて、自分は汚れているんだ、醜いんだ、意味があるんだと感じて愉悦感に浸った。


 気づいた時には、全て捨てていた。それでもなにか、、、なにかが美しく思えて落ち着かなかった、、、、、そして、、、、、、、


 「なんか、、、俺の人生って、、、生きるって、、、美しくないか、、、?」


 考えがよぎった刹那、感じたことのない程の嫌悪と絶望が全身を駆け抜けた、俺は走り出した。すでに家も靴もなかった、アスファルトの感触にさえ嫌気がさす、急げ、早く、、じゃないと、おかしくなりそうだ。階段を駆け上がる、ドアを蹴破る、そのまま鉄柵を飛び越えた、、、!


 スーツを着て、上司に頭を下げている俺がいる。咄嗟に、醜い、と感じた。え、俺は、今、何に醜いと感じた、、、???その時感じた違和感と嫌悪は、さっきまでのそれとは同じようで全く違った。何か、とんでもない、、、ことを、、、、、、、、、、

いや、もう遅い、なにをしようと死ぬのだ。醜く足掻く必要なんてない、、、、最後は、、潔く、、、綺麗に美しく、、、、、、え、、、、?


 違う、俺は醜く、汚くあるはずだ!なぜだ!どうしてこうなった!死にたくない!嫌だ!足掻け!何か掴め!止まれ!落ちるな!醜く汚く!生きたい!自殺で楽になるなんて綺麗ごとだ!大っ嫌いだ!汚く!醜く!上司に理不尽に頭を下げる!人に嘘をつき!嘘をつかれる!そうやって醜く生きたい!俺の目指した汚さは!そうやって必死に足掻いて生きるこt、、


 果てしなく薄汚い世界に、どこまでも美しい男の亡骸が、あった。


ここまで読んで頂きありがとうございました。これからも月2本、執筆に励みますので、感想、Twitterフォローの方、宜しくお願いします。



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