<番外編>DB601とマーリンとニッケル
DB601系とマーリン
枢軸と連合の対比で出て来るこの発動機であるが、ハ40、ハ140、熱田の影響で評価を下げていることによってDB601系が駄目発動機というわけではない。
仮にマーリンを愛知か川崎か立川あたりがライセンスしたとして、恐らくは川崎のハ140どころではない苦労を背負い込んだであろうことはその部材の素材で十分に理解出来る。
発動機を考えるとき、そのカタログスペックよりも生産に際しての容易さ、代用材への転用が容易さ、その代用材や簡易製造による性能保証、整備性こそ重視すべきであろう。
特に後世の人間であるほど優秀な発動機というのを史実という名の色眼鏡で見る傾向にある。
本家本元のドイツも資源不足からニッケルなど重要戦略金属の使用停止で代用材を使い、またそれによる悪影響を減じるために技術的に工夫をしている。
だが、持てる国である大英帝国は必要な資源を必要なだけ使うことが出来た。根本的にその時点で余裕があるのだ。
基本的にマーリンはニッケル合金の使用量が比較にならないほど多い。これはそのまま材質の信頼度や耐久度に直結する。
だが、よく考えて欲しい。ニッケルはどこにある?
ニッケルは一大鉱山があるニューカレドニアが有名だが、ここは豪州沖のフランス領である。ガダルカナルよりも更に遠い。
では、蘭印か?そう思うが、蘭印政府は基本的に反日的で資源輸出を渋っている。
要は手に入らないということだ。だから代用材を使い工夫する外ないのである。
じゃあ、そのニッケルはどこから捻出したか、そう貨幣である。貨幣を地金に戻して使ったのだ。涙ぐましい資源確保として貨幣に含ませて貯蓄していたのだ。
そこまでして節約溜め込んだものを使い切るのはどうだろうか?